代襲相続とは?孫や甥姪・養子の相続権と不動産がある場合のトラブル解決法を紹介
2025.12.13

家族が亡くなり相続の手続きを進める中で、「代襲相続」という言葉を初めて耳にして戸惑っていませんか。
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった方がすでに亡くなっている場合、その子どもや孫が代わりに相続権を引き継ぐ制度です。
しかし、誰が相続できるのか、養子や甥姪の扱いはど
うなるのか、不動産がある場合のトラブルをどう防げばよいのかなど、わからないことも多いでしょう。
本記事では、代襲相続の基本的な仕組みから具体的な事例、そして不動産を含む相続で起きやすいトラブルと解決策まで、わかりやすく解説します。
代襲相続とは?制度の基本と考え方

まずは、代襲相続の基本的な意味と、なぜこの制度が存在するのかを見ていきましょう。
代襲相続が設けられている理由
代襲相続とは、本来相続人になるはずだった人が「相続開始前に死亡した場合」などに、その子ども(孫や甥姪など)が代わりに相続する制度です。
この制度は、家族間の公平性を保つために設けられています。
たとえば、父が亡くなり、その子ども(長男)がすでに亡くなっていた場合、長男の子ども=孫が父の遺産を相続します。
このように「一つの血筋が相続から外れないようにする」ためのルールなのです。
代襲相続人になれる人の範囲
民法上、代襲相続が認められるのは主に次の2つのケースです。
- ・子どもが亡くなっている場合(孫が代襲相続人)
- ・兄弟姉妹が亡くなっている場合(甥姪が代襲相続人)
父母や祖父母など「直系尊属」に代襲相続はありません。
つまり、上の世代に対しては代襲されず、あくまで「下の世代(子や孫など)」に限られるのが特徴です。
代襲相続が発生するケースとは

代襲相続は特定の条件が揃ったときにのみ発生する制度です。
どのような状況で代襲相続が起こるのか、具体的なケースを確認しながら、制度が適用される場面を理解していきましょう。
本来の相続人が相続開始前に亡くなっている
代襲相続が発生する最も一般的なケースは、本来の相続人(子ども)が被相続人より先に亡くなっている場合です。
たとえば父が亡くなり、長男が相続開始前に亡くなっていた場合、長男の子ども(孫)が父の遺産を代わりに相続します。
このように、「親の代わりに子が受け取る」という方向で相続が引き継がれるのが代襲相続の基本です。
重要なのは相続開始時より前に亡くなっていることで、タイミングによって相続権の有無が変わることです。
家系図を作成して、誰がいつ亡くなったのかを整理すると、相続関係を把握しやすくなるでしょう。
子または兄弟姉妹の直系の子孫である
代襲相続ができるのは、被相続人(亡くなった人)の子どもや兄弟姉妹の「血のつながった下の世代」にあたる人です。
- ・被相続人の子が亡くなっていれば→孫・ひ孫
- ・被相続人の兄弟姉妹が亡くなっていれば→甥姪
ただし、兄弟姉妹の代襲は一代限りで、その甥姪の子ども(大甥・大姪)には代襲相続人になれません。
また、配偶者の甥姪は血のつながりがないため、代襲相続人にはなりません。
あくまで「血縁でつながる子や孫などの世代」に限られることを覚えておきましょう。
相続する権利を失っていないこと
本来の相続人が相続欠格や廃除によって相続権を失った場合でもその子供は代襲相続人となります。
「相続欠格」とは、被相続人を殺害したり遺言書を偽造したりした場合に、法律上当然に相続権を失う制度です。
また、「廃除」とは、虐待や著しい侮辱があった場合に、家庭裁判所の審判で相続権を取り消す手続きです。
これらの理由で相続権を失った場合でも、その子どもは代襲相続人として相続できる点が特徴です。
ただし、相続放棄をした場合には代襲相続は起こらない点に注意が必要です。
相続放棄した者は初めから相続人でなかったことになりますので、その子が代襲して相続人になることはないからです。
家族関係でわかる代襲相続の主なケース

代襲相続は、家族関係によって誰が対象になるかが変わります。
ここでは代表的な4つのケースを紹介します。
孫が代襲相続人となる場合
被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合、その孫が代襲相続人として相続権を引き継ぎます。
たとえば祖父が亡くなる前に父が他界していれば、孫が父の相続分をそのまま受け取る形になるのです。
ひ孫が代襲相続人となる場合(再代襲)
孫もすでに亡くなっている場合は、ひ孫が再代襲相続人となります。
直系卑属の代襲相続には世代の制限がなく、何代でも引き継がれていく点が特徴です。
甥や姪が代襲相続人となる場合
被相続人に子どもがおらず、兄弟姉妹が相続人となるケースで、その兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば甥や姪が代襲相続人になります。
養子が代襲相続人となる場合
養子縁組が成立していれば、養子は実子と同じ相続権を持ちます。
養子が先に亡くなっていれば、その子どもが代襲相続人となるのです。
養子の子どもが代襲相続人となる場合
養子縁組の前に生まれた養子の子どもは代襲相続できませんが、縁組後に生まれた子どもは代襲相続人となります。
養子縁組の時期が重要なポイントです。
代襲相続で誤解しやすい順番と注意点

代襲相続の仕組みを理解していても、「どこまで続くのか」「誰が該当しないのか」で混乱するケースは少なくありません。
誤った解釈のまま手続きを進めると、遺産分割が無効になることもあるため注意が必要です。
ここでは、特に誤解されやすい順番や注意点を整理します。
兄弟間では代襲相続が発生しない
「長男が亡くなったから次男が代わりに相続する」と思い込む人が多いですが、これは誤りです。
代襲相続は、親の代わりにその子どもが相続する制度であり、兄弟間には適用されません。
正しくは「長男の子ども(=孫)」が代襲相続人となります。
祖父母など上の世代には代襲が及ばない
代襲相続は下の世代にのみ発生する仕組みであり、上の世代(祖父母など)には戻りません。
たとえば、子どもがすでに亡くなっており孫が生存している場合、祖父母には相続権はありません。
「孫がいるのに祖父母が相続人になる」と勘違いして進めると、無効な手続きになる可能性があります。
甥姪の代襲は一代限りで終了する
前述のとおり、兄弟姉妹の代襲は一代限りのため、甥姪の子ども(被相続人の大甥・大姪)には権利が及びません。
直系卑属の代襲と異なり、兄弟姉妹の系統では一代で打ち切られる点が大きな違いです。
養子にも代襲相続権がある
「養子だから代襲できない」と誤解されがちですが、養子も実子と同様に相続権を持ちます。
亡くなった子に養子がいれば、その養子が代襲相続人になります。
ただし、養子縁組が正式に成立しており、戸籍上で親子関係が明確に記載されていることが前提です。
代襲相続で起きやすいトラブルと解決法

代襲相続では、相続人の数が増えることに加え、世代が異なるため、意思疎通の難しさからトラブルが起こりやすくなります。
特に、孫や甥姪など「代襲相続人」として相続に関わる側は、立場上不利になりやすいため注意が必要です。
ここでは、代襲相続人が実際に直面しやすい5つのトラブルと、その解決方法を解説します。
遺産分割協議において不利な条件で署名を求められる
代襲相続人は相続の仕組みをよく理解していないケースが多く、他の相続人から不利な条件での合意を迫られるリスクがあります。
たとえば本来の相続分より少ない金額での合意を求められたり、急いで署名を促されたりする場合です。
遺産分割協議書に署名する前に、必ず専門家に内容を確認してもらいましょう。
解決のポイント
- ・署名や押印は、内容を理解し納得したうえで行う
- ・書類はコピーを取って保管し、不明点は専門家に確認
- ・公正証書遺言や遺産分割協議書の文面を弁護士に確認してもらう
代襲相続人と連絡が取れず協議が進まない
代襲相続人が遠方に住んでいたり、疎遠になっていたりすると、連絡先が分からず遺産分割協議を始められない事態が起こります。
代襲相続では孫や甥姪などの人数が多く、意思確認だけで数か月かかることも珍しくありません。
解決のポイント
- ・代表者を決めてやり取りを一本化する
- ・行方不明の場合は、家庭裁判所で「不在者財産管理人」の選任を申立てる
- ・専門家に依頼して書面で意思確認を進める
相続放棄を強いられる
代襲相続人に対して、他の相続人が相続放棄を強要してくるトラブルも少なくありません。
「関係が遠いから」「少額だから」といった理由で、他の相続人から相続放棄を求められるケースもあります。
しかし、安易に放棄すると本来受け取れる財産や権利を失うおそれがあります。
解決のポイント
- ・相続放棄は家庭裁判所への申述で行う(書面で正式に)
- ・期限は相続開始を知ってから3か月以内
- ・借金がある場合でも、財産の内容を確認してから判断する
知らないうちに借金を相続してしまう
代襲相続では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金など)も引き継ぐことになります。
被相続人に多額の借金があったことを知らずに相続してしまい、後から請求されるケースもあるのです。
相続が発生したら財産調査を徹底的に行い、負債が多い場合は相続放棄を検討しましょう。
期限は相続を知ってから3か月以内です。
解決のポイント
- ・財産調査の段階で「負債」も必ず確認
- ・借金が多い場合は「限定承認」または「相続放棄」を検討
代襲相続におけるトラブルを防ぐためにできること
代襲相続のトラブルを未然に防ぐには、早い段階で専門家に相談することが最も重要です。
相続の知識がないまま手続きを進めると、不利な条件で合意してしまったり、後から問題が発覚したりするリスクがあります。
弁護士や税理士に相談すれば、適切な相続分や手続きの流れを把握できるでしょう。
また、代襲相続人同士で情報を共有し、透明性を保つことも大切です。
誰がどの財産を相続するのか、借金はないかなど、全員が同じ情報を持つことで疑心暗鬼を防げます。
さらに、遺産分割協議書や登記書類、税申告書など、すべての書類をコピーして保管しておきましょう。
まとめ
代襲相続は、本来の相続人が亡くなっている場合に、その子どもや孫が相続権を引き継ぐ制度です。
孫やひ孫は世代をまたいで代襲できますが、甥姪の代襲は一代限りという違いがあります。
養子は実子と同様に扱われ、縁組後に生まれた子どもには代襲相続権が認められます。
一方で、不動産が遺産に含まれると、共有名義・評価額・固定資産税・相続登記の遅れなど、思わぬトラブルが起きやすくなります。
住栄都市サービスでは、このような相続トラブルにも幅広く対応しており、不動産に精通した弁護士にも無料でご相談いただけます。
手続きの進め方や不動産の分け方など、状況に合わせた最適な解決策を専門家が丁寧にご案内しまおりますので、代襲相続や不動産相続でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。




