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相続登記に必要な書類一覧!法務局で申請手続きをする流れも解説

2025.06.14

不動産を相続した際に欠かせない相続登記。2024年4月1日以降、相続登記は義務化され、期限内に手続きを行う必要があります。

本記事では、相続登記に必要な書類を一覧で詳しく解説するとともに、法務局で申請手続きを進める具体的な流れも紹介します。「書類はどこでもらえる?」と気になっている方も参考にしてください。

2024年4月1日に義務化!相続登記を進める際のポイント

2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続した場合は期限内の手続きが必要です。ここでは、義務化の概要や必要書類の取り扱いについて解説します。

相続登記は3年以内にしなければならない

2024年4月1日以降、相続登記が義務化されました。これにより、不動産を相続した場合、原則として3年以内に登記を完了させる必要があります。

義務化により、不動産の所有者不明問題が解消されることが期待されていますが、期限を過ぎた場合には10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。

東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう所有者不明土地!~」

相続登記に必要な書類に有効期限はない

相続登記に必要な戸籍謄本や印鑑証明書などには基本的に有効期限はありません。ただし、固定資産評価証明書は最新の年度のものが求められます。

また、記載した書類の劣化や相続人の状況の変化などによっては古い書類では手続きがスムーズに進まないこともあるため、最新の情報を準備しておきましょう。

ケース別|法務局で相続登記する際に必要な書類一覧

相続登記に必要な書類は、相続の方法によって異なります。本章では、遺産分割協議・法定相続分・遺言書による相続のケースごとに、法務局での手続きに必要な書類を一覧で紹介します。

ケース1:遺産分割協議の場合

遺産分割協議によって相続する場合は、以下の書類が必要です。

必要書類 取得先
戸籍謄本(被相続人の出生から死亡までのもの) 被相続人の本籍地の市区町村役場
戸籍謄本(相続人全員分) 相続人の本籍地の市区町村役場
住民票の除票(被相続人) 被相続人の最終住所地の市区町村役場
住民票(相続人) 相続人の住所地の市区町村
印鑑証明書(相続人全員) 相続人の住所地の市区町村役場
固定資産評価証明書 市区町村から送付(毎年4月頃)
登記申請書 法務局(書式をダウンロード)
遺産分割協議書 相続人全員で作成
相続関係説明図 自身で作成または司法書士に依頼

ケース2:法定相続分の相続の場合

法定相続分に従って相続する場合は、以下の書類が必要です。

必要書類 取得先
戸籍謄本(被相続人の出生から死亡までのもの) 被相続人の本籍地の市区町村役場
住民票の除票(被相続人) 被相続人の最終住所地の市区町村役場
戸籍謄本(相続人全員) 相続人の本籍地の市区町村役場
住民票(相続人) 相続人の住所地の市区町村
固定資産課税明細書 不動産所在地の市区町村役場
登記申請書 市区町村から送付(毎年4月頃)
相続関係説明図 自身で作成または司法書士や弁護士に依頼可能

ケース3:遺言書がある場合(法定相続人が相続する場合)

遺言書がある場合は、以下の書類を用意します。

必要書類 取得先
遺言書(自筆証書遺言の場合は検認済みのもの) 家庭裁判所で検認(自筆証書遺言の場合)または公証役場
戸籍謄本(被相続人の出生から死亡までのもの) 被相続人の本籍地の市区町村役場
戸籍謄本(相続人全員) 相続人の本籍地の市区町村役場
住民票の除票(被相続人) 被相続人の最終住所地の市区町村役場
住民票(相続人) 相続人の住所地の市区町村
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場
登記申請書 法務局(書式をダウンロード)
相続関係説明図 自身で作成または司法書士や弁護士に依頼可能

【集めるもの】法務局で相続登記する際に必要な書類の詳細

相続登記を進めるには、必要な書類を正しく揃えることが重要です。本章では、戸籍謄本や住民票の除票、固定資産課税明細書など、法務局での申請に必要な書類について詳しく解説します。

戸籍謄本(被相続人の出生から死亡までのもの)

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、相続関係を証明するために必要な書類です。揃えることで、相続人全員が正確に特定されます。市区町村役場で取得が可能ですが、被相続人が婚姻や転居を理由として本籍地を移転していた場合は複数の役場に問い合わせる必要があります。

2024年3月以降は、本籍地以外の市区町村で戸籍謄本を申請できるようになりました。ただし、コンピュータ化されていない戸籍謄本は、本籍地が遠方でも現地で取得するか郵送で取得する必要があります。

法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」

戸籍謄本(相続人全員分)

相続人全員分の戸籍謄本は、それぞれの相続資格を証明するために必要な書類です。被相続人の戸籍とは別に用意する必要があります。相続人の戸籍謄本は現在の分だけで構いません。

住民票の除票(被相続人分)

被相続人の住民票の除票は、不動産の所有者が死亡したことを証明するための書類。登記簿・戸籍の上で被相続人が同一の人物であるかを確認するために必要です。もしも登記簿と戸籍で住所が違う場合は、「戸籍の附票」を取り寄せるとスムーズに進められます。

固定資産課税明細書

固定資産課税明細書は、毎年の固定資産税の課税内容や評価額が詳細に記載されていて、相続登記の際に必要となる登録免許税の計算や、不動産の評価額の確認に役立つ書類です。

通常、固定資産課税明細書は、固定資産税の納税通知書とともに年に一度、所有者に郵送されるため、特別な手続きを行わなくても入手できます。もしも紛失してしまった場合は再発行ができないので、慎重に保管しましょう。

印鑑証明書(相続人全員分)

相続登記の手続きにおいて、相続人全員の印鑑証明書は、主に遺産分割協議を行った場合に必要となります。遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印し、その実印が本人のものであることを証明するために、各相続人の印鑑証明書を添付します。

【作成するもの】法務局で相続登記する際に必要な書類の詳細

相続登記を申請する際には、法務局に提出するための書類を作成する必要があります。本章では、相続登記申請書や遺産分割協議書、委任状、相続関係説明図など、手続きに欠かせない書類の詳細を解説します。

相続登記申請書

相続登記申請書は、法務局に提出する主要な書類で、不動産の名義変更手続きを正式に申請するために必要な書類です。この書類には、相続する不動産の詳細や申請者、相続人の情報を記載します。法務局のHPで様式をダウンロードして、ワードで作成することも可能です。

法務省「不動産登記の申請書様式について」

委任状

相続登記を司法書士や弁護士などの代理人に依頼する際に必要な書類です。委任状を提出することで、代理人が法務局での手続きを正式に行えるようになります。

作成時は、法務局が指定するフォーマットを使用するのが一般的です。また、依頼者本人の印鑑証明書を添付する必要があるため、忘れずに準備しましょう。

遺産分割協議書

遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分配方法を協議した結果を記載した書類です。不動産の相続登記において、分割協議があったことを法務局に証明するために必要になります。

相続人全員の同意が得られていない場合、この書類は有効と認められません。また、作成には実印が必要なため、全員の印鑑登録を確認しておきましょう。

相続関係説明図

相続関係説明図は、戸籍謄本の内容を図式化し、相続人間の関係性を分かりやすく示した書類です。これを提出することで、戸籍謄本の原本還付請求を省略できる場合があり、法務局での手続きを簡略化できます。

注意点は、戸籍謄本の情報を正確に反映させる必要があることで、内容に誤りがあると、手続きが遅れる場合があります。

法務局で相続登記する際の流れ

相続登記は、不動産を相続した際にその名義変更を行うための重要な手続きです。手続きが正しく行われないと、不動産の売却や活用ができないだけではなく、相続人間のトラブルの原因になることもあります。

【相続登記の一般的な流れ】

  1. 1.相続人と遺産内容の確認
  2. 2.遺産分割協議の実施(必要に応じて)
  3. 3.必要書類の収集・作成
  4. 4.法務局への申請
  5. 5.登記完了の確認

相続登記は自分で行えますが、書類の準備や作成、綴り方のルールの確認など、手間がかかるので司法書士に依頼するとスムーズに進みやすくなります。依頼料は複雑なものでなければ10万円ほどです。

相続登記に必要な書類を揃えて、法務局で申請を進めよう

相続登記は、不動産の名義変更を行うための重要な手続きです。必要な書類を確認し、計画的に準備を進めることで、手続きの負担を軽減できます。

書類が揃えば、法務局で申請を行い、登記の手続きを完了できます。無理のないペースで、確実に手続きを進めましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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