不動産の贈与にかかる税金は?贈与税の計算方法やかからない方法も紹介
2025.12.23

不動産を贈与すると、受け取った相手は贈与税をはじめ、登録免許税や不動産取得税などの税金を納める必要があります。ただし、一定の条件を満たせば節税することも可能。
本記事では不動産贈与にまつわる費用や計算方法を軸に、贈与のメリットやデメリット、名義変更手続きまで解説します。生前に贈与すべきか悩んでいる方は、まずは税金・費用面から理解を深めてみましょう。
目次
不動産の贈与にかかる税金・費用

不動産を贈与した場合、受け取った人に贈与税・不動産取得税・登録免許税、贈与した人に印紙税・専門家への報酬が発生する可能性があります。ここでは、不動産贈与にかかる税金や費用を詳しく見ていきましょう。
贈与税
贈与税とは、個人から財産をもらった人に課される税金です。生前に贈与を繰り返して相続税を減らすことを防ぐために設けられています。
年間110万円までは非課税で、贈与者と受贈者の関係性や財産の額によって変動します。
不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物を取得した人に対して課される税金です。自治体が設定する固定資産税評価額に一定の税率をかけて計算されます。
税率は通常4%ですが、令和9年3月31日までは住宅取得を促進する特例により3%となっています。毎年かかる固定資産税とは異なり、不動産取得税を納めるのは取得時の1回限りです。
登録免許税
不動産を贈与するときには、贈与者から受贈者へ所有権を移す「贈与登記」が必要で、その際に支払うのが登録免許税です。税率は贈与の場合2%で、相続による名義変更時が0.4%なのに対し、やや高め。
例えば、固定資産税評価額1,000万円の不動産を贈与された場合、登録免許税は1,000万円×2%で20万円です。法務局に対し、原則現金で納付します。
印紙税
印紙税とは、契約書などの課税文書に対して納める税金です。不動産を贈与する際に作成する贈与契約書も課税文書にあたるため、印紙を貼る必要があります。
贈与契約書とは、贈与者と受贈者の合意や贈与の事実を証明する書類で、不動産の場合は一律200円の印紙を貼付。契約書を各自保管用に1通ずつ作成する場合は、それぞれが印紙代を負担します。
専門家への報酬
不動産の贈与において、内容によっては専門家のサポートを必要とする場合もあります。その際、依頼内容に応じて費用が発生します。
- ・司法書士:不動産の名義変更手続きを代行
- ・税理士:贈与税の申告手続きをサポート
費用の目安はそれぞれ5〜10万円程度ですが、内容によっては追加でかかることもあります。事務所によって金額は異なるため、事前に確認しておきましょう。
不動産にかかる贈与税はいくら?計算方法を紹介

不動産を生前贈与すると、多くの場合、贈与税がかかります。贈与税の計算方法や税率は、贈与された財産の額や受贈者との関係によって変わります。
(例)暦年課税制度を利用した場合
計算式:贈与税=(1年間に受け取った財産の合計額-基礎控除110万円)×税率-控除額
基礎控除として、1年間で110万円までの贈与は非課税になります。また税率と控除額は、受贈者が18歳以上で直系尊属(親や祖父母)から財産を受け取った場合(特例税率)と、それ以外の場合(一般税率)で以下のように異なります。
| 基礎控除後の課税価格 | 特例税率/控除額 | 一般税率/控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10%/0円 | 10%/0円 |
| 400万円以下 | 15%/10万円 | 15%/10万円 |
| 600万円以下 | 20%/30万円 | 30%/65万円 |
| 1,000万円以下 | 30%/90万円 | 40%/125万円 |
| 1,500万円以下 | 40%/190万円 | 45%/175万円 |
| 3,000万円以下 | 45%/265万円 | 50%/250万円 |
| 4,500万円以下 | 50%/415万円 | 55%/400万円 |
| 4,500万円超 | 55%/640万円 | 55%/400万円 |
【計算例】
Cさん(18歳以上)が父親から3,000万円の不動産を贈与された場合
贈与税=(3,000万円-110万円)×45%-265万円=1,035.5万円
不動産の贈与税がかからない方法とは|4つの特例・非課税制度

不動産の贈与税は、各種特例や制度を利用することで節税できます。ここでは4つの特例・制度を紹介します。
1.暦年贈与
前述したとおり、暦年贈与とは毎年110万円までの贈与なら税金がかからない制度です。この「基礎控除110万円」は誰でも利用でき、不動産の場合も持分を分けて贈与すれば、非課税で少しずつ名義を移すことが可能です。
ただし毎年同じ金額・時期に贈与していると「定期贈与」とみなされ、過去分をまとめて課税されるおそれがあります。贈与契約書を毎年作成するなどして、対策しておくことが大切です。
国税庁:贈与税がかかる場合
2.相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、60歳以上の父母や祖父母が、18歳以上の子や孫に贈与する場合に適用できる制度です。累計2,500万円までは贈与税がかからず、それを超えた分には一律20%の税率がかかります。
ただし贈与した財産は相続税に合算して計算されるため、最終的な税は相続のタイミングで精算されます。また不動産をこの制度で贈与すると、相続税を節税できる「小規模宅地等の特例」が使えなくなる場合もあるため、慎重に判断しましょう。
国税庁:相続税精算課税の選択
3.配偶者控除
配偶者控除とは、結婚して20年以上経つ夫婦が、自宅やその購入資金を贈与する際に使える制度です。制度を利用すると贈与額のうち、毎年の基礎控除110万円も合わせて、最大2,110万円まで贈与税の対象外になります。
ただし適用できるのは同じ夫婦間で一度だけ。また贈与を受けた年の翌年に税務署へ申告しなければ適用されない点にも注意が必要です。
4.住宅取得資金の贈与の特例
住宅取得資金の贈与の特例は、父母や祖父母から住宅購入やリフォーム資金を贈与された場合に使える制度です。令和6年1月1日〜令和8年12月31日までの間に贈与を受けた場合、省エネ住宅なら最大1,000万円、それ以外の住宅では最大500万円まで非課税になります。
対象は18歳以上の子や孫で、所得が2,000万円以下であることなどいくつか適用条件があります。
国税庁:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
不動産の贈与におけるメリット・デメリット

不動産の生前贈与は、希望する相手やタイミングで財産を渡せる点や、相続税の節税につながる可能性があるのがメリットです。一方で、贈与税や諸費用の負担が大きくなることや、相続税の特例が使えない場合がある点には注意が必要。
自身の状況と照らし合わせて、生前贈与にするのか相続にするのか慎重に判断しましょう。
| 不動産贈与のメリット | 不動産贈与のデメリット |
|---|---|
| ・希望の相手、タイミングで贈与できる ・確実に財産を承継できる ・相続税の節税につながる ・家賃収入を受贈者に移せる ・配偶者控除の特例を活用できる |
・贈与税の負担が相続税より高くなりやすい ・名義変更や手続き費用がかかる ・相続開始前7年以内の贈与は相続税に加算される ・相続税の特例が使えない場合がある ・配偶者の相続税額軽減に使えない |
不動産贈与後にやること|不動産の名義変更

贈与で不動産を受け取ったら、名義変更の手続きが必要です。ここでは、贈与登記について解説します。
不動産の名義変更(贈与登記)とは
贈与で不動産を贈与された場合、不動産の所有者を移転する名義変更(贈与登記)が必要です。
登記をしないままだと正式な所有者として認められず、不動産を売却や担保にすることができません。また贈与者が亡くなった場合に相続財産とみなされ、トラブルになる可能性も。
自分の権利を守るためにも、名義変更は早めに行うのが安心です。
手続きは自分でできる?
贈与登記の手続きは自分で行うことも可能です。ただし手続きが複雑で、思わぬ税金負担や書類不備など、スムーズに手続きが進まないこともあります。
自分で対応するには時間と労力が必要なため、難しい場合は専門家に依頼するのが無難です。司法書士に相談すれば、その分費用はかかるものの、確実に登記を完了させてくれます。
節税対策をして無理なく不動産贈与を行おう

不動産を贈与すると、受け取る側に贈与税や登録免許税などがかかります。しかし特例や制度を適用することで負担を減らすことも可能です。賢く活用して、無理のない贈与を行いましょう。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。


