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遺産分割とは?早めに進めるべき理由・分割方法・流れを解説

2025.11.02

遺産分割とは、相続が発生した後に「誰がどの財産をどれだけ受け取るか」を決める手続きです。話し合いがまとまらないまま放置すると、相続人同士の対立やトラブルに発展し、不動産の処分や名義変更も進められなくなります。

本記事では、遺産分割の意味や早めに進めるべき理由、分割方法、具体的な進め方の流れなどをわかりやすく解説します。

遺産分割とは

遺産分割は「誰が・何を・どのように」受け取るのかを決める重要な手続きであり、適切に進めなければトラブルに発展する可能性もあります。ここでは、遺産分割の基本的な意味や、遺産分割と相続の違いについて解説します。

遺産分割は「誰が何を受け取るか」を決める手続き

遺産分割とは、亡くなった人が残した財産を「誰が・何を・どのように」引き継ぐのかを相続人全員で決める手続きです。

遺言書が存在する場合、その内容に従って分割されるケースが一般的ですが、遺言がない、もしくは記載されていない財産がある場合には、相続人全員の話し合いで分け方を決定する必要があります。

なお、遺産分割協議は一人でも反対者がいれば成立しません。合意形成には時間も労力もかかるため、慎重な進行が求められるでしょう。

相続と遺産分割の違い

相続と遺産分割は混同されがちですが、それぞれ意味とタイミングが異なります。

相続とは、人が亡くなった瞬間に、その人の財産や権利・義務を法定相続人が自動的に承継すること。一方で、遺産分割は承継した財産の中身を「誰がどの部分を取得するか」を決める話し合いのことを指します。

つまり、相続は自動的に生ずる「権利の承継」であり、遺産分割はその承継内容を具体的に決める話し合いという位置づけです。

放置するとリスクあり!遺産分割を早めに進めるべき理由

遺産分割を放置すると、思わぬリスクに直面する可能性があります。令和5年4月1日に民法が改正され、相続開始から10年を過ぎると、寄与分や特別受益を考慮した「具体的相続分」での分割ができなくなるというルールが新たに設けられました。

具体的相続分とは、相続人それぞれの生前の貢献度(寄与分)や受け取った贈与(特別受益)を踏まえて、公平な割合で財産を分ける考え方のこと。10年を超えると、そうした実情にかかわらず、法定相続分でしか遺産を分けられなくなり、結果として不利益を被るケースも出てくるでしょう。

また、遺産分割を長期間放置することで相続人が代替わりし、協議が複雑化する事態も少なくありません。とくに不動産の場合、登記がなされないまま放置されると所有者の不明化を招き、社会問題に発展する恐れもあります。

公平な遺産分割を実現するには、できるだけ早期に話し合いをスタートさせることが肝心です。

法務省:不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~

遺産分割の方法

遺産分割のやり方にはいくつかの種類があり、財産の内容や相続人の希望によって適した方法が異なります。それぞれの特徴や注意点を理解したうえで、公平かつ円満な分割を目指すことが重要です。

現物分割|そのままの形で分ける

現物分割は、遺産をそのままの状態で相続人に分ける方法です。

例えば、長男が実家の不動産を、次男が預貯金を受け取るようなケースが該当します。現金や預金のように物理的に分けやすい財産であれば問題ありませんが、不動産や車などは相続分どおりに分けることが難しい場合も。そうした場合は、一部を売却して調整することや、他の分割方法と併用するケースもあります。

比較的シンプルな手続きですが、不公平感が生まれやすいため、慎重な話し合いが求められます。

換価分割|売却して現金で分ける

換価分割とは、遺産を売却して現金化し、そのお金を相続人で分ける方法です。

例えば、自動車や不動産などの財産を誰も取得したくない場合、これらを売却し、代金を平等に分けることで調整が可能。現物分割が難しい財産や、公平な配分を重視したいときに適しています。

ただし、譲渡所得税や手数料が発生する可能性があるうえ、評価額と実際の売却価格に差が出るケースもあるため、事前確認が不可欠です。

代償分割|1人が取得し代償金を支払う

代償分割は、特定の相続人が遺産を単独で取得し、その代わりに他の相続人に代償金を支払う方法を指します。

例えば、長男が実家を相続し、他の兄弟に一定額の代償金を支払うといった形がこれにあたります。建物や土地など分けにくい財産がある場合に向いていますが、取得する側に代償金を支払うだけの経済力が必要になる点は考慮すべきポイントです。

共有分割|相続人全員で共同所有する

共有分割とは、相続財産を複数の相続人で共有名義にする方法です。

例えば、兄弟3人で土地や建物を持ち分3分の1ずつ共有するケースが典型例。公平性を保つ手段として使われますが、将来的に売却や建て替えを行う際には共有者全員の合意が必要となるため、トラブルにつながるリスクがあります。

さらに、代を重ねると名義が複雑化しやすいため、できるだけ他の方法を優先した方が無難かもしれません。

遺産分割の流れ

遺産分割は、段階を踏んで着実に進めていく必要があります。相続税の申告期限(10ヵ月)もあるので、できる限り早めに取り掛かりましょう。ここでは、遺産分割の基本的な流れを4つのステップに分けて紹介します。

1.遺言書の有無を確認する

最初に確認すべきは、遺言書の有無です。遺言書がある場合、原則としてその内容に従って遺産を分けることになります。

自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要となる点に注意が必要です。公正証書遺言であれば検認不要ですぐに手続きへと移れます。遺品や法務局、公証役場など、見落としのないよう丁寧に確認しましょう。

2.相続人と遺産を確定する

次に、誰が相続人か、そして何を相続するのかを明確にします。遺産分割協議にはすべての相続人が関与しなければなりません。そのため、まずは戸籍謄本を取り寄せて相続人を正確に把握する必要があります。

同時に、被相続人の財産状況を調べ、財産目録を作成しましょう。確認漏れやミスを防ぐには、早めの準備が欠かせません。

3.遺産分割協議を行う

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う必要があります。遠方に住んでいるなどの理由で集まれない場合でも、書面や電話などを通じた合意で問題ありません。ただし、協議が長引くと相続税の申告期限(10ヵ月)に間に合わなくなるリスクも。必要に応じて早めに日程調整を進めるのが賢明でしょう。もし合意に至らない場合は、家庭裁判所での調停や審判に移行する可能性もあります。

4.遺産分割協議書を作成する

協議によって分割内容が決まったら、遺産分割協議書にまとめる必要があります。遺産分割協議書は、不動産の相続登記や預貯金の名義変更の手続きで提出が求められます。

相続人全員の署名と実印が必要で、印鑑証明書の添付も忘れてはなりません。内容に誤りがあると再作成が必要になるため、記載は慎重に行いましょう。

遺産分割協議書が必要な手続き

遺産分割協議書は、不動産の名義変更や払い戻しなど、多くの相続手続きで必要となる重要な書類です。

「協議書はどこでもらえるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、これは役所などが発行するものではなく、相続人自身で作成する書類です。誤りや不備があると手続きが進まないこともあるため、不安があれば専門家に依頼すると良いでしょう。

遺産分割協議書が必要な手続き 提出先
銀行口座の名義変更・払い戻し 各金融機関
株式の名義変更 取引のある証券会社
土地や建物の登記変更 管轄の法務局
自動車の名義変更 管轄の運輸支局
相続税の申告・納付手続き 被相続人の住所地を管轄する税務署

なお、令和6年(2024年)4月からは不動産の相続登記が義務化され、相続を知った日または遺産分割が成立した日から3年以内に申請しなければなりません。この期限を過ぎると、正当な理由がない限り10万円以下の過料を科される可能性も。

スムーズな相続のためにも、できるだけ早めに手続きを進めることが重要です。

遺産分割で発生しやすいトラブル

遺産分割は、財産をどう分けるかという問題にとどまらず、家族間の感情や価値観の違いが複雑に絡み合うため、予期せぬ争いに発展するケースも多く見られます。ここでは、よくある2つのケースについて紹介します。

家族間の感情の対立で協議が長引く

遺産分割では、金銭的な利害だけではなく、家族間の感情のもつれが大きな障害になることがあります。

例えば過去の確執や、「誰がどれだけ親の世話をしてきたか」といった認識のズレが影響し、冷静な話し合いが難航しがちです。さらに、特別受益や寄与分をめぐる主張では感情的になりやすく、協議が平行線をたどることもあるでしょう。

こうした状況では、相続人同士のみでの解決が難しいと感じた時点で、弁護士など第三者の関与を検討することが大切。関係の悪化を防ぎながら、着地点を見つけやすくなるはずです。

相続する不動産の評価や共有が原因でもめる

不動産が遺産に含まれる場合、その取り扱いをめぐってトラブルが生じやすくなります。特に、評価額に納得できない、誰が住み続けるのか決まらない、売却するかどうかで意見が割れるなど、感情と実利の両面で対立しやすい点が特徴です。

実家のように思い入れのある物件では、互いに譲歩できず話し合いが長引くケースも見られます。共有名義にした結果、後になって売却や管理をめぐって合意が得られず、より深刻な揉め事に発展する可能性も。

こうした事態を避けるには、早期に協議を始め、専門家の助けを得ることが不可欠です。

遺産分割は早めに進めよう

遺産分割は、相続人同士の合意形成や各種手続きに時間がかかるため、早めに進めることが大切です。放置すると、感情の対立や不動産の管理不全といったトラブルに発展する恐れもあります。将来の揉め事を防ぐためにも、早期の対応を心がけましょう。

住栄都市サービスでは、相続不動産に詳しい司法書士と提携し、無料相談を受け付けています。複雑な手続きやトラブルの不安を解消したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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