相続割合はどう決まる?不動産を含む遺産の正しい分け方
2025.12.26

相続が発生したとき、誰がどれだけ財産を受け取れるのか、法律で決められた割合があるのをご存知でしょうか。
特に不動産が相続財産に含まれている場合、現金のように簡単に分けられないため、相続人同士でトラブルになるケースも少なくありません。
「自分はどのくらい受け取れるの?」「不動産はどうやって分ければいいの?」と悩んでいる人に向けて、相続割合の基本ルールから不動産の分け方まで解説します。
相続の割合は法定相続の順位で決まる

相続で誰がどれだけ財産を受け取れるかは、民法で定められた「法定相続分」によって決まります。
配偶者や子ども、親、兄弟姉妹など、亡くなった人との関係性によって相続できる順位と割合が異なるため、まずは基本的な仕組みを理解しておきましょう。
法定相続人の範囲と優先順位
配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の相続人には優先順位が存在します。
【配偶者以外の法定相続人の優先順位】
- ・第1順位:子
- ・第2順位:父母または祖父母
- ・第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪が代襲相続)
上位の順位に該当する人がいると、下位の人は相続人になりません。
たとえば子がいる場合、親や兄弟姉妹は相続人にならず、子がいなければ親、さらに親もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。
自分がどの順位に該当するかによって、受け取れる割合も大きく変わってきます。
配偶者と子の相続割合と計算例
配偶者と子が相続人になるケースでは、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子の人数で等しく分けます。
子が2人なら1人あたり4分の1、3人なら6分の1となります。
実子・養子・非嫡出子の区別はなく、すべての子が平等に相続できるのが原則です。
どのようなかたちでの親子関係であっても、法律上は同じ割合で財産を受け取れます。
ただし相続税の計算では養子の人数に制限があるため、税務面では注意が必要です。
子がいない場合の相続割合|親・兄弟姉妹が相続人になるケース
子がいない場合、第2順位である親が相続人になります。
配偶者が3分の2、親が3分の1を受け取るかたちになり、両親が健在であれば2人で3分の1を分け合うことになります。
子も親もいない場合の相続人は、第3順位の兄弟姉妹です。
割合は以下のとおりです。
- ・配偶者:4分の3
- ・兄弟姉妹:4分の1を人数で等分
たとえば兄弟姉妹が2人いれば、1人あたり8分の1ずつ受け取ります。
順位が下がるほど配偶者の割合が増え、他の相続人の割合は減っていく仕組みになっています。
子がいるかいないかによって大きく状況が変わるため、誰が相続人に該当するのかをしっかり確認しておくことが大切です。
遺言がある場合の相続割合と遺留分の扱い方
遺言書がある場合、基本的には遺言内容が法定相続分よりも優先されます。
しかし配偶者・子・親などには「遺留分」という権利が認められており、最低限の取り分を請求できます。
遺留分の目安は法定相続分の2分の1となっており、たとえば法定相続分が4分の1なら遺留分は8分の1です。
遺言書があっても遺留分との調整が必要になる場合があるため、遺産分割では法定相続分と遺留分の関係を把握しておくことが重要です。
不動産がある相続で法定割合どおりに進まない理由

法定相続分を理解していても、不動産が含まれる相続では割合どおりに分けられないケースがあります。
ここでは、不動産相続において遺産分割が複雑になる主な4つの理由を解説します。
不動産が現物で分けられないため割合配分が難しくなる
不動産は現金のように物理的に均等に分けられない財産であり、相続で大きな課題となります。
たとえば相続割合が「配偶者2分の1、子2人で各4分の1」と決まっていても、自宅や土地を実際にその比率で分けるのは不可能です。
相続人が「自宅に住み続けたい」「売却して現金化したい」など異なる意見を持つことも多く、調整に時間がかかる要因になります。
共有名義にすると管理・売却の合意が必要になるため揉めやすくなる
「割合どおりに分けられないから、とりあえず共有名義にしよう」と考えることは、実はトラブルの大きな原因になります。
共有名義にすると、売却・賃貸・建替えなど重要な判断には共有者全員の合意が必要で、一人でも反対すれば何も進められなくなります。
さらに共有者の一人が認知症になれば、売却などの手続き自体が不可能になるケースもあるでしょう。
また次の相続が発生すると共有者がどんどん増え、権利関係が複雑化していきます。
結果として「誰も使わない」「売れない」状態に陥るリスクが高くなるため、安易に共有名義を選ぶのは避けた方が賢明です。
評価額と市場価格に差があるため不公平と感じるケースが多い
不動産には「相続税評価額(税務上の価値)」と「実勢価格(市場価値)」の2つがあり、両者に大きな差が生じると不公平感が生まれやすくなります。
たとえば相続税評価額が2,000万円の不動産でも、実際に売却すれば3,000万円になるケースは珍しくありません。
この場合、相続税の計算上は2,000万円として扱われますが、不動産を相続した人は実質3,000万円分の財産を受け取ることになります。
こうした評価額と実際の価値のズレを理解していないと、後からトラブルに発展する可能性があります。
分割方法によって受け取る価値が変わることが不満の原因になる
不動産は評価方法によって相続税額が大きく変わるため、受け取る価値に差が生まれて不満の原因になります。
たとえば道路との接し方、土地の形状、高低差、周辺環境、利用制限などが評価に影響します。
同じ面積の土地でも、条件次第で数百万円単位の評価額の差が生じる場合もあるでしょう。
住栄都市サービスでは、不動産評価に精通した税理士と協力し、適正な評価に基づいた相続税対策をサポートしています。
不動産を含む遺産分割の3つの方法

不動産が相続財産に含まれる場合、分け方には大きく3つの方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、相続人の状況や希望によって選ぶべき方法が変わります。
自分たちに合った分割方法を知り、トラブルを避けながら公平に分ける方法を確認しましょう。
現物分割|不動産をそのまま特定の相続人が取得する
現物分割とは、不動産をそのまま特定の相続人が取得し、他の相続人は別の財産で調整する方法です。
たとえば長男が自宅を相続し、次男が預金を受け取るといったかたちで分けます。
不動産を売却せずに済むため、住み続けたい相続人がいる場合や、思い入れのある家を残したい場合に向いています。
ただし不動産と他の財産で価値のバランスが取れず、調整が難航するケースもあります。
代償分割|代償金の支払いで相続割合を調整する
代償分割とは、不動産を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払う方法です。
不動産を手放さずに済み、公平性を比較的保ちやすい点がメリットになります。
たとえば長男が3,000万円の自宅を相続し、次男に1,500万円の代償金を支払うことで、均等に財産を受け取るかたちを実現できます。
不動産が自宅である場合や、家業の拠点である場合によく選ばれる方法です。
ただし代償金の準備が必要なため、資金力がないと実行できない点に注意してください。
換価分割|不動産を売却して現金で分ける
換価分割とは、不動産を売却して現金化し、相続割合に応じて分ける方法です。
メリットとして、公平性が高く、代償金を用意する必要がなく、不動産の共有や管理リスクを避けられる点があげられます。
現金で分けるため相続人全員が納得しやすく、金額も明らかになります。
一方で、売却までに時間がかかる点や、相続人全員の合意が必要になる点はデメリットといえるでしょう。
誰も不動産を利用する予定がない場合や、共有名義を避けたい場合に選ばれやすい方法です。
不動産の相続割合をめぐるトラブルを防ぐための準備

不動産が含まれる相続では、事前の準備がトラブル回避のポイントです。
法定相続分を理解していても、実際の分割では想定外の問題が起きるケースも少なくありません。
スムーズな相続を実現するために、生前からできる対策と、相続発生後に注意すべきポイントを押さえておきましょう。
相続財産を正確に整理する
遺産分割協議を円滑に進めるには、まず相続財産を正確に把握することが不可欠です。
財産の全容が曖昧なまま協議を始めると、後から新たな財産が見つかって話し合いがやり直しになるリスクがあります。
整理すべき情報は以下のとおりです。
- ・不動産の特定(地番・建物情報)
- ・銀行口座・保険・有価証券
- ・借入金や未払費用
- ・共有名義の有無
不動産は登記簿謄本で正確な情報を確認し、評価額も事前に調べておくとスムーズです。
不動産を適正に評価して公平性を確保する
不動産は評価方法によって金額が大きく変わるため、客観的な評価が不可欠になります。
特に以下のケースでは、専門家による評価が有効です。
- ・実勢価格と相続税評価額の差が大きい地域
- ・賃貸物件や老朽化した建物がある場合
- ・商業地や特殊な形の土地
- ・共有名義の不動産
相続人それぞれが自分に都合の良い評価額を主張すると、話し合いが平行線をたどります。
専門家に依頼して適正な評価額を出してもらうことで、相続人全員が納得しやすくなります。
専門家に相談して相続手続きを円滑に進める
相続には不動産会社だけでは対応できない専門分野が多数関わります。
住栄都市サービスでは、以下の士業と連携し、相続に必要な手続きをワンストップでサポートしています。
- ・不動産評価に詳しい税理士
- ・登記手続きに精通した司法書士
- ・遺産分割協議の法律相談に対応できる弁護士
不動産に課題がある場合や、売却が必要な場合も含め、専門家のサポートを受けながら、トラブルのない相続を実現しましょう。
まとめ
相続の割合は法定相続分によって決まりますが、不動産が含まれる場合は物理的に分けられないため、法定割合どおりに進まないケースが多くあります。
現物分割・代償分割・換価分割という3つの方法から、相続人の状況に合わせて選ぶことが大切です。
住栄都市サービスでは、不動産の専門家として、遺産分割・評価・売却・士業連携まで一貫したサポートをご提供しています。
相続した不動産についてお悩みがある場合は、まず無料相談をご活用ください。
相続人の皆さまが納得できるかたちで相続を進められるようお手伝いいたします。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。




