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親等の数え方をわかりやすく解説!相続・法的手続きで困らない親族関係の基礎知識

2025.11.03

親族の相続が発生したとき、「自分は何親等なのか」「相続権があるのか」と迷う方は多いでしょう。

親等の数え方は難しく感じるかもしれませんが、基本のルールを押さえれば誰でも正確に判断できます。

本記事では、不動産相続に必要な親等の数え方を具体例とともに解説し、法定相続人との関係も整理します。

仕組みを理解すれば、登記や遺産分割などの手続きをスムーズに進められるでしょう。

ぜひ最後までお読みください。

 

親等とは?親族関係を整理するための基礎知識

親等を理解するうえで、まず押さえておきたいのが「直系」と「傍系」の違いです。

親等は、不動産の名義変更や遺産分割協議を行う際にも必要になってきます。

まずは親等の定義と、民法で定められた親族の範囲について確認しましょう。

 

直系と傍系の違い

親族には直系傍系という2つの分類があります。

親子のように縦につながる関係か、兄弟や叔父・叔母のように横でつながる関係かによって、相続順位や権利が変わります。

まずはこの2つの違いを整理しておきましょう。

項目 直系 傍系
つながりの方向 上下(縦の関係) 左右(横の関係)
該当する親族 父母・祖父母・子・孫など 兄弟姉妹・叔父・叔母・いとこなど
特徴 血の流れをたどる関係(親と子で世代が直線的につながる) 共通の祖先を持つ枝分かれの関係(血縁はあるが上下関係ではない)

直系は「血の流れをたどる縦の関係」、傍系は「共通の祖先を持つ横の関係」と考えると整理しやすいです。

相続では、直系血族が傍系よりも優先されるため、この違いを理解しておきましょう。

 

血族と姻族の関係

親族は血族姻族に分けられます。

血のつながりの有無によって相続権の扱いが大きく異なります。

以下の表で、その違いを整理してみましょう。

項目 血族 姻族
つながりの内容 血のつながりがある親族 婚姻によって生じた親族関係
該当する親族 父母・祖父母・子・孫・兄弟姉妹など 配偶者の父母・兄弟姉妹・叔父・叔母など
相続権の有無 あり(配偶者以外の相続人はすべて血族) なし(配偶者本人を除く)
特徴・ポイント 相続権を持つ基本的な親族。相続順位により権利が決まる 血のつながりはなく、相続権も原則なし。ただし配偶者は特別に常に相続人となる

相続権があるのは基本的に血族と配偶者のみです。

配偶者は血族ではありませんが、常に相続人となる特別な立場にあります。

 

親等の数え方の基本ルール

親等の数え方は一見難しそうに見えますが、ルールを理解すれば簡単に整理できます。

基本は「本人から親や子を1として数える」考え方です。

 

親等の数え方の原則

親等は、本人からの世代の距離によって数えます。

  • ・父母は1親等上
  • ・子は1親等下
  • ・祖父母は2親等上
  • ・孫は2親等下

兄弟姉妹の場合は、「自分→親→兄弟姉妹」とたどるため、2親等となります。

つまり、間に入る世代の数を数えれば親等を求められるというわけです。

 

親等の数え方を具体的な家族関係で見る

親等を理解しやすくするために、関係ごとの数え方を表で確認してみましょう。

関係 数え方 親等
父母 自分→父母(1世代) 1親等
祖父母 自分→父母→祖父母(2世代) 2親等
兄弟姉妹 自分→父母→兄弟姉妹(2世代) 2親等
叔父・叔母 自分→父母→祖父母→叔父・叔母(3世代) 3親等
いとこ 自分→父母→祖父母→叔父・叔母→いとこ(4世代) 4親等

このように、関係の深さを→(線の数)で考えるとイメージしやすいでしょう。

 

義理の親・兄弟など姻族の親等の考え方

姻族の親等は、配偶者を起点として数えていきます。

配偶者の両親(義父母)は、配偶者から一世代上なので1親等の姻族となります。

同じように、配偶者の兄弟姉妹(義兄弟姉妹)は2親等の姻族です。

数え方は血族と同じですが、重要な違いがあります。

義理の関係はあくまで配偶者を介して成立した親族関係であり、本人と義理の兄弟の間に血のつながりはありません

そのため、相続においても血族とは異なる扱いを受けることを理解しておきましょう。

 

親等が必要になる主なシーン

親等の考え方は、相続や登記、税金、会社の制度など、多くの場面で関係します。

ここでは代表的な4つのシーンを見ていきましょう。

 

不動産など相続人の範囲を特定するとき

相続では、誰が法定相続人となるかが親等によって決まります

配偶者は常に相続人となり、その次は子(直系卑属)、次に父母(直系尊属)、さらに兄弟姉妹(傍系血族)の順に権利が発生します。

親等を正確に理解することが、相続人の範囲を明確にする第一歩となります。

 

遺産分割の割合を決めるとき

相続人が複数いる場合、親等の近い人ほど相続の優先順位が高くなります

  • ・配偶者と子が相続人の場合:配偶者が2分の1、子が2分の1
  • ・子がいない場合(配偶者と父母):配偶者が3分の2、父母が3分の1
  • ・子も父母もいない場合(配偶者と兄弟姉妹):配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

親等によって受け取れる割合が変わるため、正確に把握しておきましょう。

 

相続税を計算するとき

相続税の計算にも親等は関係します。

相続税には基礎控除があり、法定相続人の数に応じて控除額が変動する仕組みになっているためです。

計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。

たとえば法定相続人が4人なら、基礎控除額は5,400万円です。

さらに、配偶者控除・障害者控除などの適用範囲も親等で判断される場合があります。

不動産の相続では評価額によって税負担が大きく変わるため、税理士など専門家に相談するのがよいでしょう。

 

会社の慶弔休暇を取得するとき

相続の場合とは異なりますが、会社の慶弔休暇を取得する際にも、親等の判定が用いられます。

親族が亡くなった場合、取得できる忌引き休暇の対象範囲を3親等までと定めている企業が多いです。

結婚式や葬儀などの際に正しく申請するためにも、親等の範囲を理解しておくと安心でしょう。

 

不動産相続で重要になる親等の数え方と注意点

不動産相続では、親等の正確な理解がとりわけ重要になってきます。

登記手続きや遺産分割協議で相続人を間違えると、後から大きなトラブルに発展する可能性があるためです。

ここでは、不動産相続で特に気をつけたい親等の数え方と注意点について詳しく解説します。

 

法定相続人の範囲と親等

法定相続人は以下の順で定められています。

  • ・配偶者(常に相続人)
  • ・第1順位:子(直系卑属)
  • ・第2順位:父母(直系尊属)
  • ・第3順位:兄弟姉妹(傍系血族)

上位順位がいる場合、下位順位の人は相続人になりません。

 

不動産相続と親等の関係|名義・共有トラブルに注意

不動産相続では、共有名義のまま放置されたり、遺産分割がまとまらなかったりするケースが多く見られます。

親等を誤って理解すると、本来関係のない人を相続人として扱ってしまうトラブルも発生します。

また、実家を誰が引き継ぐか、売却するか、共有にするかといった判断で相続人の意見が対立し、協議が長引くことがあるでしょう。

同一親等の相続人同士であっても、それぞれの生活状況や価値観によって意見が分かれやすいため、注意が必要です。

親等の整理と法的範囲の確認を早期に行うことが、トラブル回避の第一歩といえるでしょう。

 

不動産相続と登記・手続きの注意点

不動産を相続した場合、相続登記(名義変更)の手続きを行わなければなりません

2024年4月からは相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記をしないと10万円以下の過料の対象になります。

登記手続きでは、被相続人との親等関係を証明するために戸籍謄本を提出します

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本に加えて、相続人全員の戸籍謄本も求められます。

親等が遠い場合は、複数の戸籍を遡る必要があるため、取得に時間がかかる点に注意してください。

住栄都市サービスでは、相続登記の流れや書類準備も含め、不動産相続全般をサポートしています。

 

不動産相続で複雑な親等関係を整理するコツ

家族構成が複雑な場合や、遠い親族間での相続が発生する場合には、親等の整理が不可欠です。

ここでは、誰でも実践できる整理のコツを紹介します。

 

家系図を使って視覚的に整理する

親等を数えるときは、家系図を作成するのが一番手軽で確実な方法です。

自分を中心に上下左右に親族を書き、線の本数で親等を確認すれば、関係性をひと目で把握できます。

各人の名前と続柄、生年月日を記入すれば、世代のつながりが一目瞭然になるでしょう。

 

不動産に詳しい専門家に相談する

相続や不動産の手続きは、税理士・司法書士・弁護士など、複数の専門家の知見が必要になることがあります。

住栄都市サービスでは、不動産に精通した士業ネットワークを無料で活用できる体制を整えています。

不動産評価の見直しや登記、遺産分割の相談までワンストップで支援いたします。

 

早めの整理が節税・円満相続につながる

相続登記の義務化や税法の改正により、早期の準備がますます重要になっています。

相続が発生してから慌てて調査を始めると、戸籍収集に時間がかかり、申告期限に間に合わない可能性もあるでしょう。

生前に家系図を作成し、相続人を把握しておけば、遺産分割の話し合いもスムーズに進みます。

また、将来的な相続を見据えた不動産の利用や売却についても、早めの検討をおすすめします。

 

まとめ

親等の数え方は、世代のつながりを数えるだけのシンプルなルールで計算できます。

不動産相続では、親等によって法定相続人の範囲や相続順位が決まるため、正確な理解が欠かせません。

とくに不動産を含む相続では、相続税の基礎控除額や遺産分割の割合にも影響するため、早い段階で親等を把握しておくことが大切です。

複雑な親等関係は家系図を作成して整理し、不安があれば専門家に相談することをおすすめします。

住栄都市サービスでは、不動産相続の専門チームが、税理士・司法書士・弁護士と連携し、相続対策から売却・活用までトータルで支援しています。

相続や不動産の整理でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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