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家の名義変更にいくら費用がかかる?税金や注意点も解説

2025.11.14

家の名義変更にかかる費用や手続きは、意外と複雑で不安になる方も多いのではないでしょうか。家の名義変更は、登録免許税や必要書類の費用、司法書士報酬といった費用がかかります。

この記事では、名義変更にかかる費用や税金、手続きの流れ、注意点などをわかりやすく解説します。

家の名義変更にかかる4つの費用

家の名義変更には、税金や書類の取得費用、司法書士への報酬など、さまざまなお金がかかります。ここでは主な費用の内訳をわかりやすく解説します。

1.登録免許税

家の名義変更を行う際には、登録免許税という税金が必要です。登記の申請時に納めるもので、課税標準額(対象不動産の固定資産税評価額)に税率をかけて計算されます。税率は名義変更の理由によって、以下の通り異なります。

名義変更の理由 登録免許税の税率
売買 2.0%
贈与 2.0%
相続 0.4%
財産分与 2.0%

登録免許税は、印紙や現金で納付します。なお、登録免許税は、一定の条件を満たせば軽減や免除が可能です。

参照:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

2.書類の取得費用

名義変更するためには、必要な証明書等を揃えることになるため、役所で証明書を取得する際に手数料がかかります。主な必要書類と費用は以下の通りです。

書類名 手数料(1通あたり) 主な用途
戸籍謄本 約450円 相続関係の証明
除籍謄本 約750円 相続関係の証明
改製原戸籍 約750円 相続関係の証明
戸籍の附票の写し 約300円 相続人の住所履歴確認
住民票 約300〜400円 名義人や相続人の住所確認
印鑑証明書 約200〜400円 登記申請書への押印確認
固定資産評価証明書 約200〜400円 登録免許税の課税標準の確認
登記簿謄本(全部事項証明書) 書面:600円
オンライン:490円
不動産の権利・担保情報の確認
公図 書面:500円
オンライン:440円
土地の位置・形状・境界の確認

3.契約書にかかる印紙税

家の名義変更に伴い売買契約書や贈与契約書を作成すると、印紙税が課税されます。贈与契約書は一律200円。売買契約書は契約金額に応じて以下のように異なります。

契約金額 印紙税額(軽減後)
10万円以下 200円
10万円超〜50万円以下 1,000円
50万円超〜100万円以下 400円
100万円超〜500万円以下 2,000円
500万円超〜1,000万円以下 10,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 20,000円
5,000万円超〜1億円以下 60,000円

4.司法書士への報酬

家の名義変更を司法書士に依頼する場合、報酬が必要です。相場は1件あたり7〜15万円程度で、相続登記はおおむね10万円前後が目安ですが、地域や登記内容によって幅があります。司法書士に頼むといくらかかるか悩む場合は、依頼する事務所に事前に確認しましょう。

家の名義変更後にかかる4つの税金

家の名義変更が終わっても、相続や贈与、売却など状況によっては新たに税金が発生します。ここでは代表的な4つの税金を解説します。

1.相続税

相続税は、不動産などの遺産を相続した際に課される税金です。例えば、夫から妻へ、あるいは親から子へと相続が行われた場合に対象となります。相続財産の評価額が基礎控除額を超えた場合にのみ課税されます。

基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」。例えば、相続人が配偶者と子ども2人なら、4,800万円まで非課税です。

相続税は、相続開始から10か月以内に申告・納付します。期限を過ぎると加算税などのペナルティが課されるため注意しましょう。

相続税の基礎控除額について詳しく知りたい方は以下をチェックしてください。

2.贈与税

贈与税は年間110万円を超える贈与を受けた場合に発生し、家を生前贈与として名義変更した際も課税されます。

贈与とは、自分の財産を無償で相手に与え、相手がそれを受け入れることで成立する契約です。贈与税の税率は以下の通り(一般税率の場合、父から20歳以上の子に贈与する等の特例税率はこれと税率が異なりますので注意してください)。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

不動産の贈与は相続税対策として用いられることもありますが、税負担を十分に確認したうえで慎重に検討することが重要です。

3.不動産取得税

不動産取得税は、家や土地を売買や贈与などで取得した際に課される税金です。相続による取得には、原則不動産所得税はかかりません。税額は「固定資産評価額×税率」で算出します。税率は土地・住宅が3%、住宅以外の建物は4%です。

4.譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課される税金。課税対象となるのは売却価格そのものではなく、取得費や譲渡費用を差し引いた金額です。

税率は所有期間によって異なり、5年以下は短期譲渡所得として39.63%、5年超は長期譲渡所得として20.315%が課されます。居住用不動産なら最高3,000万円の特別控除があり、相続関連の特例も利用できれば税負担を大きく軽減可能です。

名義変更の流れ|相続・贈与の場合

家の名義変更は、相続か贈与かで手続きの流れが異なります。ここでは、ケースごとのステップを紹介します。

相続の場合

家を相続によって取得した場合の名義変更の流れは、以下の通りです。

  1. 1.相続人の確認
  2. 2.対象不動産の確認
  3. 3.遺言・遺産分割協議・調停
  4. 4.必要書類の準備
  5. 5.登記申請

相続した家の名義変更(相続登記)を自分でしたいと考えている方は以下も参考にしてください。

贈与の場合

贈与で不動産を取得した場合の名義変更の流れは、以下の通りです。

  1. 1.贈与者と受贈者で対象不動産や贈与時期を決める
  2. 2.不動産調査と税金の確認をする
  3. 3.必要書類の準備
  4. 4.登記申請

生前贈与で家を取得する場合の節税対策や注意点は、以下の記事もチェックしてください。

自分で家の名義変更をする際の2つの注意点

自分で名義変更を進める場合は、手続きミスや漏れに十分注意が必要です。ここで紹介する2つの注意点を押さえておきましょう。

1.対象不動産の漏れに注意

名義変更では、対象不動産の漏れがないかを必ず確認することが重要です。

登記し忘れた物件があると、後日再手続きが必要になり、余計な費用と時間がかかってしまいます。固定資産税明細書だけではなく、名寄帳も取得して、所有している不動産を漏れなく把握しておきましょう。

2.名義変更には1か月程度の期間が必要

不動産の相続による名義変更は、想像以上に時間を要するケースがあります。自分で行う場合、準備から登記完了まで2〜3か月かかることもあり、書類の不備や法務局の混雑でさらに延びる可能性も。

一般的に、戸籍収集や協議書作成には数週間、申請後の審査にも1〜2週間ほどかかります。平日に役所へ行けない方や相続人が多い場合は、書類の準備や合意形成に時間がかかり名義変更が長引く恐れがあるため、早めの対応を心がけましょう。

家の名義変更は司法書士に依頼するべき?メリットとデメリット

家の名義変更は自分でも行えますが、司法書士などの専門家に依頼することも可能です。

司法書士に名義変更を依頼する最大のメリットは、専門的で複雑な手続きを確実かつスムーズに進められる点です。書類不備による遅延や無効化のリスクを避けられ、相続や贈与など難しいケースにも対応してくれます。また、戸籍収集や書類作成の手間を省け、時間的負担も軽減されます。

デメリットとしては費用がかかる点です。前述しましたが、相場は1件あたり7〜15万円程度。

正確性や安心感を得たい人は司法書士に依頼するのがおすすめです。

費用を把握して家の名義変更をスムーズに進めよう

家の名義変更には、登録免許税や書類取得費用、司法書士報酬などの費用がかかり、さらに相続や贈与の内容によって税金が発生する場合もあります。流れや必要書類も複雑で、準備から完了まで時間を要するため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。

まずは自分のケースに必要な費用と手続きの全体像を確認し、早めに準備を始めましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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