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被相続人とは|相続人との違いや続柄の書き方もわかりやすく解説

2025.09.01

被相続人とは、亡くなった人のことです。その人の遺産を引き継ぐ人を相続人といいます。

本記事では被相続人をはじめ、相続人とはどこまでの範囲なのか、推定相続人とは誰なのか、被相続人との関係の正しい書き方などを解説。相続が初めての方にもわかりやすく紹介しているので、ぜひ最後までご覧くださいね。

被相続人とは?意味や相続人との違いは?

被相続人とは故人のことで、その方の財産を引き継ぐのが相続人です。ここでは、被相続人と相続人の定義や法定相続人と推定相続人の違いについて解説します。

被相続人は亡くなった人、相続人は遺産を引き継ぐ人

被相続人とは、財産を遺して亡くなった人のことです。一方相続人は、その財産を引き継ぐ人のことを意味します。例えばある方が財産を残して亡くなった場合、その方が被相続人となり、家族など民法で定められた相続権を有する人が相続人になります。

相続財産には現金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含まれるため、誰が何を相続するかを明確にすることが重要です。

「被相続人=亡くなった人」「相続人=財産を引き継ぐ人」と整理して覚えておけば、相続の基本的な仕組みが理解しやすくなるでしょう。

法定相続人と推定相続人の違い

法定相続人と推定相続人は、「相続が始まっているか」で使い分けられます。

法定相続人とは、民法で「相続する権利がある」と定められた人のこと。相続が発生したときに実際に遺産を受け取る人のことで、配偶者や子どもなど一定の家族関係にある人が該当します。

推定相続人とは、相続が始まる前の段階で「将来相続人になると見込まれる」人のこと。被相続人がまだ生きている状態で、相続の権利はまだ発生していません。

将来の相続を見据えて準備をしておきたい場合は、まず推定相続人が誰なのかを把握しておくと、スムーズな相続対策につながります。

遺産相続には「順位」と「割合」がある

相続人には優先順位があり、遺産を相続できる割合も法律で決められています。ここでは、遺産相続における優先順位と相続割合、相続人の調べ方について解説します。

相続の優先順位

相続には「誰が優先して相続人になるか」という順番が民法で決まっています。まず、配偶者がいる場合は必ず相続人になります。ただし、相続権が認められるのは婚姻届を提出している法律上の配偶者のみです。

そのうえで、法定相続人の順位は以下のとおりです。

第1位:子ども
第2位:親
第3位:兄弟姉妹

例えば、配偶者がいる被相続人に子どもがいる場合の相続人は、配偶者と子どもになります。この場合、親や兄弟姉妹が生きていたとしても相続権はありません。また子どもがすでに亡くなっていた場合は、その子である孫が代わりに相続する「代襲相続」が発生します。

相続の割合

誰がどのくらい遺産をもらえるかは、民法で「法定相続分」として以下のように決められています。

相続人の組み合わせ 配偶者の相続分 その他の相続分
配偶者のみ すべて
配偶者+子ども 1/2 1/2
配偶者+親 2/3 1/3
配偶者+兄弟姉妹 3/4 1/4

子どもや兄弟姉妹などが複数いる場合は、相続分を人数で均等に割ります。

なお、法定相続分はあくまで「原則」であり、遺言がある場合や相続人同士の話し合い(遺産分割協議)を行った結果、取り分を変更することは可能です。ただし相続分の極端な偏りはトラブルの原因となりかねないため、慎重に決めましょう。

相続人の調べ方

相続人を調べるには、被相続人の戸籍謄本類をすべて集める必要があります。具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍などを収集します。

例えば被相続人が離婚・再婚していた場合や、過去に認知した子どもがいた場合など、戸籍を辿ることで思いがけない相続人が判明することもあります。

なお、戸籍謄本は本籍地のある役所で取得が可能。自分で収集が難しい場合は、司法書士や行政書士などの専門家に相談するのも一つです。

被相続人の意思を反映させる4つの方法

相続において、被相続人の意思を反映させるために生前にできることとして、4つの方法があります。ここでは、遺言書・生前贈与・家族信託・相続廃除について解説していきます。

1.遺言書を作成する

被相続人の意思を相続に反映させるには、遺言書の作成が確実です。遺言書があれば、「誰にどの財産を相続させたいか」を自由に指定でき、法定相続人以外の人に財産を譲ることも可能です。

また、遺言書は相続人同士のトラブルを防ぎやすくするメリットも。遺言書を作成する場合は、内容が法律的に有効となるよう正しい方法で作成しておくことが大切です。

2.生前贈与をする

生前贈与とは、被相続人が生きているうちに財産を相手に渡す方法です。贈与という形をとることで、死亡後に発生する相続手続きに関係なくスムーズに財産を譲れます。

例えば、長年介護してくれた子どもに生前に財産を贈与しておけば、感謝の気持ちを形にできます。ただし生前贈与には贈与税がかかる場合もあるため、非課税枠や特例を活用しながら進めるとよいでしょう。

3.家族信託を活用する

家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理を任せて、被相続人の希望どおりに財産を活用してもらう契約のことです。例えば、「長男に財産を預けて、高齢の妻の生活費として使ってほしい」といった願望を実現できます。

家族信託は、被相続人が亡くなった後も財産管理が継続される点が特徴です。ただし契約内容が複雑になりがちなため、専門家への相談を検討するとよいでしょう。

4.相続廃除をする

相続廃除は、被相続人に対して虐待や暴言、重大な非行をした相続人から、相続権を奪う制度です。被相続人が家庭裁判所に申し立てることで、その人を相続人から外すことが可能になります。

ただし裁判所の判断が必要なため、誰でも自由に相続権を奪えるわけではありません。どうしても相続させたくない相手がいる場合に、制度を知っておくことで被相続人の意思を反映しやすくなるでしょう。

被相続人との続柄の書き方

相続手続きをスムーズに進めるためには、被相続人との「続柄(つづきがら)」を正しく書くことが大切です。続柄とは、自分と被相続人の関係を表す言葉のこと。例えば、長男・長女・配偶者・養子などが該当します。

書き方は戸籍に記載されている表現に従うのが基本です。ただし「子」の記載には注意しましょう。「子」だけでは実子か養子か区別がつかず、相続税の申告などに使えないケースがあります。

続柄の記載には正確さが求められるため、戸籍をよく確認し、必要に応じて専門家に相談するとよいでしょう。

相続になれないのはどんな人?

「家族だから相続人になれる」と思いがちですが、たとえ身近な存在であっても法的な関係がない人や、特定の事情に当てはまる人は相続人にはなれません。具体的には以下のような人が該当します。

  • ・離婚した元配偶者
  • ・事実婚や内縁関係のパートナー
  • ・養子縁組していない再婚相手の子
  • ・子どもの配偶者(例:長男の嫁)
  • ・従兄弟や甥姪の子、配偶者の親族など

また、法律上は相続人であっても、以下のようなケースでは相続権を失ってしまいます。

  • ・相続放棄をした人
  • ・相続欠格事由に該当する人(例:被相続人を殺害・脅迫した等)
  • ・相続廃除の申し立てをされ、家庭裁判所に認められた人(例:虐待や著しい非行があった等)

いざ相続が発生したときに「遺産をもらえると思っていたらもらえなかった」とならないよう、事前に確認しておくと安心です。

被相続人とは故人のこと!遺産相続は相続人を決めるところから始めよう

被相続人とは、亡くなった方のこと。相続は「誰が相続人か」を知ることから始まります。

相続人には順位や相続分が法律で定められており、戸籍や続柄の確認、生前の備えも大切です。正しく理解しておくことで、遺産分割や相続手続きをスムーズに進められます。

初めての相続で不安な方も、まずは基本を知ることから始めてみましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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