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相続登記は遠方でもできる?手続き方法・費用・必要書類を解説

2025.12.21

相続した不動産が遠方にある場合「現地まで行かないと手続きできないのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、相続登記は全国どこに住んでいても手続き可能で、郵送やオンライン申請を利用すれば現地に行かずに完結できます。

この記事では、遠方の不動産を相続した際の登記手続きの方法・必要書類・費用の目安を解説します。

遠方の不動産でも相続登記はできる

遠方の不動産でも、相続登記は自宅から手続きできます。相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で行う決まりですが、郵送やオンライン申請を利用すれば現地へ行かずに完結できます。

2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると過料や罰則があるため、早めに名義変更を行いましょう。

法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」

相続登記は不動産所在地の法務局が管轄

相続登記は、亡くなった人が所有していた不動産の所在地を管轄する法務局で申請します。例えば、実家が北海道にある場合は、相続人の居住地が東京でも北海道の法務局が管轄です。複数の地域に不動産があると、それぞれの管轄法務局へ個別に申請する必要があります。

法務局の公式Webサイトで管轄を確認できるため、申請前に必ずチェックしましょう。なお、2005年の不動産登記法の改正以前は、現地での申請と書類受領が必須でしたが、現在は郵送・オンラインで申請できます。

管轄外でも郵送やオンライン申請で遠方からでも手続きできる

遠方の法務局に出向かなくても、郵送やオンラインを利用すれば相続登記はできます。郵送の場合、申請書と必要書類を管轄法務局に送付して審査を受ける仕組みです。オンライン申請では「登記・供託オンライン申請システム」を利用し申請します。

ただし、事前に申請のための環境を整える必要があるのと、電子化されていない書類があれば別途郵送が必要になります。

法務局「不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)」

遠方の相続登記を自分でする場合のメリット・デメリット

遠方の不動産を自分で相続登記するメリットは費用を抑えられる点です。司法書士に依頼する場合に発生する5〜15万円前後の報酬を節約できます。必要なのは、登録免許税や戸籍謄本などの取得費といった実費のみ。

ただし、遠方の物件では書類収集や郵送手続きに時間がかかり、書類不備による差し戻しのリスクもあります。特に複数の不動産や相続人が関わる場合は、登記漏れが発生しやすいため注意が必要です。コスト重視で時間に余裕がある人には有効ですが、効率を重視するなら司法書士への依頼も選択肢に入るでしょう。

遠方の相続登記を司法書士に依頼するメリット・デメリット

遠方の相続登記を司法書士に依頼するメリットは、手続きがスムーズに進められることです。登記に必要な戸籍収集や申請書作成、法務局への提出などを代行してもらえるため、現地に行かずに完了できるのが大きなメリット。

書類不備や登記漏れを防げる他、相続人同士のトラブルを避けるための実務的なアドバイスも受けられます。

デメリットは司法書士報酬が発生することです。また相続人間で紛争がある場合や相続税申告が必要なケースは、司法書士の対応範囲を超えるため、弁護士や税理士への相談が必要になります。

司法書士が対応できることを詳しく知りたい場合は以下の記事もチェックしてみてください。

遠方の相続登記を自分でする際の手続きの流れ

遠方の不動産でも、相続登記は自分で手続きすることが可能です。ここでは、相続登記を自分でやった場合の具体的な流れをわかりやすく解説します。

1.戸籍関係書類の取得と相続人の確定

相続登記の第一歩は、被相続人の死亡を証明し、法定相続人を特定することです。市区町村役場で、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の現在戸籍を取得します。戸籍附票や除票もあわせて入手しておくと、住所や本籍のつながりを証明しやすくなります。

郵送での請求も可能ですが、複数自治体にまたがる場合は日数に余裕をもって準備しましょう。

2.遺産分割協議と協議書の作成

遺言書のないときに、不動産を誰が相続するかを明確にするため、相続人全員で遺産分割協議を行います。話し合いで合意が得られたら、遺産分割協議書を作成し、全員の署名と実印を押印します。遠方の相続人がいる場合は、書面を郵送して署名・押印を集める形でも構いません。

3.登記申請書の作成と必要書類の準備

相続登記を行う際は、まず不動産を管轄する法務局に提出する登記申請書を作成します。申請書は法務局の公式Webサイトからダウンロードができ、相続の内容に応じた様式を選びます。

必要書類は、戸籍謄本や住民票の除票、印鑑証明書、固定資産評価証明書、遺産分割協議書など。

記入内容に不備があると補正が必要になるため、提出前に漏れや誤りがないか必ず確認しておきましょう。申請に必要な書類は後述します。

法務局「不動産登記の申請書様式について」

4.登記申請の提出(窓口・郵送・オンライン)

登記申請は、不動産所在地を管轄する法務局で行います。申請方法は、窓口提出、郵送、オンラインの3つです。遠方の不動産であれば、郵送が現実的。

オンライン申請も可能ですが、電子署名や専用環境の準備が必要です。郵送時は、返信用封筒を同封し、書留で送るのが安全です。申請後、内容に不備がある場合は法務局から修正を求められます。

5.登記完了と登記識別情報の受領

登記が受理されると、1〜2週間程度で登記識別情報通知書(権利証)が交付されます。郵送申請の場合は登録住所へ郵送され、窓口申請の場合は直接受け取ります。

受け取ったら、登記事項証明書を取り寄せ、相続人名義に変更されているかを確認して、相続登記の手続きは完了です。書類は将来の売却や担保設定でも必要になるため、大切に保管してください。

遠方の相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類は、被相続人の身分関係を証明する書類・相続人全員の身分・意思を示す書類・不動産に関する証明書類の3つに分けられます。

これらは法務局への登記申請時に添付が求められるもので、遠方からでも郵送で取得・提出が可能です。ただし、自治体によってはオンライン発行に対応していない書類もあるため、事前確認を忘れないようにしましょう。

書類名 取得先
戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで) 被相続人の本籍地の市区町村役場
戸籍謄本(相続人全員分) 相続人それぞれの本籍地の市区町村役場
住民票の除票(被相続人) 被相続人の最終住所地の市区町村役場
住民票(相続人) 各相続人の住所地の市区町村役場
印鑑証明書(相続人全員分) 各相続人の住所地の市区町村役場
固定資産評価証明書(課税明細書) 不動産所在地の市区町村役場(毎年4月頃送付)
登記申請書 法務局(公式Webサイトから書式をダウンロード)
遺産分割協議書 相続人全員で作成

相続の方法が違う場合は次の記事で必要書類を解説しています。

遠方の相続登記にかかる費用

相続登記を自分で行う場合でも、必要書類の取得費用と登録免許税は必ず発生します。相続登記でかかる主な費用は次のとおりです。

費用項目 目安金額
戸籍謄本 1通450円程度
除籍謄本 1通750円程度
住民票・除票 1通200〜400円程度
印鑑証明書 1通200〜450円程度
固定資産評価証明書 1通200〜400円程度
登録免許税 固定資産税評価額×0.4%(例:1,000万円だと4万円)
郵送費・収入印紙代 数百円〜1,000円前後
司法書士報酬(依頼時) 5〜15万円程度

自分で行う場合は、実費のみで済みますが、複雑な相続や複数不動産がある場合は、専門家に依頼した方が結果的に効率的なケースもあります。

遠方の不動産でも相続登記は郵送やオンラインで対応可能!放置せず早めに準備を

相続した不動産の所在地が遠方でも、郵送やオンライン申請を活用すれば現地へ行かずに手続きが完了します。

ただし、戸籍関係や固定資産評価証明書など、自治体によっては郵送対応していない書類もあるため、事前確認が重要です。費用の目安や必要書類を把握し、早めに準備を進めることで、スムーズな名義変更と将来のトラブル防止につながります。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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