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不動産のある遺産相続を公平に進める方法|4つの分配方式と相続税対策を解説

2026.01.11

親が亡くなり、不動産を含む遺産をどう分ければよいか悩んでいませんか。

遺産相続で特に複雑なのが不動産の分配です。

現金と違って簡単に分けられない不動産は、相続人同士でトラブルになりやすく、相続税の負担も気になるところです。

本記事では、不動産を含む遺産の分配方法から相続税対策、遺言書の有無による違いまで、実践的な知識を丁寧に解説します。

不動産を含む遺産の4つの分配方法

不動産を含む遺産の分配には、大きく分けて4つの方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、家族の状況に合わせて選ぶことが大切です。

どの方法が自分たちに向いているか、具体的に見ていきましょう。

現物分割|不動産をそのまま取得する方法

現物分割は、不動産をそのまま特定の相続人が取得し、ほかの財産で調整する方法です。

たとえば長男が自宅を、次男が預貯金を相続するといったかたちになります。

手続きが簡単でわかりやすい反面、不動産の価値に差があると公平な分配が難しいという課題があるでしょう。

換価分割|売却して現金で分ける方法

換価分割は、不動産を売却して現金化し、相続人全員で分ける方法です。

平等に分けられるため、トラブルが少ない分配方法といえるでしょう。

ただし不動産を手放す必要があり、売却にかかる費用や手間、時間も考慮しなければなりません。

また売却時には譲渡所得税が発生する可能性があるため、注意が必要です。

代償分割|取得者が代償金を払う方法

代償分割は、特定の相続人が不動産を取得し、その代わりに他の相続人へ代償金を支払う方法です。

不動産を手放さずに済むため、自宅や事業用不動産を残したい場合に向いています。

ただし、取得者には代償金を支払うだけの資金力が求められ、不動産の評価額をめぐってトラブルになりやすい点に注意が必要でしょう。

共有分割|最も避けるべき選択肢

共有分割は、相続人全員が不動産を共有名義で持つ方法ですが、実際には最も避けるべき選択肢です。

一見公平に見えますが、将来売却や建て替えをする際には共有者全員の同意が必要になります。

また管理や処分をめぐってトラブルに発展しやすく、次の世代にもその問題が引き継がれてしまうリスクがあります。

他の分配方法ができない場合の最終手段として考えるべきでしょう。

遺産相続の分配における基本ルール

遺産の分配には、民法で定められた基本的なルールが存在します。

法定相続人の範囲や相続分、遺留分など、知っておくべき知識を押さえておきましょう。

ここでは、誰がどれだけ相続できるのか、分配の目安となる考え方を解説します。

法定相続分と相続順位

法定相続分とは、民法で定められた各相続人の取り分の目安となる割合です。

配偶者は常に相続人となり、子、親、兄弟姉妹の順で相続権が決まります。

具体的な相続分は以下のとおりです。

相続人の組み合わせ  配偶者

他の相続人

配偶者+子 2分の1 子全員で2分の1
配偶者+親 3分の2 両親で3分の1(両親が健在なら一人あたり6分の1) 
配偶者+兄弟姉妹 4分の3 兄弟姉妹全員で4分の1

遺留分(最低限の取り分)

遺留分とは、配偶者・子・親に保障された最低限の相続割合です。

たとえ遺言で「全財産を長男に」と指定されても、他の相続人は遺留分を請求できます。

遺留分は法定相続分の半分が原則で、相続開始を知ってから1年以内に遺留分侵害額請求を行う必要があります。

兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

特別受益と寄与分による調整

特別受益とは、特定の相続人が生前贈与や遺贈で受け取った利益のことです。

相続財産に持ち戻して計算し、公平な分配を目指します。

一方、寄与分は被相続人の介護や事業を手伝うなど、財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人の取り分を増やす制度です。

ただし、通常の扶養では認められにくいでしょう。

なお、相続開始から10年以上前になされた贈与等は特別受益として遺産に加算されません。

また、寄与分の時効は相続開始から10年以内とされましたので、経過後は原則として寄与分の主張ができなくなりました。

遺産を分配するまでの正しい手順

遺産の分配には、決められた手順を踏む必要があります。

相続人の確定から遺産分割協議まで、スムーズに進めるための流れを見ていきましょう。

各手続きには期限が設けられているものもあるため、計画的に進めるのが大切です。

1.遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産分配が行われます

公正証書遺言であればそのまま有効ですが、自宅で見つけた自筆証書遺言は家庭裁判所で検認手続きを受けなければなりません。

ただし、法務局の遺言書保管制度を利用している場合は検認が不要になります。

まずは自宅の金庫やタンスを探し、見つからなければ公証役場や法務局に問い合わせてみましょう。

2.(遺言書がない場合)相続人を調査する

遺言書が見つからない場合、遺産の分配は相続人全員で話し合う遺産分割協議が必要になります。

そのため、まずは誰が相続人であるかを正確に確定させなければなりません。

相続人の調査は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて行います。

戸籍を調べると、知らなかった前妻との子や認知した子が判明するケースもあるでしょう。

一人でも相続人が欠けると遺産分割協議が無効になるため、戸籍の取得や調査に不安がある場合は、司法書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。

3.(遺言書がある場合)遺言書の検認手続きをする

自宅で自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合、そのままでは法的な効力を完全には発揮できません。

家庭裁判所で検認手続きを行い、遺言書の形式や状態を公的に確認してもらう必要があります。

検認は遺言書の偽造や変造を防ぐために行われますが、遺言書の有効性まで判断するものではありません。

相続開始を知った後、遅滞なく申し立てを行いましょう。

なお公正証書遺言と、法務局に保管された自筆証書遺言は検認不要です。

4.相続財産を把握する

次に行うのが、相続財産の全体像を把握することです。

プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も含めてすべて把握しなければなりません。

財産調査では、次のような資料や情報をもとに調べます。

  • ・不動産:固定資産税通知書、名寄帳、登記事項証明書
  • ・預貯金:通帳、金融機関からの郵送物、ネットバンキング記録
  • ・有価証券:証券会社の取引報告書、残高証明書
  • ・保険金:保険証券、加入保険一覧
  • ・負債:ローン残高、借入契約書、カード会社の請求書

財産調査は漏れがあると後のトラブルの原因になるため、慎重に行いましょう。

5.相続放棄が必要か検討する

財産調査の結果、借金がプラスの財産より多い場合や、負担の大きい不動産を引き継ぎたくない場合は相続放棄を検討しましょう。

相続放棄をすれば、最初から相続人でなかったことになり、借金を引き継ぐ必要もありません。

ただし手続きには期限があり、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述書を提出する必要があります。

遺産分割協議の進め方と協議書の作成

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

ここでは話し合いの進め方から遺産分割協議書の作成方法まで、具体的な流れを解説します。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議は、相続人全員が参加して行わなければなりません。

一人でも欠けていたり、連絡がつかない相続人がいたりすると、協議は無効になってしまいます。

協議では誰がどの財産をどれだけ受け取るかを話し合い、全員が合意する必要があります。

対面での話し合いが難しい場合は、オンラインや電話でも構いません。

遺産分割協議書の作成

協議がまとまったら、合意内容を文書にした遺産分割協議書を作成します。

協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。

遺産分割協議書は、不動産の名義変更や預貯金の解約、相続税申告など、さまざまな相続手続きで提出を求められます。

後から「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、速やかに作成しておきましょう。

話し合いがまとまらない場合の対処法

相続人同士で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てましょう。

調停では裁判官や調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら合意を目指します。

争いが深刻化すると審判に移行することもありますが、調停段階での解決が望ましいため、専門家のサポートを受けながら進めるのが安心です。

不動産評価が相続税額に与える影響

不動産は相続財産のなかでも高額になりやすく、評価額が相続税に大きく影響します。

評価方法を理解して賢く利用すれば、税負担の軽減も可能です。

特に自宅や賃貸物件を相続する場合、特例の適用で大幅な節税効果が期待できるでしょう。

不動産の評価額は評価方法で変わる

土地の相続税評価額は、路線価方式倍率方式で計算されます。

評価方法

対象地域

計算式

路線価方式 都市部・市街地 路線価×面積×補正率
倍率方式 郊外・農地など 固定資産税評価額×倍率

国税庁のサイトで路線価図を確認し、該当する評価方法を使います。

小規模宅地等の特例で相続税を最大80%減額できる

小規模宅地等の特例を使えば、相続した土地の評価額を最大80%減額でき、相続税を大幅に抑えられます。

土地によって適用面積や減額割合が異なります。

土地の種類 適用面積 減額割合

評価額の例

自宅として使っていた土地 330㎡まで 80% 5,000万円→1,000万円
事業用の土地 400㎡まで 80% 6,000万円→1,200万円
賃貸用の土地 200㎡まで 50% 4,000万円→2,000万円

ただし、適用には細かな要件があり、適切な判断には専門的な知識が必要です。

不動産評価を専門家に依頼すべき理由とメリット

不動産の評価や特例の適用判断は専門性が高く、誤った評価は余計な税負担を招くリスクがあります。

相続に精通した専門家に依頼すれば、土地の形状や利用状況に応じた減額制度を見逃さず、節税効果を最大化できるでしょう。

また、小規模宅地等の特例の要件判断や、相続税申告書の作成まで一貫してサポートしてもらえます。

住栄都市サービスでは、不動産評価から相続税対策まで、経験豊富な専門家がトータルサポートいたします。

まとめ

不動産を含む遺産の分配には、現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の4つのパターンがあり、家族の状況に応じて選ぶことが大切です。

共有分割は将来のトラブルを招きやすいため、避けるべきでしょう。

また相続税対策として、小規模宅地等の特例を利用すれば、土地の評価額を最大80%減額できます。

不動産の分け方で揉めたくない方、相続税を節税したい方は、住栄都市サービスにお気軽にご相談ください。

法律・税務・不動産の3つの分野に精通した専門家と連携し、最適な遺産分配と相続税対策をご提案します。

円満な相続と適正な税負担の実現を全力でサポートいたします。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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