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財産目録とは?相続における作成方法と不動産評価の基本をわかりやすく解説

2025.12.26

相続の手続きでは、まず財産の全体像を正確に把握することが重要です。

特に不動産が含まれる相続では、評価方法や記載内容が複雑に感じられ、戸惑う人も多く見られます。

相続財産を整理する際に役立つのが財産目録です。

資産を一覧化すると、手続きの流れが明確になり、スムーズに進めやすくなります。

本記事では、財産目録の基本や作成手順、不動産を記載する際に押さえたいポイントをわかりやすく説明します。

財産目録とは何か?相続手続きでの役割

ここでは、財産目録の基本的な意味や相続手続きでの役割、どんな場面で必要となるのか、手続きごとの期限や提出先について解説します。

相続の前提資料となる書類のため、どのように活用されるのか理解しておきましょう。

財産目録とは

財産目録は、被相続人の財産の内容がわかるよう一覧にしたものです。

預貯金や不動産、株式、借入金など、相続に関係する項目をすべて記載するため、相続人同士で内容を確認しやすくなります。

相続税申告や遺産分割協議を進める際、基礎となる重要な資料として役立ちます。

財産目録が必要となる場面

財産目録が必要となる場面は、相続に関するさまざまな手続きに及びます。

手続きの種類 内容
遺産分割協議 相続人全員が財産内容を共有し、公平な話し合いを行うために不可欠です。
相続税申告 財産一覧の基礎資料として使用します。
相続放棄・限定承認の判断 資産だけでなく負債も把握する必要があります。
金融機関・法務局での手続き 名義変更や相続登記の際に必要です。

不動産が含まれる場合は調査・評価に時間がかかるため、早めに作成することをおすすめします。

財産目録作成の期限と提出先

財産目録の提出期限と提出先は、手続きの種類で変わります。

手続きの種類 期限 提出先
遺産分割協議 決まりはないが、不動産や有価証券は調査に時間がかかるため、相続税申告の期限に間に合わせる必要がある。 なし(相続人全員で共有する)
相続税申告 相続開始の翌日から10か月以内。 被相続人の住所地を所轄する税務署
相続放棄・限定承認 相続開始を知った日から3か月以内。限定承認では財産目録が提出必須。 被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所

限定承認以外に財産目録自体の提出義務はありませんが、相続放棄・限定承認・相続税申告の各手続きにはそれぞれ期限があります。

財産目録は早めに作成し、全体スケジュールに余裕を持って手続きを行いましょう。

財産目録の作成手順と記載すべき項目

財産目録は、プラスの財産とマイナスの財産を分け、それぞれを特定できる情報を正確に整理していく作業です。

ここでは基本的な作成手順と、資産の種類別に整理すべき項目を紹介します。

財産目録の作成手順

財産目録は次の手順で作成します。

  1. 1.プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)を分類する
  2. 2.それぞれの財産を特定できる情報を記載する(所在地・金融機関・口座番号など)
  3. 3.種類・数量・評価額などを正確にまとめる
  4. 4.資産合計から負債合計を差し引いた「相続財産の総額」を算出する

財産目録は相続税申告の基礎資料になるため、正確な情報を漏れなく集めることが大切です。

プラスの財産(資産)の整理項目

代表的なプラス財産と記載すべき情報は次のとおりです。

資産の種類 記載する情報

確認できる書類など

不動産(土地・建物) ・所在地・地番

・地目・種類(宅地、居宅など)

・面積(登記簿の記載)

・評価額(相続税評価額または固定資産税評価額)

市区町村の名寄帳
預貯金 ・金融機関名・支店名

・口座番号

・死亡日時点の残高(残高証明書で確認)

通帳の入出金履歴・郵便物
有価証券 ・銘柄名

・数量

・評価額(死亡日の終値や平均株価)

上場株式は相続税評価の計算方法が決まっているため、正確な数値確認が必要
生命保険金・死亡退職金(みなし相続財産) ・保険会社名・証券番号

・保険金額

・受取人

・非課税枠(500万円×法定相続人)

郵便物・生命保険協会の「契約照会制度」
その他の財産 ・自動車(車検証で確認)

・貴金属・骨董品

・ゴルフ会員権

・貸付金(誰に、いくら貸しているか)

資産により異なる

記載漏れがあると相続税額や遺産分割の判断に影響するため、正確な情報をまとめておきましょう。

マイナスの財産(負債)の整理項目

代表的なマイナス財産と記載すべき情報は次のとおりです。

負債の種類

記載する情報

確認できる書類など

借入金 ・金融機関名

・借入残高

・返済条件

住宅ローンは団体信用生命保険の加入状況によって、返済義務が消滅する場合がある
未払い金 ・クレジットカードの未決済額

・医療費・介護費用の未払い

・固定資産税などの未納税金

郵便物・通帳の引き落とし履歴
保証債務 ・保証契約の有無

・主債務者の返済状況

借入状況が不明な場合は、信用情報機関(CIC・JICCなど)へ照会

負債は見落としが生じやすく、内容によっては相続放棄や限定承認の判断に直結します。

必ず書類を確認しながら丁寧に洗い出し、資産とあわせて全体の状況を把握することが重要です。

不動産を財産目録に記載する際の注意点

相続財産のなかでも、不動産は評価方法の違いによって金額が大きく変動する特性があります。

ここでは、不動産特有の注意点を整理します。

不動産の評価方法を理解する

1つの不動産でも、目的によって異なる評価額が存在します。

  • ・相続税評価額(路線価方式・倍率方式)
  • ・固定資産税評価額
  • ・実勢価格(市場価格)

相続税申告では相続税評価額を用いますが、遺産分割の判断には時価も把握しなくてはなりません。

たとえば路線価では3,000万円でも、実勢価格は5,000万円になるケースがあります。

この差を把握しておかないと、不公平な分配につながってしまいます。

相続税評価額と市場価格の違いを把握する

相続税評価額は市場価格より2~3割ほど低い傾向があります。

そのため、不動産を単独相続する場合、相続税評価額だけで計算すると、他の相続人が不公平に感じる可能性があります。

財産目録には相続税評価額を記載しますが、遺産分割では時価を併記しておくと相続人全員が納得しやすい状況をつくれるでしょう。

不動産評価が相続税額へ及ぼす影響を理解する

不動産の評価額は相続税額に直結します

以下のような条件によって、評価額が上下することがあります。

  • ・土地の形状(不整形地・旗竿地)
  • ・接道状況(間口が狭い・接道義務の有無)
  • ・地形(傾斜や高低差)
  • ・利用状況(貸家建付地など)

さらに「小規模宅地等の特例」を適用できれば、最大80%の減額が可能です。

この特例の可否によって、相続税額が数百万円単位で変わる場合があります。

不動産評価のミスによる損失を防ぐ

不動産の評価を自己判断で行うと、相続税を必要以上に支払ってしまう場合や、申告漏れとして税務署から指摘を受ける可能性があります。

誤りのない評価を行うためには、専門家へ相談し、正しい金額を把握しておきましょう。

住栄都市サービスでは、適切な不動産評価を前提とした相続に関するサポートを提供しており、安心して手続きを進められます。

財産目録作成でよくある失敗と対策

財産目録は慎重に作成しないと、手続きのやり直しや税務リスクにつながります。

よくある失敗と対策を把握しておきましょう。

財産の漏れや見落としが発生するケースと防止策

見落としがちな財産の代表例とその防止策は以下のとおりです。

財産・負債の種類

防止策

休眠口座・ネット銀行 ・すべての金融機関に残高照会をかける

・パソコンやスマホのメール、ブラウザ履歴をチェック

・通帳の引き落とし履歴から取引銀行を推測

遠方の不動産 ・市区町村で「名寄帳」を取得する

・被相続人が過去に住んでいたすべての市区町村で確認

ネット証券口座 ・証券保管振替機構の「開示請求」を利用

・メールやパソコンの履歴を確認

生命保険 ・生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用

・被相続人の郵便物から保険会社のお知らせを探す

借入金・保証債務 ・信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に照会

・郵便物から督促状や契約書を探す

こうした財産は表に出にくいため、書類・履歴・照会制度を併用し、網羅的にチェックする姿勢が欠かせません。

不動産評価を自己判断で行うリスクと注意点

次のような評価方法は誤りの原因になります。

  • ・固定資産税評価額のみを基準にする
  • ・路線価×面積だけで評価する
  • ・不動産会社の査定額を相続税評価額として扱う

補正や特例は物件ごとの状況で変わるため、正しい手続きのためには専門家の判断が欠かせません。

不動産相続に強い専門家を活用すべき理由

不動産を含む相続では、評価方法や税務の仕組みが複雑で、専門的な判断が欠かせません。

不動産の特性によって評価額が変わりやすく、誤った算定が相続税の過不足につながるおそれがあります。

正確な手続きを行うためには、不動産相続に詳しい専門家のサポートを受けましょう。

住栄都市サービスでは、状況に合わせた評価と相続全体のサポートを提供しており、安心して相続準備を進めるお手伝いをいたします。

まとめ

財産目録は相続財産の全体像を整理し、手続きを円滑に進めるための大切な資料です。

資産と負債を正確にまとめることで、遺産分割や相続税に関する判断が進めやすくなります。

特に不動産が含まれる相続では、評価の誤りが大きな負担につながるため、専門家のサポートを活用すると安心です。

財産目録を正しく作成し、早めに準備を進めることで、スムーズな相続手続きにつながります。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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