親のマンションを相続するには?流れや費用など手続きについてまるっと解説
2025.11.11

親のマンションを相続することになった場合、相続登記をはじめいくつもの手続きが必要です。しかし何から始めればよいのか、どんな手続きが必要なのか戸惑うこともあるでしょう。
本記事では、親のマンションを相続する流れからかかる費用、遺産分割の方法や相続の注意点まで網羅的に解説しています。相続手続きには期限があるものもあるため、焦らずに進められるよう事前にポイントを理解しておくことが大切です。
目次
親のマンションを相続する流れ

親のマンションの相続は、まず遺言書の有無を確認します。遺言書がない場合、相続人同士で話し合い、遺産を分け合ったのちに相続登記を行い、必要であれば相続税の申告・納付を行うのが一連の流れです。ここでは、やるべきことを段階的に解説します。
1.遺言書の有無や内容を確認する
まずは親が遺言書を残しているかどうかを確認します。遺言書がある場合は、その内容に沿って相続手続きを進めるのが基本です。
遺言書には3種類あり、自筆証書遺言や秘密証書遺言は、内容の改ざんを防ぐために家庭裁判所で検認を受けてから開封する必要があります。勝手に開封すると無効になるため注意しましょう。一方、公正証書遺言は公証人が作成・保管しており、検認は不要です。
2.法定相続人と遺産内容を調査する
遺言書を確認後、誰が法定相続人で他にどんな遺産があるかを調べる必要があります。法定相続人は民法で定められていて、亡くなった人の財産を引き継ぐ人のことです。被相続人の出生時からの戸籍謄本を取り寄せて確認します。
また遺産はマンションや預貯金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などマイナスの財産も含まれます。漏れのないよう全体を把握することが大切です。
3.遺産分割協議を行う
遺言書がなく、法定相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人同士で遺産の分け方を話し合うことで、全員の同意のもとに成立します。
相続人が遠方にいる場合は、オンラインや書面を活用してやり取りしましょう。話し合いの内容がまとまったら遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印を行います。
4.相続登記を行う
マンションを相続する人が決まったら、名義変更手続きである「相続登記」を行います。相続登記をしないと正式に自分の所有物とは認められず、売却や賃貸、担保として活用できません。
2024年4月から相続登記は義務化されているため、忘れずに手続きすることが重要です。相続登記について詳しくは後述します。
5.相続税の申告・納付をする
相続財産が基礎控除額を超える場合や、特例を利用する場合は相続税の申告と納付が必要です。申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内で、被相続人の住所地を管轄する税務署で手続きします。
納付も申告と同じ期間内に行い、原則現金での一括納付が求められます。なお、支払いが難しい場合は延納の申請も可能です。
親のマンションの相続にかかる費用

親のマンションを相続すると、登録免許税や相続税などがかかるケースがあります。ここでは各費用について解説します。
登録免許税
登録免許税は、相続登記をする際にかかる費用です。以下の計算式で求められます。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
例えば、不動産の評価額が3,000万円の場合、登録免許税は12万円です。固定資産税評価額とは、市区町村が定めた不動産の評価額のこと。納税通知書や固定資産税評価額証明書から確認できます。
なお、評価額が100万円以下の土地は非課税になる特例があるほか、一定の条件を満たす場合は免税措置がとられるケースもあります。
相続税
相続税とは、被相続人の財産を受け継いだ際に課される税金のことです。ただし、遺産総額が基礎控除額を超えない場合、相続税はかかりません。基礎控除額が次の計算式で求められます。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
例えば、相続人が二人の場合、基礎控除額は4,200万円となり、遺産総額がこの金額を超えた場合に税率10〜55%の範囲で課税されます。相続税の申告・納付は前述のとおり期限があるため、早めの確認が大切です。
その他の費用
不動産の相続では、税金以外にもいくつかの費用が発生します。例えば、相続登記をする際には戸籍謄本や除籍謄本などの書類が必要で、これらの取得費用として数千円〜1万円ほどかかります。
また相続登記を司法書士に依頼した場合は、報酬として5〜10万円程度が必要です。手続きの内容や依頼範囲によっては10万円を超える場合もあります。報酬額は事務所によって異なるため、事前に見積もりを取っておくと安心です。
親のマンションを遺産分割するには?

親のマンションは原則、法定相続人が法定相続分に則って遺産を分け合います。ここでは、法定相続人と法定相続分の基本、遺産を分割する4つの方法をみていきましょう。
法定相続人|誰が遺産をもらえるのか
親のマンションを相続するときは、まず「誰が法定相続人にあたるのか」を確認する必要があります。
法定相続人とは、民法で定められた遺産を受け取る権利がある人のこと。法律上の配偶者は常に相続人になりますが、そのうえで以下のように順位が定められています。
第1順位:子ども(または孫・ひ孫などの直系卑属)
第2順位:父母や祖父母などの直系尊属
第3順位:兄弟姉妹(または甥・姪などの代襲相続人)
すでに相続人が亡くなっている場合、その人の子どもが代わりに相続することを代襲相続といいます。
法定相続分|遺産の割合はどうなるのか
親のマンションを相続する前に、各相続人の遺産の取り分も確認しておきましょう。民法で定められた相続人それぞれの遺産割合を法定相続分といい、相続人の範囲や人数によって割合が変わります。
配偶者は常に相続人であることを前提に、法定相続分は以下のように決められています。
| 配偶者+子ども | 配偶者:2分の1、子ども全体で残り2分の1を等分 |
| 配偶者+父母 | 配偶者:3分の2、父母全体で残り3分の1を等分 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者:4分の3、兄弟姉妹全体で残り4分の1を等分 |
もし配偶者がおらず、兄弟二人で相続する場合は、均等に1/2ずつ分け合います。このように、遺産を相続するときは「誰がどのくらい相続できるか」を把握しておくことが大切です。
遺産分割の種類|遺産はどう分けるのか
遺産の分け方には、以下の4種類があります。親のマンションを相続する際は、どの方法で分割するのが最適か、相続人間でよく話し合っておきましょう。
| 分割方法 | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 財産をそのままの形で分ける (例:マンションは妻、預金は長男など) |
手続きが簡単でわかりやすい | 財産の価値差で不公平になりやすい |
| 代償分割 | 1人が不動産などを取得し、他の相続人に代償金を支払う | 不動産を手放さずに済む | 代償金を支払う資金が必要 |
| 換価分割 | 財産を売却して、得たお金を分ける | 公平に分けやすい | 売却に手間がかかる/売りたくない人がいると進まない |
| 共有分割 | 財産を共有名義で相続する | 一時的な解決にはなる | 管理・売却時にトラブルが起きやすい |
親のマンションを名義変更するには|相続登記

相続登記とは、不動産の名義を故人から新しい所有者に変更する手続きのことで、自分でも手続きできます。ただし、手続きが複雑な場合は専門家に頼るのがおすすめです。ここでは、親のマンションの名義変更について解説します。
相続登記とは
相続登記とは、亡くなった人(被相続人)名義のマンションを、相続人の名義へ変更する手続きのことです。この登記を行わなければ、相続人が正式な所有者とは認められません。
2024年4月から相続登記は義務化され、相続が発生したことを知った日、または遺産分割協議が成立した日から3年以内に申請する必要があります。
登記手続きには、被相続人・相続人の戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などの書類が必要です。必要書類の詳細や手続き方法は、法務局または司法書士に確認しておくと安心です。
相続登記は自分でできる?
相続登記は自分で手続きすることも可能です。申請先である法務局では、必要書類の案内や申請書の書き方を教えてもらえるほか、法務省のホームページにもひな形や手順の説明が公開されています。
ただし相続登記は書類の準備や内容確認などが複雑な手続きです。相続人が多い、権利関係が複雑、急ぎで登記したいといった場合は、司法書士に依頼したほうがスムーズに進められます。また不備があると手続きに時間もかかるため、確実に済ませたい場合には専門家に頼るのが無難です。
親のマンションを相続するときの注意点4つ

親のマンションを相続する際は、なるべく単独で相続することが重要です。また公共料金の名義変更や、マンションの管理組合への連絡も忘れずに。空き家のまま放置することだけは避けましょう。ここでは、親のマンションを相続時の注意点を紹介します。
1.なるべく単独で相続する
親のマンションを相続する際は、できるだけ単独で相続することをおすすめします。
不動産を複数人で共有名義にすると、維持費や管理方法、売却の可否などで意見が分かれ、トラブルに発展するケースが少なくありません。また共有者の一人が亡くなると、さらにその相続人が増えて管理が複雑になることもあります。
一方、単独で相続すれば売却や賃貸などの判断をスムーズに行えて、将来的なトラブル防止にもつながります。遺産分割協議の段階で、誰が所有するか明確に決めておくとよいでしょう。
2.公共料金の名義を変更する
親のマンションを相続したら、電気・ガス・水道などの公共料金の名義変更を忘れずに行いましょう。相続の手続きは多くて大変ですが、名義変更を後回しにすると後にトラブルにつながる恐れがあります。
例えば、公共料金の支払いを口座引き落としにしていた場合、口座名義人である親が亡くなると、金融機関によって口座が凍結されて料金が引き落とせなくなることがあります。そうなると未払いで電気や水道が止まってしまうこともあるため、注意が必要です。
また生前から滞納している場合、未払い分の公共料金も債務として相続の対象になるため、支払いの有無は確認しておくことが大切です。
3.マンションの管理組合に連絡をする
マンションを相続したら、管理組合へ所有者変更の旨を知らせる必要があります。相続登記をしても自動的には反映されないため、組合員変更届を提出して、管理費や修繕積立金の支払い方法も変更しておくことが大切です。
また故人名義の口座が凍結されると引き落としが止まるため、早めに新しい口座を登録しましょう。駐車場やトランクルームなどを利用していた場合は、あわせて名義変更が必要です。
4.空き家のまま放置しない
親のマンションを相続し、住む予定がないからと放置するのは避けましょう。空き家のままにしておくと、以下のようなリスクがあります。
- ・管理費や修繕積立金などの維持費がかかり続ける
- ・湿気やカビなど室内の状態悪化が悪化する
- ・資産価値が低下する
- ・犯罪に悪用される可能性がある
特にマンションでは固定資産税のほか、管理費や修繕積立金が定期的にかかり、所有しているだけでもコストがかさみます。状態が悪ければ売却時に高額な修繕費用が必要になる場合もあるため、住まない場合は早めの対処が必要です。
親のマンション|相続後の選択肢は?

親のマンションを相続したら、引っ越して住んだり、賃貸物件として貸し出したりする方法があります。また、売却して現金化するのも一つです。ここでは、相続後の選択肢について解説します。
引っ越しをして住む
親が住んでいたマンションを相続した後、自分が住むという選択肢があります。現在の住居に不満がある場合や、通勤に便利な場所であればメリットがあるでしょう。また家族との思い出を手放さずに済む点も魅力。
ただし分譲マンションの所有には、管理費や修繕積立金、固定資産税や都市計画税などの費用がかかります。事前に管理会社や管理組合に相談し、大規模修繕の履歴や積立金の状況を確認しておきましょう。
賃貸物件として貸し出す
相続したマンションを手放さずに収益を得たい場合は、賃貸物件として貸し出す方法も一つです。家賃収入を得られるため、定期的な不労所得の手段としても有効。貸し出しても所有権は自分にあるので将来的に住むことも可能です。
ただし賃貸経営には以下のような注意点もあります。
- ・入居者がなかなか決まらない
- ・修繕やリフォームなどの初期費用がかかる
- ・不動産管理や仲介手数料などの支出も発生する
賃貸に貸し出す前には、不動産会社に相談して物件の賃貸需要や適正家賃を確認しておくことが重要です。
売却して現金化する
相続したマンションを自分で使わず、また管理や維持が難しい場合は、思い切って売却も視野に入れましょう。売却すれば管理費等の負担から解放され、まとまった現金を手に入れられます。
ただし予想より安く手放すことになったり、譲渡所得税がかかったりする可能性がある点に注意が必要です。売却方法は大きく分けて二つあります。
- 1.仲介会社に依頼して売却:仲介会社のもと、市場に出して一般の買い手を探す
- 2.買取会社に依頼して売却:不動産会社に直接買い取ってもらう
現金化を急ぐ場合や、築年数が古い・立地が悪いなど条件が不利な物件は買取がおすすめです。
親のマンションがいらないときはどうする?

相続した親のマンションの活用予定がなく、いらない場合は相続放棄の選択肢もあります。
ただし相続放棄を行うと、マンションだけでなく親の財産すべてを放棄することになるため、他の遺産も受け継げません。部分的に相続権利を放棄することはできないため、注意が必要です。
また相続放棄をしてもマンションに住んでいる状態や、他に相続人がいない場合には、マンションの管理義務が残ることがあります。この場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選任してもらうことで、管理責任を引き継いでもらうことが可能です。
相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内と期限が決まっているので、放棄を決めた場合は早めに手続きを進めることが重要です。
親のマンションの相続を決めたら、早めに準備を進めよう

不動産の相続手続きには、遺産分割や相続登記、相続税の納付などやるべきことがたくさんあります。親のマンションの相続を決めた場合は、早めに準備を進めていきましょう。
相続したマンションの売却を検討している方は、住栄都市サービスまでお気軽にご相談ください。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。



