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「43条但し書き道路」とは?許可基準や申請方法、注意点までわかりやすく解説

2026.03.10

通常、建築基準法で定められた接道義務を満たさないと建物を建てることができません。そうした土地を救済するために設けられているのが、「43条但し書き道路」と呼ばれる制度です。しかし、建物の建て替えや売買を検討する際に見聞きしても、詳しくわからない人も多いでしょう。

そこで本記事では、43条但し書き道路の概要や申請手続き、よくあるトラブルや注意点までわかりやすく解説します。

43条但し書き道路とは?

43条但し書き道路とは、建築基準法上の「道路」に該当しない通路等に接する敷地でも、一定の条件を満たせば特例として建築が認められる制度の通称です。

建築基準法では、「建物を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」と定められ、これを接道義務と呼びます。

しかし、戦前からの住宅地や私道が多い地域では、この条件を満たさない土地が数多く存在し、建て替えができない「再建築不可」と判断されるケースもあります。

43条但し書き道路は、接道義務を満たせずに再建築不可とされる土地の救済を目的とした制度です。安全性や避難性など一定の基準を満たし、行政の認定または建築審査会の同意を得られれば、建築を認めてもらえます。

なお、この制度はもともと建築基準法の第43条第1項に但し書きとして記載されていたことから、「43条但し書き道路」と呼ばれるようになりました。

その後、2018年9月の法改正によって規定位置が整理され、現在は第43条第2項第2号に記載されています。

建築基準法における「道路」とは

建築基準法における「道路」は、法律で細かく定められています。特に重要なのは、原則として幅員4m以上である点です。

これを満たさない道路は、建築基準法上の道路と扱われず接道義務を果たせないため、原則として再建築ができません。法律で定められた道路は次の通りです。

区分 内容 代表例
第42条1項1号 道路法に基づく道路 国道/県道/市道などの公道
(幅4m以上)
第42条1項2号 都市計画法・区画整理などで
整備された道路
開発道路
第42条1項3号 法施行前から存在していた
幅4m以上の道路
既存道路
第42条1項4号 2年以内に整備が予定されている道路 計画道路
第42条1項5号 行政が位置を指定した道路 位置指定道路
(私道を申請して指定)
第42条2項(みなし道路) 法施行前から建物が立ち並んでいた
幅1.8〜4m未満の道
古い住宅地の細い道路

自分の敷地がどの種類の道路に接しているかは、役所や不動産会社に問い合わせることで確認できます。

接道義務とは

接道義務とは、「建物を建てる敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」というルールで、建築基準法第43条で定められています。

このルールは、火災や地震といった災害時に安全に避難できる経路を確保し、消防車や救急車などの緊急車両が建物に近づけるために設けられています。

救急車の車幅は約1.9mあるため、敷地の間口が2m未満では物理的に接近できず、消火活動や救助に支障が出てしまうためです。接道義務は、建築基準法の適用を受ける区域で適用され、公道か私道かは関係ありません。

また、敷地の規模によって要件が異なる場合があり、共同住宅や大規模建築では、より広い接道が求められることもあります。この接道義務を満たしていない土地は、原則として再建築ができず、建築計画そのものが許可されません。

ただし、43条但し書き道路の申請を行い、認められれば例外的に建築が可能になります。

43条但し書き道路の対象になる物件の特徴

43条但し書き道路の対象となるのは、具体的には次のような土地です。

<例>

  • ・幅員4m未満の細い路地に面した土地(建築基準法上の道路に該当しない)
  • ・私道に面しているが、道路として正式に認定されていない土地
  • ・接道義務を満たしていない土地
  • ・道路に接しているものの、間口が2m未満の土地

43条但し書き道路の適用可否は、資産価値に直結する問題です。「使えると思ったら使えない」というケースもあるため、行政や不動産会社への事前確認が欠かせません。

43条但し書き道路の申請手順

43条但し書き道路の申請は、自治体への相談から始めます。その後、申請が可能な場合は書類を提出し、審査という流れです。順を追って解説します。

1.自治体に相談する

43条但し書き道路の申請を検討する際は、まず自治体の担当窓口に相談し、敷地と接している通路が建築基準法上の道路に該当するか確認してもらうことが必要です。

この判断を行うのは、建築確認や道路判定を担当する「建築主事」を置く行政機関(特定行政庁)です。建築主事は都道府県のほか、人口25万人以上の市には必ず設置されていて、それ以外の市町村でも独自に配置している場合があります。

相談の際には、現地写真や簡単な配置図を用意し、敷地の状況や建築計画を説明しましょう。すでに道路判定が行われている通路であれば、その場で「道路」か「非道路」かの回答が得られることもあります。

未判定の場合は、自治体が現地調査を行ったうえで判断する流れです。この事前相談を通じて、そもそも但し書き申請が可能か、どの種類の許可が必要か、どの書類を準備すべきかが明確になります。申請の可否を左右する重要なステップのため、早い段階で自治体に相談しましょう。

2.申請書を提出する

自治体への事前相談で「接している通路は建築基準法上の道路ではない」と判定された場合、43条但し書き道路の正式な申請に進みます。申請時は、自治体が指定する書類を揃えて提出する必要があります。

主な書類は次の通りです。

  • ・43条許可(または認定)申請書
  • ・現況図・配置図
  • ・付近見取り図、公図の写し
  • ・登記事項証明書

<必要に応じて>

  • ・平面図
  • ・立面図
  • ・断面図
  • ・隣地所有者の同意書

必要書類の種類や様式は自治体ごとに異なるため、事前相談で確認しておきましょう。

3.建築審査会の審査を受ける

提出書類の確認や現地調査を経て、43条但し書き道路の許可が妥当と判断された場合、申請内容は建築審査会に諮問されます。

建築審査会は学識経験者などで構成される第三者機関で、申請が安全性や基準に適合しているかを審査します。審査会は年に3~6回ほどしか開催されず、申請時期によっては許可が下りるまで数ヶ月かかることも。

審査を通過すると行政から許可通知書が交付され、43条但し書き道路として建築が可能となります。

ただし、許可を得てもそのまま建物を建てられるわけではなく、再建築を行う際には別途「建築確認申請」が必要です。この手続きを怠ると、建築基準法により罰則の対象となるので注意しましょう。

43条但し書き道路に関するトラブル・注意点

建て替えできない場合もある、住宅ローンの審査が通りづらい、売却の際に安くなりやすいなど、43条但し書き道路に関する注意点はいくつかあります。それぞれ解説します。

必ずしも建て替えができるとは限らない

43条但し書き道路の制度を利用すれば、接道義務を満たさない土地でも建て替えの可能性が生まれます。

しかし、申請を行ったからといって、建築審査会からの許可が下りるとは限りません。

また、建築審査会の同意を得ていない状態で売却すると、「再建築できると思って購入した」という理由で、買主とのトラブルに発展することも。契約解除や損害賠償につながる可能性もあるため、売却前には必ず行政に確認しておく必要があります。

さらに、43条但し書き道路の審査基準は将来変更されることもあり、以前は許可が下りた土地でも再建築が認められなくなる可能性があります。制度を利用する際は、常に最新の基準を踏まえた判断が重要です。

住宅ローンの審査が通りづらい

43条但し書き道路の申請が必要な土地は、担保としての評価が低く見積もられやすいため、一般的な土地に比べて住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。

理由は、将来的に必ず建て替えできる保証がなく、資産価値の下落リスクが高いと金融機関が判断するためです。担保評価が低いと、希望額まで融資を受けられない、または申込自体が断られるケースも。

そのため、43条但し書き道路の申請が必要な土地を購入する際は、金融機関が年収や勤続年数など、申込者の審査項目をより厳しくチェックする点に注意が必要です。

相場より安くしないと売れにくい

43条但し書き道路に接する土地は建て替えのハードルが高く、住宅ローンも利用しにくいため、一般の買い手から敬遠されがちです。

その結果、購入できる人が現金購入者など一部に限られ、市場での需要が低くなります。需要が低い土地は相場通りの価格では売れにくく、売却を急ぐ場合は価格を下げざるを得ないケースが多く見られます。

価格を下げても買い手がつかないこともあり、通常の売却方法では販売期間が長期化するリスクもあるのが実情です。

その点、訳あり物件を専門に扱う不動産会社であれば、こうした土地の扱いに慣れているため、比較的スムーズな売却が期待できます。相場より安くなる点は避けにくいものの、早期売却を望む場合は有効な選択肢といえます。

43条但し書き道路に接する土地の売買は専門の不動産会社に相談を

43条但し書き道路は、接道義務を満たさない土地でも条件を満たせば建築を可能にできる便利な制度ですが、申請の可否や審査結果はケースごとに異なります。

また、再建築の保証がないことで資産価値や売却価格に影響が出る場合も。土地活用・売却を検討する際は、制度に詳しい専門の不動産会社へ相談し、適切な判断と安全な取引を進めましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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