相続不動産

JOURNAL

相続ジャーナル

お客様のお役に立つ情報を随時配信しています

相続による不動産登記は自分でできる?流れ・必要書類・費用などを徹底解説

2025.12.19

相続による不動産登記は自分で申請することも可能です。費用は抑えられる反面、時間や手間がかかりますが、申請の流れや必要書類、費用の目安を把握しておくとスムーズに進めやすくなります。

本記事では、相続登記を自分で行う流れや必要書類、費用の目安の他、押さえておきたいポイントなどを解説します。

相続による不動産登記の必要性と方法

相続登記は、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更するために欠かせない手続きです。まずは相続登記の必要性と手段について紹介します。

相続登記は2024年4月から義務化されている

不動産の名義を故人から相続人に変更する手続きを「相続登記」と呼びます。これは故人(被相続人)から相続人へ所有権を移すために欠かせない手続きです。

2024年4月からは相続登記が義務化されていて、相続を知った日から3年以内に手続きを行わないと過料(罰金)の対象となる可能性もあります。名義をそのままにしておくと売却や担保設定ができないだけではなく、権利関係が複雑になる可能性もあります。

相続登記の方法は専門家への依頼か自分でするかの2種類

相続登記は司法書士のような専門家に依頼する他、相続人が自分で必要書類を揃えて法務局へ申請することも可能です。ただし、戸籍の収集や登記申請書の作成には時間と正確さが求められます。

相続人が多い、遺言が複雑、期限まで余裕がないなど、特定のケースによっては司法書士のような専門家に依頼した方が良い場合もあります。手間・費用・リスクのバランスを考え、自分で行うか依頼するかを判断すると良いでしょう。

相続による不動産登記を自分でするメリット・デメリット

相続登記を自分で行うかどうかを判断するには、費用だけではなく手間やリスクも理解しておく必要があります。自分で手続きをする場合の主なメリットとデメリットを解説します。

【メリット】費用を抑えられる

相続登記を自分で行う最大のメリットは、専門家に支払う報酬が不要な点です。登記申請に必要な登録免許税や書類取得費用だけで済むため、数万円のコストが削減できます。

また、自分で進めるなかで相続人や不動産の権利関係、手続きの流れを把握できるので、不動産登記や相続への理解が深まるでしょう。比較的単純な相続関係や不動産が少ないケースでは、自分で行うのも十分現実的です。

【デメリット】時間と手間がかかる

相続登記を自分で行うデメリットは、時間と労力を要する点です。戸籍や住民票などの書類収集には手間がかかる場合があります。また、申請書の記載を誤ると再提出が必要になることも考えられます。

知識不足によるトラブルも考えられるため、相続人が多い、不動産が複数ある、遺産分割協議書を巡って意見の対立があるなどの場合は、専門家に依頼した方が良いかもしれません。

相続による不動産登記を自分で行う流れ

相続登記を自分で行うなら、事前に必要な書類や、申請の流れを把握しておくのがおすすめです。相続人の特定から法務局に申請するまでの基本の流れを解説します。

ステップ1.相続人と不動産の特定

まずは相続人を確定し、登記対象となる不動産を特定する必要があります。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本を取得し、法定相続人を正確に把握しましょう。

不動産については、登記事項証明書や固定資産税の通知書、固定資産評価証明書などで所有する土地・建物を特定します。相続人の範囲や財産の内容を明確にできたら、それに合わせて相続の方法(遺言・協議・法定相続)を選択します。

ステップ2.必要書類の作成と取得

遺言の有無によって、必要な書類や流れは異なります。公正証書遺言や家庭裁判所による検認済みの自筆証書遺言がある場合は保管し、その内容に従いましょう。

遺言書がない場合は、遺産分割協議を相続人全員で行う必要があります。不動産の相続者を決定し、相続人全員の署名・押印と印鑑証明書を添付した遺産分割協議書を作成してください。

法定相続どおりに登記する場合は、持分割合を記載する形で申請します。どの方法であっても申請には戸籍謄本・住民票・相続関係説明図などが必要なので、同時に準備しておくとこの後の流れがスムーズになります。

ステップ3.相続登記申請書の作成

必要書類が揃ったら、相続登記申請書を作成します。申請書には「登記の目的」「原因」「不動産の所在地・地番」「登録免許税額」などを正確に記載します。書き方を誤ると修正や再提出が必要になるため、ミスのないように記入しましょう。

相続登記を自分でする場合は、法務局のホームページに必要書類のひな形や記載例があるので、参考にしながら作成するのがおすすめです。作成後は添付書類の漏れがないかも確認しておきましょう。

ステップ4.法務局への申請

不動産の所在地を管轄する法務局に、窓口持参・郵送・オンラインのいずれかの方法で相続登記申請書と添付書類を提出します。

申請後、書類に不備がなければ1〜2週間程度で登記が完了します。完了後は不動産の権利証に相当する登記識別情報通知が交付されるので、内容に誤りがないかを確認しましょう。

【ケース別】相続による不動産登記に必要な書類と取得方法

相続の方法によって提出する書類や入手先は異なります。遺言・協議・法定相続のケース別に、必要な書類と取得先を一覧で紹介します。

共通して必要な書類

どのケースでも共通して提出が求められる基本書類は以下のとおりです。

書類の種類 取得方法
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで) 市区町村役場で取得
被相続人の住民票の除票 市区町村役場で取得
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場か市税事務所
登記申請書 相続人が作成
相続関係説明図 戸籍・除籍謄本原本の還付を希望する場合は作成
委任状 代理人が申請する場合は作成

固定資産評価証明書は、被相続人が死亡した年度ではなく登記を申請する日の属する年度のものが必要です。

遺言書で相続人が指定されている場合に必要な書類

遺言の内容に基づいて名義を変更する場合、相続人全員の同意書は不要です。ただし、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認を受けてからでないと使用できません。

書類の種類 取得方法
遺言書(公正証書遺言か検認済み自筆証書遺言) 法務局(公正証書遺言)、家庭裁判所(自筆証書遺言の検認)
不動産相続人の戸籍謄本・住民票 市区町村役場で取得

戸籍謄本は、被相続人の死亡日以降に発行されたものが必要です。

遺産分割協議で相続人を決定する場合に必要な書類

複数の相続人が話し合って不動産の相続人を決める場合は、相続人全員の書類や遺産分割協議書が必要です。

書類の種類 取得方法
遺産分割協議書 自作または司法書士に依頼
法定相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書 市区町村役場で取得
不動産相続人の住民票 市区町村役場で取得

遺産分割協議書は、相続人全員の署名・実印押印がされたものが必要です。法定相続人の戸籍謄本は、被相続人の死亡日以降に発行されたものが必要です。印鑑証明書には発行期限の制限はありません。

法定相続に従って分割する場合に必要な書類

遺言書や遺産分割協議書がない場合は、法律で定められた相続分に従って登記をします。

書類の種類 取得方法
法定相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場で取得
法定相続人全員の住民票 市区町村役場で取得

他のケースと同様に、戸籍謄本は被相続人の死亡日以降に発行されたものが必要です。

相続による不動産登記を自分でする場合の費用

相続登記を自分で行う場合は専門家への報酬は不要なので、主な費用は登録免許税と書類取得費の2種類だけです。登録免許税は、不動産の名義を被相続人から相続人へ正式に変更する際に国へ納める税金です。不動産1件ごとに、固定資産税評価額の0.4%で算出されます。

費用の種類 金額の目安
登録免許税 固定資産税評価額×0.4%
戸籍謄本 1通450円
除籍謄本・原戸籍謄本 1通750円
住民票 1通200~300円
印鑑証明書 1通200~300円
固定資産評価証明書 1通300円前後
登記事項証明書 1通600円前後

登録免許税の額は不動産ごとに異なり、必要書類の枚数も相続方法によって変わるため断言はできませんが、費用の合計は1万〜5万円前後が一般的とされています。ただし、遺産分割協議書の作成を専門家に依頼する場合は追加で報酬が必要です。

相続による不動産登記を自分でする前に押さえておきたいポイント

相続登記を自分で行うかどうか悩む人もいるかもしれません。安易に手を付けるのではなく、事前に自分の相続がどのようなケースか把握してから判断するのがポイントです。また、自分で進める場合は法務局の相談窓口を活用するのも良いでしょう。

自分で対応できるかよく考えて判断する

相続登記を自分でするかどうかは、よく考えて決めましょう。相続人が配偶者・子どものみといった関係が単純かつ、不動産の数が少ない比較的簡易な相続の場合は自分で進めやすい傾向にあります。

加えて、平日に役所や法務局に行く時間が確保できるかどうかも判断基準の一つです。法定相続人が複数人いたり、意見の対立があったりする場合は書類収集や協議書の作成に時間がかかるかもしれません。

費用対効果とリスクを比較し、自分で相続登記を進められるかをしっかりと判断してから取り掛かることをおすすめします。

不明点がある場合は管轄法務局の窓口に相談する

自分で相続登記を進めるなかで疑問点が出た場合は、自己判断せずに不動産所在地を管轄する法務局に相談するのが確実です。

法務局では、登記に必要な書類の種類や申請書の記載方法、添付書類について無料で相談できる窓口を開設しています。窓口相談だけではなく、電話やオンライン予約に対応している局もあります。

ただし、相談できるのは登記申請に必要な書類の内容や記載方法のみです。遺産分割の内容のような具体的な事案や、法的な判断はしてもらえません。

相続による不動産登記を自分でする場合は慎重に

相続による不動産登記は、専門家に依頼するよりも自分でやった方が費用を抑えられます。ただし、費用が抑えられる一方で時間や労力を要する点に注意が必要です。自分で行う場合は添付書類の不備や記入漏れなどのミスがないように、慎重に準備を進めましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

TOP