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田舎の土地を相続したらどうする?メリット・デメリットと7つの選択肢

2025.12.23

田舎の土地を相続したものの、「どうすればいいのか分からない」と悩む人は少なくありません。人口減少や需要の低下により、売却や活用が難しいケースも多く、維持するだけで固定資産税や管理費といった負担が続くこともあります。

この記事では、田舎の土地を相続する際のメリット・デメリットと、7つの主な選択肢を解説します。

田舎の土地を相続するメリット

田舎の土地の相続では、費用面や将来の資産価値といったメリットがあります。税負担を抑えて土地を取得できる他、地価上昇や再開発によって価値が高まる可能性もあります。まずは田舎の土地を相続するメリットを見ていきましょう。

税金や取得費用を抑えて土地を所有できる

田舎の土地を相続するメリットは、取得にかかる税金負担を抑えられる点です。購入や贈与とは異なり、相続では不動産取得税が課税されません。相続登記時に支払う登録免許税も軽減され、費用を低く抑えられます。

また、土地の相続税は「路線価」という時価の約8割で評価されるため、現金や株式に比べて税負担が少ない傾向にあります。条件を満たせば「小規模宅地等の特例」も利用でき、土地の評価額を最大80%減額することが可能です。これらを活用すれば、低コストで資産として土地を取得できるでしょう。

地価上昇や再開発で資産価値が高まる可能性がある

現在は地価が低い田舎の土地でも、将来的な開発計画や観光地化によって価値が上がる可能性があります。例えば新たな交通機関の整備、インバウンド需要の増加、都市開発などが起きると、土地需要が高まり地価上昇につながります。

長期的な目線で見れば、相続した田舎の土地が資産として大きなリターンを生むかもしれません。

賃貸・売却・活用など選択肢が広がる

田舎の土地を相続すると、所有・活用・売却など複数の選択肢が生まれます。例えば貸地や駐車場経営、太陽光発電などで副収入を得ることも可能です。田舎の家付き土地なら、リノベーションして民泊やグランピング施設として活用する方法もあります。

自分が将来的に移住して住む計画を立てることもでき、土地のまま保有することで柔軟に方向転換が可能です。相続した田舎の土地は負担ではなく資産として活かす方法が存在します。

田舎の土地を相続するデメリット

田舎の土地を相続すると、所有しているだけで固定資産税や管理費といったコストが発生します。さらに、立地や形状によっては活用が難しく、放置すればトラブルや法的責任を招くリスクもあります。

場合によっては次の世代に「負の遺産」として負担を残してしまう可能性もあるため、慎重に判断しましょう。

活用しない土地は維持費と管理リスクが大きい

田舎の土地を相続すると、使わなくても固定資産税や管理費などの維持費が発生します。固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で算出され、所有しているだけで毎年支払わなければなりません。

また、草刈りや樹木の伐採、空き家の修繕などの管理作業も必要で、遠方に住んでいる場合は交通費や業者依頼費がかさみます。放置すれば、草木の繁茂やゴミの不法投棄、害虫の発生などを招き、空き家があれば倒壊や火災などトラブルのリスクも増加します。

活用していない土地は手間もお金もかかる負動産となる可能性が高いでしょう。

土地の形や立地によっては活用が難しい

相続した田舎の土地は、地形や立地条件によっては活用自体が難しい場合があります。例えば極端に狭い敷地では建物を建てにくく、過疎地では人口減少の影響でアパート経営などの需要が見込めないため、投資しても赤字になるリスクが高くなります。

また、交通アクセスが悪い地域や市街化調整区域内の土地では、建築や商業利用が制限されるケースも。使い道が限られる土地ほど収益化が難しく、将来的に売却も困難になる点は、田舎の土地を相続する際の大きなデメリットです。

放置すれば損害賠償やトラブルに発展するおそれがある

管理を怠った土地が原因で他人に損害を与えた場合、相続人が責任を問われる可能性があります。例えば、倒木で通行人がけがをしたり、老朽化した建物が崩れて隣家を壊したりすると、修繕費や治療費などの損害賠償が発生します。

特に豪雪地帯や傾斜地の土地ではリスクが高く、放置するほど賠償額も大きくなる傾向です。

次の世代に「負の遺産」を残してしまう可能性がある

使い道のない土地を相続したまま放置すると、その負担は長男・次男などの子どもや孫の世代に引き継がれます。土地を相続した側が亡くなれば、再び相続が発生し、固定資産税・管理費の負担が連鎖します。

結果として、子孫が維持できず手放すにもコストがかかるという負のスパイラルに陥るケースも少なくありません。自分の代で処分や活用の方向性を決めておくことが、次世代への責任といえるでしょう。

相続した田舎の土地はどうする?7つの主な選択肢

相続した田舎の土地をどう扱うかは、多くの人が直面する悩みです。活用して収益を得る方法もあれば、維持負担を避けるために手放す選択もあります。ここでは代表的な7つの選択肢を紹介します。

1.駐車場や資材置き場として活用する

初期費用を抑えて土地を収益化する方法として、駐車場や資材置き場への転用があります。月極駐車場なら舗装や砂利敷きを行うだけで運営でき、狭小地や変形地でも活用しやすいのが特徴です。

コインパーキング会社への一括貸し出しにすれば、管理の手間も軽減できます。立地や需要に応じて柔軟に活用できる点が魅力です。

2.農地・自然を活かした活用方法を検討する

農地を相続した場合は、市民農園や貸農園として貸し出す方法があります。特定農地貸付方式を活用すれば、非農家でも運営が可能です。山林であれば、キャンプ場やグランピング施設として活用するのも一つの方法。

近年は自然を活かした体験型施設のニーズが高まっていて、田舎の土地でも安定した収益源となる可能性があります。

3.太陽光発電や再生エネルギー事業に活用する

日当たりの良い土地であれば、太陽光発電の設置も選択肢に入ります。発電した電気を電力会社に売ることで、長期的に安定した収入を得られます。ただし、初期投資や許可手続きが必要なため、専門業者に相談しながら進めましょう。

4.不動産会社に売却・買取を依頼する

土地を手放したい場合は、不動産会社への売却が一般的です。個人への仲介販売なら高値を狙えますが、買い手が見つかるまで時間がかかることもあります。

すぐに処分したい場合は、不動産買取業者への売却も選択肢の一つ。特に、田舎の土地に強い専門業者なら、再販や再利用のノウハウがあり、短期間での現金化も可能です。ただし、不動産買取業者への売却は個人へ売却するよりも価格が低いケースが多いので、複数の不動産会社による査定額を確認する必要があります。

5.個人や自治体へ寄付する

相続した田舎の土地は、売却が難しい場合に個人や自治体へ寄付するという方法もあります。ただし、自治体が寄付を受け入れるのは、公共目的で活用できる土地に限られるのが一般的です。山林や傾斜地、利用価値の低い土地は、管理コストの問題から断られるケースが多いでしょう。

個人への寄付も可能ですが、相手に管理負担が発生するため、受け入れてもらえない場合があります。個人や法人へ寄付する際は贈与税や譲渡所得税が課税される可能性がある点にも注意が必要です。

6.相続放棄を選択する

田舎の土地を相続しても使い道がなく維持費が負担になる場合は、相続放棄という方法があります。家庭裁判所に申し立てることで、固定資産税などの支払い義務を免れるでしょう。

ただし、田舎の土地だけを放棄することはできず、預貯金など他の財産も含めてすべてを放棄する必要があります。手続きは相続開始から3ヵ月以内が期限で、放棄後も管理責任が一時的に残るため、早めに専門家に相談するのが安心です。

7.相続土地国庫帰属制度を利用して手放す

相続した土地を国に返す相続土地国庫帰属制度は、2023年4月から施行された制度です。相続で手に入れた土地を国庫に帰属できます。ただし、建物がない・境界が明確・汚染や崩落の恐れがないなど厳しい条件を満たす必要があります。

特に田舎の土地は地形が複雑で管理費用がかかることが多く、制度を利用できないケースも少なくありません。申請には審査手数料や管理負担金も発生するため、事前に法務局や専門家へ相談してから検討しましょう。

法務省「相続土地国庫帰属制度について」

田舎の土地を相続したら、目的に合わせて活用か手放すかを早めに判断しよう

田舎の土地を相続すると、「いらない」「相続したくない」と感じる人が多く判断に悩むもの。土地は所有しているだけでも維持費がかかるため、使い道がない場合は早めに「活用するか」「手放すか」を検討することが大切です。

放置せずに、売却・寄付・相続放棄など自分に合った方法を選び、将来の負担を減らしましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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