相続不動産

JOURNAL

相続ジャーナル

お客様のお役に立つ情報を随時配信しています

相続手続きは自分でできる?メリット・デメリットや必要な手続き一覧・流れを解説

2025.04.25

相続手続きは「難しそう」と思われがちですが、条件が合えば自分で進めることも可能です。この記事では、自分で手続きができるケースやメリット・デメリット、相続手続き一覧などをわかりやすく解説。専門家に依頼すべきケースや複雑な手続きの流れまで紹介します。自分でやるか専門家に依頼するかの判断材料としても参考にしてください。

自分で相続手続きができるケース

相続手続きは複雑な内容ではありますが、以下の3つのケースでは自分で手続きを進めやすいです。

  1. 1.相続人が配偶者と子供のみで、関係が良好な場合
  2. 2.計画的に手続きを進められる場合
  3. 3.預貯金や不動産が少数の場合

 

自分で相続手続きをするメリット・デメリット

相続手続きを自分ですると、費用を抑えることが可能です。一方で、登記漏れのリスクが生じ、時間・手間がかかってしまいます。本章では、相続手続きを自分でするメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

メリット|専門家に依頼する費用を抑えられる

相続手続きを自分で行うと、専門家に依頼する費用の節約が可能です。

司法書士や弁護士に依頼すると、10万円前後かかるといわれています。一方、自分で手続きする場合の自己負担は、戸籍取得費や登録免許税などの実費のみ。経済的な負担を抑えられるのは大きなメリットです。

デメリット|登記漏れのリスク・時間や手間がかかる

相続手続きを自分で行い、手続きのミスや漏れがあると、時間と労力がかかってしまいます。また、相続人間のトラブルが起こりやすいこともデメリットとして挙げられます。

多くの人にとって、書類の収集や手続きが複雑で、不備があればやり直しになり、精神的負担も大きくなりがちです。自分で手続きを行う場合は、デメリットを理解し、慎重に進めましょう。

自分でできる相続手続き一覧

相続手続きには、以下のようにやるべきことがたくさんあります。手続きによっては期限が決まっているものもあるため、以下のリストに沿って、計画的に進めていきましょう。

【相続手続き一覧表】

期限 手続き内容
7日以内 死亡診断書の受け取り
死亡届の提出
火葬許可証・埋葬許可証の取得
金融機関へ口座凍結の連絡
公共料金・契約サービスの解約・名義変更
10〜14日以内 年金受給権者死亡届の提出
健康保険証・介護保険証の返却
世帯主変更届の提出
1か月以内 銀行の口座凍結解除・名義変更
2か月以内 遺言書の確認・検認手続き
相続人の調査(戸籍取得)・財産調査(不動産・預貯金)
3か月以内 相続放棄・限定承認の申述
4か月以内 準確定申告(故人の確定申告)
6か月以内 遺産分割協議・協議書の作成
10か月以内 相続税の申告・納付
1年以内 遺留分侵害額請求の手続き
2年以内 葬祭費・高額療養費の請求
3年以内 生命保険金の請求
相続登記(不動産名義変更)

相続手続きを専門家に依頼すべき4つのケース

相続手続きの中でも複雑な手続きやトラブルのリスクが高いケースでは、専門家に依頼した方が安心です。本章では、司法書士や弁護士、税理士などの専門家に相談すべき相続手続きを4つ紹介します。

1.複雑な相続登記

以下のような複雑なケースでは専門家のサポートが必要です。

  • ・兄弟姉妹や代襲相続が発生する場合:取得すべき戸籍が膨大になり、手続きが煩雑になる
  • ・相続人同士の仲が悪い場合:遺産分割協議が進まず、登記が滞る可能性がある
  • ・長期間登記が放置されている場合:先祖名義のままの不動産は、手続きが複雑化しやすくなる
  • ・特殊な遺産分割をする場合:代償分割や換価分割は、協議書のミスが贈与税発生につながる
  • ・売却を急ぐ・遠方の不動産の場合:迅速な名義変更が必要なら専門家のサポートが必要になる
  • ・戸籍の保存期間切れの場合:追加書類の提出が必要になり、手続きが難航する可能性がある

状況に応じて専門家に依頼し、スムーズに手続きを進めましょう。

2.相続放棄・限定承認の申立て

相続が発生したら、相続人は遺産を単純承認するか、相続放棄するか、限定承認するかを選択します。原則、3か月以内に手続きをしなければなりません。

清算の手続きを手間に感じたり、相続人間のトラブルを避けたりしたい場合は、弁護士へ相談しましょう。

種類 内容
相続放棄 相続財産の資産も負債も一切引き継がず放棄すること
限定承認 相続財産の負債を清算し、財産が余った部分を引き継ぐこと

不動産の相続放棄について詳しく知りたい人は、以下の記事をチェックしてみてください。

3.相続税の申告

相続税の申告で追加徴税のリスクを避けるためには、税理士などの専門家に依頼しましょう。相続税の申告漏れがあると追加徴税が発生し、本来払うべき金額よりも多く払わなければなりません。

国税庁の「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」によると、1年間に全国で相続税の実地調査は8,196件行われ、そのうち7,036件が、相続税の申告漏れなどの違法行為として指摘されました。前年度と比べても、割合は増加しています。相続税の申告は複雑で、自分でやると申告が漏れてしまう可能性があるため、注意が必要です。

4.遺留分侵害額請求

遺留分は、遺言によっても侵されない相続人の権利です。遺言書によって、一部の相続人が財産を受け取れないなど遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求の手続きを行うことができます。

遺留分侵害額請求は、専門的な手続きが必要ですので、自分で行うのは困難な場合が多い。弁護士に依頼すれば、取りこぼしのない遺留分侵害額の算定や、相続人間の交渉、調停や裁判になった場合の対応もしてもらえます。時間や手間を大幅に削減し、トラブルを防ぐことが可能です。状況に応じて適切な専門家を活用しましょう。

【相続登記】自分で手続きをする場合

本章では、相続登記を自分で手続きするための流れ、必要添付書類と取得費用をお伝えします。全体感を掴み、スムーズな手続きを目指しましょう。

相続登記の流れ

相続登記を自分で行う場合、必要な手続きを正しい順序で進めることが重要です。以下のステップに沿って、確実に手続きを進めましょう。

ステップ1.相続する不動産を確認

固定資産評価証明書や登記簿謄本を取得し、相続財産を特定する。

ステップ2.相続人の確定と遺産の分割方法を決定

被相続人の戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定します。

遺言がある場合は、その内容を確認。ない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、協議書を作成します。

ステップ3.必要書類の収集と作成

被相続人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本・住民票、登記申請書(法務局HPからダウンロード可)などを収集・作成。詳しくは後述します。

ステップ4.法務局へ登記申請

必要書類を揃えたら、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請しましょう。申請後、審査を経て登記が完了し、新しい名義の登記識別情報が発行されます。

事前に書類を確認し、ミスなく申請することが重要です。

相続登記の必要添付書類と取得費用

相続登記の申請書に、以下の書面を添付する必要があります。原則、原本添付ですが、一部還付の請求が可能です。取得手数料は市区町村により異なるため、事前に確認しましょう。

【被相続人に対する添付書類】

書類名 入手先 発行手数料 備考
戸籍謄本 本籍地の市区町村 1通約450円 出生から死亡までの全てが必要
住民票の除票 住所地の市区町村 1通約300円 登記上の住所および本籍地の記載必須
戸籍の附票 本籍地の市区町村 1通約300円 登記上の住所および本籍地の記載必須

【法定相続人に対する添付書類】

書類名 入手先 発行手数料 備考
戸籍謄本 本籍地の市区町村 1通約450円 被相続人の亡くなった日以降に発行されたもの
印鑑証明書 住所地の市区町村 1通約300円 遺産分割協議書に押印した実印のもの
固定資産課税明細書 毎年4月に市区町村より送付されたもの 登記申請する日が属する年のもの

【法定相続人のうち新しく不動産の所有者になる人】

書類名 入手先 発行手数料
住民票 住所地の市区町村 1通約300円

必要書類についてより詳しく知りたい人は、以下の記事をチェックしてみてください。

相続手続きは自分でも可能!必要に応じて専門家を活用しよう

相続登記を含む相続手続きは、必要な書類を揃え、正しい手順で進めれば、自分でも対応可能です。

ただし、戸籍の収集が複雑な場合や、相続人間で意見がまとまらない場合、登記が長期間放置されている場合は、専門家のサポートを活用するとスムーズに進められます。特に期限がある手続きは、早めに着手することが重要です。状況に応じて、司法書士や弁護士に相談しながら進めましょう。

土地や家屋の不動産を相続してお悩みの際は、住栄都市サービスにご相談ください!

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

TOP