マンションの相続で税金はいくらかかる?評価額の計算方法と節税対策を解説
2026.02.23

マンションを相続した時の税金は、マンションの評価額や相続人の人数によって変わります。特に令和6年以降は、分譲マンションの相続税評価に新ルールが導入され、従来よりも課税額が上がるケースも少なくありません。
この記事では、マンションの相続にかかる税金の基本から、評価額の計算方法、節税につながる特例まで解説します。
目次
マンションを相続したら税金はかかる?基本のルール

マンションを相続した時に税金がかかるかどうかは、物件そのものの価格だけで判断できるものではありません。ここでは、マンションを相続した際の相続税の基本的な仕組みと課税の条件について解説します。
相続税はマンションを含めた遺産全体に対してかかる税金
相続税は、マンション単体に課税されるものではなく、被相続人が残したすべての遺産の合計額に対して課されます。マンションの相続税評価額だけを見て「自分には関係ない」と判断してしまうのは危険です。
実際には、現金や預貯金、株式、生命保険などをすべて合算した遺産総額をもとに、家族全体にかかる相続税の総額が計算されます。その後、借金などのマイナスの遺産を控除し、実際に財産を受け取る相続人ごとに税額が按分される仕組みです。
つまり、遺産の中のマンションだけを相続したとしても、他の財産と合わせて基準を超えると課税対象になる可能性があります。
相続税は遺産総額が基礎控除額を超える場合にかかる
相続税は、被相続人の遺産総額が基礎控除額を超えた場合にのみ発生します。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算され、例えば相続人が3人いれば控除額は4,800万円となります。
遺産総額がこの金額以下なら相続税はかからず、申告も不要。しかし「実家のマンションの評価額が少ないから大丈夫」と考えていても、他の遺産の存在によって課税対象になるケースがあるため注意が必要です。
課税の有無を正しく判断するためには、マンションを含めたすべての財産の評価額を正確に把握することが欠かせません。
マンションの相続税評価額の計算方法

マンションを相続する際には、建物部分と土地部分それぞれの相続税評価額を算出し、その合計額をもとに課税額が決まります。建物は固定資産税評価額を基準とし、土地は路線価や倍率方式を用いて計算します。
建物の相続税評価額の計算方法
マンションの建物部分は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
一方、賃貸用では借家権割合(通常30%)や賃貸割合(課税時点で実際に貸し出されている部分の面積の割合)を考慮して減額されます。例えば、固定資産税評価額が4,000万円のマンションを賃貸している場合、「4,000万円×(1−0.3×賃貸割合)」という計算式で評価額を算出します。
これにより、賃貸中であれば相続税評価額を抑えられるという仕組みです。
土地の相続税評価額の計算方法
土地部分は、まず敷地全体の評価額を路線価方式(路線価×面積×補正率)または倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で算出します。
続いて、敷地権割合(登記事項証明書に記載)を掛けることで、所有する専用部分の土地評価額を算出。この算出方法により、マンション1室分に相当する土地の評価額を把握できるでしょう。
令和6年以降に相続したマンションの税金には区分所有補正が適用される

令和6年(2024年)の法改正により、相続または贈与で取得する分譲マンションには、新たに「区分所有補正」が適用されます。
評価額の見直しによって、従来より相続税の負担が増えるケースもあるため、早めの情報収集と対策が欠かせません。
制度導入の背景と評価額見直しの概要
令和6年1月1日以降に相続または贈与で取得した分譲マンション(一室)は、区分所有補正率の適用が義務化されました。
従来は市場価格が5,000万円あっても、相続税評価額が2,000万円前後というケースも多く、実勢価格と評価額の差(評価乖離)を利用した節税対策が問題視されていました。
こうした不公平を是正するため、評価乖離率と評価水準に応じて、建物と土地の評価額を見直す仕組みが導入されています。評価額の見直しによって相続税の負担が大きく変わる可能性があるため、注意が必要です。
評価水準に応じた補正率の適用ルール
マンションの相続税評価額を補正する際は、まず評価乖離率を算出し、そこから評価水準(=1÷評価乖離率)を導き出します。この評価水準に応じて補正の有無や補正率が決まります。
<評価水準に応じた補正率の判定ルール>
- ・評価水準が0.6未満の場合、補正率は「評価乖離率×0.6」となり、評価額は増加
- ・評価水準が0.6以上1.0以下であれば補正は行われず、評価額は補正前と同じ
- ・評価水準が1を超える場合は、補正率=評価乖離率となり、評価額は減額される
相続税評価額の計算は非常に複雑なため、相続専門の税理士などの専門家に相談することが推奨されます。また、評価額をシミュレーションする場合は、国税庁の公式Webサイトにある計算ツールを活用すると便利です。
国税庁:B2-6 居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書
マンション相続の税金を抑えるための控除や特例

マンションを相続すると、評価額によっては高額な相続税が発生する可能性があります。しかし、条件を満たせば税額を大幅に減らせる控除や特例が用意されています。
小規模宅地等の特例
相続したマンションの土地(敷地権の持分)については、小規模宅地等の特例を適用することで、評価額を最大80%削減できます。例えば、配偶者や同居の親族が居住用マンションを相続する場合は、330㎡までの敷地持分について最大80%の減額が可能です。
一方、賃貸用マンションの場合は200㎡までを対象に50%の減額となります。適用には「同居・引き継ぎ要件」や申告期限までに遺産分割協議が整っていることなどの条件があるため、事前の確認が欠かせません。この制度を正しく使えば、相続税の負担を軽減できます。
小規模宅地等の特例とは?要件や計算法、必要書類をわかりやすく解説
配偶者控除
法律上の配偶者が相続した財産については、配偶者控除(税額軽減制度)を適用することで、最大1億6,000万円または法定相続分相当額までは相続税がかかりません。
ただし、この制度を受けるには遺産分割が確定していて、相続税申告書を提出していることが条件です。税額が0円の場合でも申告は必須なので注意しましょう。また、将来の二次相続に備えて相続配分を見直しておくことも安心につながります。
マンションの相続から税金納付までの手続きの流れ

マンションを相続すると、権利関係の整理から名義変更、相続税の申告・納付まで、いくつもの手続きを期限内に進める必要があります。ここでは、相続開始から税金納付までの基本的な流れを3つのステップで解説します。
1.相続人を確定し、遺産分割協議を行う
相続手続きは、まず「誰が相続人か」と「何を相続するか」を明確にすることから始まります。遺言書があればその内容に従って進めますが、なければ戸籍を調査して法定相続人の確定が必要です。
それから、マンションを含む遺産をどのように分けるか、相続人全員で話し合い、遺産分割協議書にまとめます。不動産は現物分割が難しいため、売却や代償分割を選択する場合もあり、マンションを誰が取得するかは慎重に決めることが重要です。
2.法務局で相続登記(名義変更)を申請する
マンションを相続したら、法務局で相続登記(名義変更)の手続きを行います。令和6年4月からは相続登記が義務化され、相続が発生したら3年以内に申請しなければなりません。
登記を放置すると、不動産の売却や担保設定ができなくなるだけではなく、将来的に相続人が増えて手続きが複雑化する恐れがあります。費用は登録免許税(評価額×0.4%)と書類の取得費が基本で、司法書士へ依頼する場合はその報酬も必要です。
相続による不動産の名義変更が義務化!申請方法や必要書類を徹底解説
3.税務署に相続税の申告・納付を行う
相続税の申告・納付は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に行わなければなりません。申告は被相続人の住所地を管轄する税務署に提出し、必要書類として申告書、戸籍、遺産分割協議書、財産評価に関する資料などが求められます。
納期限を過ぎると延滞税や加算税が課されるため、早めの準備が大切です。また、申告が不要なケースでも、特例や控除を受けるには申告が必要な場合があるため注意しましょう。
マンション相続に対する税金の計算は専門家へ相談を

マンション相続の税金は、評価額や控除の適用条件によって大きく変わります。誤った判断で申告すると、余計な税負担や延滞税が発生する恐れもあります。複雑な計算や特例の可否は、税理士などの専門家へ相談し、正確かつ有利に手続きを進めましょう。
住栄都市サービスでは、マンション相続や税金対策に詳しい専門家が丁寧にサポートします。評価額の計算や控除の活用、申告手続きまで安心して進めたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。




