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実家を相続したらどうする?持ち続けるか手放す判断・手続き・税金まで徹底解説

2026.02.23

実家を相続したものの、「このまま持ち続けるべきか、それとも手放すべきか」と悩んでいませんか?相続には、名義変更や税金の申告など期限付きの手続きが多いため、放置すると思わぬトラブルが発生することも。

この記事では、実家を相続した際の選択肢や活用・売却といった方法、必要な手続きの流れ、注意点や節税制度までわかりやすく解説します。

実家を相続した場合の選択肢|1.持ち続ける

実家を相続したら、まずは持ち続けるか手放すかを判断する必要があります。持ち続ける場合は、住む・貸す・活用するなど、いくつかの選択肢があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、実家の立地や建物の状態、家族の事情を踏まえ、適した活用方法を検討しましょう。

自分や兄弟などの親族が住む

実家を相続して親族が住む選択は、もっともシンプルで感情面でも自然なケースです。思い入れのある家に住み続けられるメリットがあります。

一方で、維持費や修繕費、固定資産税などのランニングコストも考慮が必要です。また、相続の公平性を保つには、他の相続人への配慮も欠かせません。調整が必要になることもあるため、注意しましょう。

他人に貸す

実家を第三者に貸すことで、賃料収入を得ながら、資産を保有し続けられるメリットがあります。住宅賃貸だけではなく、民泊や定期借家、譲渡型賃貸といった形も検討可能です。

ただし、立地によっては借り手が見つかりにくいこともあるため、近隣の賃料相場やリフォームの要否などを含めた検討をしましょう。

更地にし活用する

建物を取り壊して更地にすることで、実家の土地を多目的に活用できます。

具体的には、個人や法人への貸与、賃貸住宅や店舗の建設、または自ら事業を始めるなどの選択肢があります。

活用方法によって初期費用や収益性は大きく異なるため、立地・需要・コストを総合的に判断することが重要です。

実家を相続した場合の選択肢|2.手放す

次に、実家を手放す場合の活用方法を見ていきましょう。

売却する

活用する予定がない実家は、売却を視野に入れましょう。管理コストや固定資産税の負担を早めに手放せるうえ、現金化することで相続人全員での公平な分配もしやすくなります。

ただし売却には査定、契約、引き渡しといったステップが必要で、利益が出た場合には譲渡所得税も発生します。立地によっては売却額に差が出るため、事前に複数社へ査定依頼をして比較検討することが重要です。

相続を放棄する

相続した実家の使い道がなく、負担だけ大きい場合は「相続放棄」や「限定承認」も選択肢の一つ。相続放棄とは、全財産を放棄すること。限定承認はプラスの財産の範囲内でマイナスの責任を負う制度です。

例えば、活用が難しく売却も見込めない土地や建物を相続すると、固定資産税などのコストだけが発生してしまいます。財産の全体像をよく把握したうえで、慎重に判断することが大切です。

実家を相続した際の手続きの流れ

実家を相続したあとは、やるべき手続きがいくつもあります。後回しにするとトラブルやペナルティにつながることも。遺産分割協議書の作成から相続税の申告、登記まで、基本の流れを確認しておきましょう。

1.遺産分割協議書を作る

誰が、どのように相続するかを相続人全員で話し合い、全員の合意が得られたら遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書は、遺言書がない場合や遺言書に記載のない財産がある場合に作成することになります。また、不動産の登記や金融機関での手続き、相続税申告にも必要となる重要な書類。

円滑な相続手続きのためにも、遺産分割協議書は早めに作成するよう準備しておくことが大切です。

遺産分割協議書について詳しく知りたい人は以下をチェックしてください。
遺産分割協議書とは?作成の流れと書き方のポイントを解説

2.相続税申告・納付をする

相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。期限は相続開始を知った翌日から10ヵ月以内。申告漏れや過納防止のため、専門家のサポートを受けるのもおすすめです。

3.相続登記をする

相続登記は、2024年4月から義務化された手続きのため、漏れのないよう期限内に行いましょう。名義変更しないと、不動産の売却が出来ず、融資も受けられません。また、最大10万円の過料が科される可能性もあるので、注意が必要です。

相続登記について詳しく知りたい人は以下をチェックしてください。
相続登記義務化と手続きの簡素化|相続登記について知っておくべきこと・やり方を解説

実家を相続する4つの注意点

実家の相続には、思わぬ落とし穴が潜んでいます。トラブルや損失を避けるために、特に注意したい4つのポイントを紹介します。

1.相続割合は平等に分ける

実家を相続した人としなかった人で、不公平感が生じやすく配慮が必要です。実家以外に相続財産がない場合は、相続トラブルに要注意。

特に、相続人の一人が実家を相続する際は、他の相続人に支払う代償金としての現金が不足し生活費に困るケースも。相続人全員が納得できる形を模索することが、円満な相続への第一歩です。

2.共有名義は後のトラブルになりやすい

実家を共有名義にするのは、将来的なトラブルの原因となる傾向があります。

共有名義にした場合、不動産の売却や賃貸は共有者全員の同意が必要。また、相続が重なると権利関係が複雑化し、管理や活用が難しくなるリスクが生じます。可能であれば、単独名義か売却をして、現金分割を検討しましょう。

3.空き家のまま放置すると費用がかかる

相続した実家は、空き家のまま放置しないことが重要です。

劣化や害虫被害、近隣トラブルに加え「特定空家」に指定されれば、固定資産税が増加する可能性もあります。定期管理や専門サービスの利用、早めの売却・活用を検討し、資産価値と安心を守りましょう。

4.手続きには期限がある

実家を相続した際には、複数の手続きがあります。期限を過ぎると金銭的負担となることがあるため、早めの確認と準備が重要です。

手続き内容 期限 主なポイント 期限を過ぎた場合のリスク
相続放棄・限定承認の申述 3ヵ月以内 ・借金がある場合は要検討
・相続放棄は単独でOK、限定承認は相続人全員で行う必要あり
・借金も含めて全財産を引き継がなければならない
・借金の返済義務が発生するおそれ
準確定申告(被相続人の所得申告) 4ヵ月以内 ・死亡年の収入を申告 ・延滞税の可能性
相続税の申告・納付 10ヵ月以内 ・基礎控除額超過時に必要(3000万円+600万円×相続人数)
・特例適用で節税可能
・無申告加算税・延滞税が課される可能性
・節税特例が受けられなくなる

実家の相続でかかる2つの税金

実家を相続すると、相続税と登録免許税が発生する可能性があります。各税金を正しく把握し、早めに備えることが円滑な相続につながります。

税金の種類 内容 計算方法・税率
相続税 ・相続財産の総額が基礎控除を超えた場合に課税される
・基礎控除を超えなければ相続税はかからない
・基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
・不動産は路線価や固定資産税評価額で評価
登録免許税 ・不動産の名義変更(相続登記)に必要な税金 固定資産税評価額×0.4%

【節税】実家を相続するときに活用できる3つの特例

実家を相続すると、思いがけず税金が重くのしかかることも。そんな時に知っておきたいのが「節税の特例」。条件を満たせば相続税や譲渡所得税を大きく減らせる制度があります。代表的な3つの特例をご紹介します。

1.小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は一定の条件を満たすと、宅地評価額が最大80%減額され、相続税を大幅に軽減できる制度です。特に、同居している配偶者が恩恵を受けやすい傾向があります。

しかし、適用には細かな要件があり、事前の売却などで無効になることもあるため、専門家への相談が重要です。

小規模宅地の特例について詳しく知りたい場合は以下をチェックしてください。
小規模宅地等の特例とは?要件や計算法、必要書類をわかりやすく解説

2.空き家の3,000万円特別控除の特例

相続した空き家を売却する際、一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。

主な適用条件は、被相続人が亡くなる時点で一人暮らしだったこと、住宅が昭和56年5月31日以前に建築されたこと、売却代金が1億円以下であることなどがあります。適用には細かな要件があり、同居していた家族がいた場合などは対象外になるため、事前に税理士など専門家に相談することが重要です。

3.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

取得費加算の特例を使えば、不動産売却時の譲渡所得税を軽減できます。

相続した土地や建物を、相続税申告期限から3年以内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を減らせる制度です。課税対象額が下がり、税負担を抑えることが可能。

ただし、空き家の3,000万円特別控除との併用はできないため、どちらを使うかは慎重な選択が必要です。

実家の相続に向けた具体的な準備を

実家の相続には、登記や相続税の申告、名義変更など期限付きの手続きが多く、共有や空き家放置などが思わぬトラブルに発展することもあります。

だからこそ、今のうちから実家の評価額を把握し、相続人同士で話し合いを進めておくことが重要です。いずれ訪れる相続に向けて、できる準備から始めておきましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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