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遺留分とは?相続で取り戻せる割合・請求方法・トラブル回避のポイントを解説

2025.01.06

「相続で自分の取り分が少ない」「遺言で財産をほとんどもらえなかった」と感じていませんか。

実は、相続には遺留分(いりゅうぶん)という、法律で守られた最低限の取り分を保障する制度があります。

この制度を知らないまま手続きを進めてしまうと、本来受け取れるはずの財産を失ってしまうこともあるのです。

遺留分は、配偶者や子どもなど一部の相続人に認められた正当な権利で、主張すれば取り戻すことが可能です。

本記事では、遺留分の仕組みや対象者、割合・計算方法、請求の流れ、そしてトラブルを防ぐためのポイントを、専門家の視点でわかりやすく解説します。

 

遺留分とは?定義と制度の目的

ここでは、遺留分の基本的な意味と、制度が作られた目的を解説します。

 

遺留分の定義

遺留分とは、家族の中で特定の人に必ず保証される最低限の取り分のことです

たとえ遺言で「すべての財産を特定の人に渡す」と書かれていても、配偶者や子どもなどには、法律で定められた分を受け取る権利があります。

遺言書に「遺留分の請求を禁止する」と記載されていても、権利は失われません。

つまり、遺留分は「主張しなければ得られないが、放棄しない限り失われない」法的な権利です。

 

なぜ遺留分が存在するのか

遺留分制度が存在する理由は、遺族の生活保障相続における公平性を保つことにあります。

財産をどう分けるかは本来自由ですが、もし一人にすべてを渡してしまうと、残された家族の生活が困ってしまう場合があります。

こうした不公平を防ぐために、遺留分というルールが設けられています。

たとえば「長男にすべての財産を相続させる」と遺言されていても、配偶者や他の子どもは、民法第1042条で保障された割合をお金で請求できるのです。

 

遺留分と法定相続分の違い

法定相続分は、遺言がない場合に法律で決められた財産の分け方の目安です。

たとえば、配偶者と子どもが相続人であれば、配偶者が2分の1、子どもが2分の1というように、あらかじめ割合が定められています。

一方、遺留分は、遺言などで取り分が減らされても、一定の相続人に保障される最低限の割合のことです。

つまり、法定相続分は「原則の分け方」、遺留分は「最低限守られる取り分」という違いがあります。

また、遺留分は自動的にもらえるわけではありません。

もし取り分が侵害されている場合は、自分で請求(遺留分侵害額請求)を行う必要がある点にも注意しましょう。

 

遺留分を持つ人・持たない人の具体例を家族構成別に解説

遺留分を請求できるのは、すべての相続人ではありません。

法律で定められた特定の相続人のみに権利が認められており、対象者によって受け取れる割合も異なります。

誰が遺留分を主張できるのか、詳しく見ていきましょう。

 

遺留分の権利を持つ相続人と持たない相続人

遺留分を請求できるのは、次の3つのグループに限られます。

  • ・配偶者
  • ・子ども(代襲相続人を含む)
  • ・直系尊属(父母・祖父母など)

ただし兄弟姉妹には遺留分が認められません

たとえば、法定相続人が配偶者と被相続人(亡くなった人)の兄弟の場合、兄弟の相続分は4分の1ですが、「全財産を妻に相続させる」という遺言があるときは、被相続人の兄弟は遺留分を主張できません。

また、次のような場合も遺留分の権利を失います。

  • ・相続放棄をした場合(最初から相続人でなかったと見なされる)
  • ・被相続人に重大な害を加えるなどして相続欠格廃除を受けた場合
  • ・家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄した場合

 

家族構成ごとの遺留分割合

遺留分の割合は、相続人の構成によって変わります。

相続人 全体の割合 各相続人の割合
配偶者のみ 2分の1 配偶者:2分の1
配偶者と子ども 2分の1 配偶者:4分の1、子ども:4分の1
配偶者と親 2分の1 配偶者:3分の1、親:6分の1
子どものみ 2分の1 子ども:2分の1
親のみ 3分の1 親:3分の1

子どもや親が複数いる場合は人数で等分します。

 

自分の遺留分はいくら?計算方法と注意点

遺留分の対象者であっても、家族構成や相続人の人数によって受け取れる割合が変わり、計算方法も異なります。

自分の遺留分がいくらになるのか、具体的に見ていきましょう。

遺留分を計算する3つのステップ

遺留分は以下の3つの手順で計算できます。

1:遺産の総額を把握する

不動産、預金、有価証券など相続開始時の財産に加え、生前贈与した財産も含めて総額を算出します。

2:全体の遺留分割合をかける

直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外は2分の1を総額にかけます。

3:個人の遺留分を算出する

全体の遺留分に各自の法定相続分をかけて、個人の遺留分を求めます。

以下の計算例は、財産総額3,000万円で配偶者と子2人が相続人の場合です。

  • ・全体の遺留分:3,000万円×1/2=1,500万円
  • ・配偶者:1,500万円×1/2=750万円
  • ・子ども1人:1,500万円×1/4=375万円

このように、遺留分は家族構成と法定相続分をもとに計算されるため、自分がどの立場にあたるのかを正確に把握することが大切です。

事前にシミュレーションしておくと、相続時のトラブルや誤解を防げるでしょう。

 

不動産や贈与がある場合の注意点

不動産は「時価(実勢価格)」で評価します

相続税評価額ではなく、市場価格に近い金額を基準にすると実際の価値に即した金額になります。

また、生前贈与は相続開始前10年以内のものが対象です。

不動産の評価は複雑なため、税理士や弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

 

遺留分が減ってしまう原因とよくある事例

遺留分が守られないケースを遺留分侵害といい、遺言や生前贈与によって法律上もらえるはずの最低限の取り分が受け取れなくなった状態を指します。

どんな場合に遺留分が減るのか、実際のトラブル事例を見ていきましょう。

 

どんな場合に遺留分侵害になる?遺留分が減る主な原因

遺留分侵害となる代表的なケースは以下のとおりです。

遺言で特定の人だけに相続させた場合

「全財産を長男に相続させる」といった遺言で、他の相続人の取り分がゼロまたは著しく少なくなるケースがあります。

生前贈与で財産が偏っていた場合

被相続人が生前に特定の相続人だけに多額の贈与をしていた場合、他の相続人の遺留分を侵害している可能性があります。

相続分がゼロまたは極端に少ない場合

遺言や贈与により、本来受け取れるはずの最低限の取り分を下回っている状態です。

 

よくある家族間トラブルの実例

実際によくある遺留分トラブルの事例を紹介します。

「全財産を長男に相続させる」遺言で揉めるケース

特定の子どもだけに全財産を相続させる遺言により、他の兄弟姉妹が遺留分を請求する事例が多く見られます。

再婚相手に大部分を遺すケース

再婚相手に多くの財産を遺す遺言で、実子との間で対立が生じます。

生前贈与を受けた相続人がいるケース

住宅購入資金や事業資金を特定の相続人だけが受け取っており、他の相続人が不公平だと感じて請求するパターンです。

 

遺留分トラブルを防ぐためのポイント

遺留分トラブルを未然に防ぐには、以下のポイントを押さえましょう。

生前贈与は記録を残す

いつ、誰に、いくら贈与したか記録しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。

遺言書には付言事項で思いを添える

財産分配の理由や家族への思いを書くことで、遺族の理解が得やすくなります。

専門家に内容を確認してもらう

遺言書作成時は、弁護士や税理士に遺留分を侵害していないか確認してもらうと安心です。

住栄都市サービスでは、遺留分トラブルを抱えた物件の取り扱い実績が豊富にあり、不動産に精通した弁護士への無料相談も可能です。

 

遺留分を取り戻すには?請求の流れと手続き

遺留分が侵害されていても、自動的に受け取れるわけではありません。

正当な権利を取り戻すには、遺留分侵害額請求という手続きが必要になります。

ここでは、実際の請求方法と流れ、注意すべきポイントを詳しく解説します。

 

遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された相続人が、多くの財産を受け取った人に対して侵害額に相当する金銭の支払いを求める手続きです。

遺言や生前贈与で自分の遺留分が守られなかった場合、受遺者や受贈者に請求すると正当な取り分を取り戻せます。

ただし自動的には回復されないため、自ら請求する必要があります。

 

遺留分侵害額請求の流れ

遺留分侵害額請求は以下の流れで進めます。

1.相続財産の調査

預金、不動産、保険、生前贈与の記録などを把握し、財産の全体像を明らかにします。

2.遺留分の計算

自分がいくら受け取れるのか、具体的な金額を算出しましょう。

3.内容証明郵便で請求の意思を伝える

請求する意思を書面で伝え、証拠を残します。

4.交渉・調停

相手との話し合いや家庭裁判所の調停で解決を目指します。

5.訴訟

話し合いで合意できない場合は、裁判所に訴訟を提起して解決を図ります。

 

期限と時効に注意して早めの対応を

遺留分侵害額請求には厳格な期限があります。

相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内に請求しなければ、時効で権利が消滅してしまいます。

また、相続開始から10年が経過すると、除斥期間により請求できなくなります

期限を過ぎると遺留分を取り戻せなくなるため、侵害に気づいたら早めの行動が重要です。

 

準備しておきたい書類と費用の目安

遺留分侵害額請求には、以下の書類が必要です。

  • ・被相続人の戸籍謄本
  • ・遺言書の写し
  • ・遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、預貯金通帳など)
  • ・内容証明郵便の控え

費用は内容証明郵便で1,000円程度、調停申立てで約1,200円と郵便切手代がかかります。

専門家に依頼する場合は別途報酬が発生するため、事前に確認しましょう。

 

まとめ

遺留分は配偶者・子・父母に認められた、法律で保障された最低限の相続分です。

遺言や生前贈与で取り分が減った場合でも、遺留分侵害額請求で権利を取り戻せます。

ただし請求には相続開始と侵害を知ってから1年以内という厳しい期限があり、期限を過ぎると権利が消滅してしまいます。

住栄都市サービスでは、不動産を含む相続トラブルや遺留分に関する無料相談を承っています。

不動産に詳しい弁護士と連携し、相続税対策から売却・分割まで一貫したサポートが可能です。

相続でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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