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相続財産調査の方法と期限を解説!自分で行う場合と専門家に任せる場合の違い

2025.10.31

相続が発生したら、まず取り組むべき手続きのひとつが相続財産調査です。遺産の全容を正確に把握しなければ、遺産分割協議や相続放棄、さらには相続税申告もスムーズに進められません。

本記事では、相続財産調査のやり方や期限を詳しく解説するとともに、自分で進める場合と専門家に依頼する場合の違いや判断基準についても紹介します。

相続財産調査とは

相続が始まった時に、まず取り組むべき重要な手続きのひとつが財産調査です。ここでは調査の意味や必要性、期限、対象となる財産についてみていきましょう。

遺産と負債を正確に把握するための手続き

相続財産調査とは、被相続人が残したすべての財産を洗い出し、その内容と価値を確定することを指します。財産には預貯金や不動産などのプラスの財産に限らず、借入金などの負債も含まれます。

相続財産調査は、遺産分割や相続放棄・限定承認、相続税申告など、相続に関するあらゆる判断や手続きを進めるための出発点です。

相続財産調査が必要な理由

相続を正しく進めるには、財産調査が欠かせません。

第一に、遺産分割協議を行うには「何をどれだけ分けるのか」を明確にする必要があります。財産の全体像が不明確だと協議がまとまらず、後から新しい財産が発見されれば、やり直しになるリスクもあるでしょう。

第二に、相続放棄や限定承認を選ぶ判断にも財産調査は不可欠です。借金が多い場合は放棄を選ぶべきですが、調査不足のまま進めると負債を背負う危険があります。

第三に、相続税申告を正確に行うためです。申告漏れがあれば加算税や延滞税が発生する恐れがあり、相続人にとって大きな負担になります。そのため、財産調査は丁寧に行うことが安心につながります。

財産調査の期限は2ヵ月以内

相続財産調査は、被相続人が亡くなってからできるだけ早く始め、2ヵ月以内に完了させるのが理想です。理由は、相続放棄や限定承認の申し立てには「相続開始を知った日から3ヵ月以内」という厳しい期限があるからです。

調査に時間をかけすぎると判断が間に合わなくなる恐れがあります。戸籍や残高証明、不動産登記簿などの取得には1〜2ヵ月かかることも珍しくありません。

また、相続税の申告期限は10ヵ月以内と決まっていて、調査が遅れると申告準備が追いつかず、ペナルティを受けるリスクもあります。借金を認識しないまま相続してしまう事態を避けるためにも、早期着手が重要です。

調査の対象となる財産

相続財産調査では、プラスの財産とマイナスの財産の両方を把握する必要があります。プラスの財産には、預貯金・株式・投資信託などの金融資産、不動産(土地・建物・借地権)、さらに自動車や貴金属、骨董品といった動産も含まれます。

一方、借入金・住宅ローン・保証債務・未払い税金などのマイナスの財産も調査対象です。これらを見落とすと、思わぬ負担を相続人が背負うことになりかねません。特にネット銀行や証券口座、仮想通貨といったデジタル資産は見落とされやすいので注意が必要です。

財産を漏れなく把握することが、正しい遺産分割や税申告の前提となります。

【種類別】相続財産を調査する方法

相続財産の内容を正確に把握するには、財産の種類ごとに調査方法を知っておくことが重要です。ここでは亡くなった人の財産を調べる方法を解説します。

1.預貯金

預貯金の調査は、まず取引していた金融機関を特定することから始めます。通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物が有力な手がかりです。特定できたら残高証明書を請求し、死亡日時点の残高を確認します。

残高証明書を請求する際は全店照会を依頼しておけば、複数口座の漏れを防げます。残高証明書は相続税申告にも必要です。近年はネット銀行の利用も増えていて、IDやパスワードの記録、メール履歴なども確認対象になります。

2.不動産

不動産は固定資産税の納税通知書や登記済権利証から特定します。手がかりが見つからない場合は、市区町村役場で名寄帳を請求することで所有不動産を一覧できます。

さらに、法務局で登記事項証明書を取得すれば権利関係や持ち分、抵当権の有無も確認可能です。評価額を知りたい場合は、固定資産税評価額や国税庁の路線価を利用します。正確な評価が必要な場合は、不動産鑑定士や不動産仲介会社などに依頼すると安心です。

3.有価証券

株式や投資信託といった有価証券は、証券会社から届く取引報告書や配当金通知書を手がかりに調査します。ネット証券を利用している場合は郵送物が届かないことも多いため、パソコンやスマートフォンのログイン履歴を確認してみましょう。

証券会社が特定できない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に情報開示請求を行えば取引口座の把握が可能です。最終的には証券会社に残高証明を依頼し、保有資産を確定させる必要があります。

4.動産(貴金属・自動車など)

動産の調査は、まず現物を確認することから始めます。貴金属や美術品は専門の鑑定士に査定を依頼し、自動車は車検証や保険証書を確認すれば所有状況を把握できます。自宅で見つからない場合は、貸金庫に保管されている可能性もあるため、銀行取引記録や契約状況を調べましょう。

ゴルフ会員権や骨董品などは相場変動が大きく、価値がわかりにくい財産。リスト化して記録を残し、専門家の査定を受けて時価を把握しておくことが重要です。

5.負債

負債の調査は見落としが命取りになりかねないため、細心の注意が必要です。まず契約書や督促状、返済明細といった郵便物を確認しましょう。通帳の入出金履歴を調べれば、借入先を推測できるケースもあります。

信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に照会すれば、消費者金融やクレジットカード、銀行ローンなど幅広い借入情報の把握が可能です。保証債務や個人間の貸し借りについては、残された書類や人間関係をたどることが手がかりとなります。

相続財産調査は誰がする?2つの選択肢

相続財産の調査は、相続人自身が行う方法と専門家に依頼する方法の2つがあります。財産の規模や複雑さ、また時間や費用の余裕によって、どちらを選ぶかが変わってきます。判断基準を整理した比較表も参考にしながら、自分に合った進め方を検討するとよいでしょう。

判断基準 自分でも可能なケース 専門家に依頼した方が良いケース
財産の数・種類 少ない/把握できている 多い/全体像が不明
不動産の有無 なし あり
時間・労力 平日に動ける余裕がある 忙しく時間が取れない
相続財産調査にかかる期間 約1〜2ヵ月 約2週間〜1ヵ月
相続財産調査にかかる費用 数千円〜数万円 10〜30万円

自分でする場合

財産の種類が少なく、ある程度の内容を把握できているなら、自分で調査を進めることも可能です。費用を抑えたい人や、平日の日中に役所や銀行に動ける人、時間をかけて丁寧に調べられる人に向いています。

通帳や権利証などを手がかりに、残高証明や登記事項証明を取得すれば、基本的な調査は十分進められるでしょう。

ただし、不動産の評価や複雑な相続人関係が絡む場合は難易度が上がり、誤りや見落としがトラブルの原因になるおそれがあります。

専門家がする場合

相続財産の種類が多い、不動産や有価証券を含む、あるいは期限までの時間が限られている場合は、専門家に依頼する方が適しています。特に、平日に金融機関や役所に行く余裕がない人や、調査の漏れによるトラブルを避けたい人に向いている選択肢です。

専門家にも得意分野があり、状況によって依頼先を選ぶ必要があります。誰に頼むべきかは次のとおり。

専門家 得意分野 向いているケース かかる費用
弁護士 法律相談・紛争解決 相続人同士で争いがある/調停や裁判に発展しそうな場合 10〜30万円+案件の難易度により変動
税理士 相続税申告・財産評価 相続税がかかる可能性がある/節税を意識したい場合 遺産総額の0.5〜1%が目安
司法書士 相続登記・権利関係 不動産の名義変更を伴う場合/登記手続きを確実に行いたい場合 10〜30万円
行政書士 書類作成・戸籍収集 財産目録や協議書を整えたい/軽めのサポートで十分な場合 数万円〜10万円程度

調査の正確性やスピードを重視するなら、専門家に任せることで安心感が得られるでしょう。費用はかかるものの、リスクを回避し確実に相続手続きを進めたい人には、有効な方法といえます。

相続財産調査は早めに漏れなく進めよう

相続財産調査は、遺産分割や相続放棄、相続税申告などすべての手続きの基盤となる重要な作業です。期限を意識しながら早めに着手し、漏れのない調査を行うことで、トラブルや余計な負担を防ぎ、安心して相続を進められるでしょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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