相続不動産

JOURNAL

相続ジャーナル

お客様のお役に立つ情報を随時配信しています

兄弟の不動産を相続放棄するには?手続きと注意点をわかりやすく解説

2025.12.03

兄弟が亡くなり、突然相続人となったものの、「管理が難しい」「借金がある」といった理由で相続放棄を考える方は少なくありません。

しかし、相続放棄には期限や手続きのルールがあり、不動産を放棄する場合には特有の注意点があります。

本記事では、兄弟の不動産を相続放棄する際の具体的な手続き方法から、知っておくべき注意点まで、わかりやすく解説します。

適切な判断ができるよう、ぜひ最後までお読みください。

 

兄弟が相続人になるケースとは

兄弟が相続人となるのは、特定の条件が揃った場合に限られます。

民法で定められた相続順位により、誰が財産を引き継ぐかが決まる仕組みです。

まずは、どのような状況で兄弟に相続権が発生するのか確認していきましょう。

 

法定相続順位の基本

民法では相続できる人の順位が明確に定められています。

  • ・第1順位:子ども(直系卑属)
  • ・第2順位:父母・祖父母(直系尊属)
  • ・第3順位:兄弟

兄弟姉妹に相続権が発生するのは、故人に配偶者以外の相続人(子や両親)がいない場合です。

また、上位の相続人が全員相続放棄した場合も、兄弟に相続権が移ります。

 

兄弟に相続権が回ってくる具体的な状況

兄弟が相続人になるのは、具体的には次のようなケースです。

  • ・独身の兄弟が亡くなり、両親もすでに他界している
  • ・故人に子どもがいない、または全員が相続放棄している
  • ・配偶者がいない、もしくは配偶者も相続放棄をしている

ときには、甥や姪から「親が放棄したので次はあなたが相続人になります」と連絡を受けて初めて知ることもあります。

兄弟間の相続は、本人の意思に関係なく権利が発生するため、突然の相続にどう対応するかが重要です。

 

不動産を相続放棄する主な理由

兄弟の不動産を相続放棄する理由は人それぞれですが、いくつかの共通したパターンがあります。

代表的な3つの理由を見てみましょう。

 

借金やマイナスの財産を引き継ぎたくない

相続では不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払い金といったマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります

  • ・消費者金融や銀行からの借入金
  • ・住宅ローン・事業負債
  • ・未払いの医療費・税金

これらの負債総額がプラスの財産を上回る場合、相続によって自分の生活を圧迫するリスクがあります。

 

管理が困難な不動産を相続したくない

不動産を相続すると、固定資産税の支払いや建物の維持管理といった継続的な負担が発生します。

すでに自宅を所有している方にとって、使う予定のない不動産を管理し続けることは現実的ではありません。

特に地方の空き家や事故物件は買い手がつきにくく、売却も難航します。

こうした管理負担を回避するために、相続放棄を選ぶ方が増えています。

 

他の兄弟や相続人とのトラブルを避けたい

相続が発生すると、兄弟間で以下のようなトラブルが起きやすい傾向があります。

  • ・遺産分割の割合で揉める
  • ・不動産の評価額を巡って意見が対立
  • ・一部の相続人が独占しようとする
  • ・感情的な対立で話し合いが進まない

不動産は現金と異なり簡単に分割できないため、誰が取得するか、売却するかどうかなどで揉めやすい財産です。

こうした複雑な人間関係や長期化する協議に巻き込まれたくないという理由から、最初から相続放棄を選択する方もいます。

 

兄弟の不動産を相続放棄するメリット・デメリット

相続放棄の判断には、兄弟の不動産を「引き継ぐリスク」と「放棄するリスク」の両方を理解することが大切です。

判断を誤らないために、両面を比較しておきましょう。

メリット デメリット
・借金や負債を一切引き継がずに済む

・不動産の管理負担から解放される

・固定資産税などの支払い義務がなくなる

・相続トラブルに巻き込まれない

・すべての財産を放棄しなければならない

・撤回や取り消しが原則できない

・他の相続人に負担が移る可能性がある

・思い出の品なども受け取れなくなる

相続放棄は慎重に判断すべき選択といえるでしょう。

 

兄弟の不動産を相続放棄するときの手続きと流れ

相続放棄には法律で定められた手続きと期限があります。

正しい流れを理解していないと、放棄が認められない場合や、予期せぬ不利益を被る可能性もあるでしょう。

ここでは、具体的な手続きの流れを順に追って説明します。

 

相続放棄の手続きの主な流れ

相続放棄の手続きは家庭裁判所に申し立てるかたちで行います。

1.相続放棄の意思決定

相続財産・負債の有無を確認し、放棄するかどうか判断します。

2.必要書類の準備

戸籍や住民票など、故人と申述人の関係を証明する書類を揃えます。

3.家庭裁判所へ申述書の提出

故人の「最後の住所地」を管轄する家庭裁判所に提出します。

4.照会書への回答

裁判所から送付される質問書(照会書)に回答し返送します。

5.相続放棄申述受理通知書の受領

問題がなければ、約1~2週間で通知書が届き、手続き完了です。

 

相続放棄に必要な書類と費用の目安

相続放棄の申述に必要な書類は以下のとおりです。

基本書類

  • ・相続放棄申述書
  • ・故人の住民票除票または戸籍附票
  • ・故人の死亡の記載がある戸籍謄本
  • ・相続放棄する本人の戸籍謄本

兄弟が相続人となる場合の追加書類

  • ・故人の出生から死亡までの全戸籍謄本
  • ・故人の両親の死亡が記載された戸籍謄本

書類取得や専門家への依頼には、次の費用がかかります。

  • ・収入印紙:800円
  • ・郵便切手:数百円
  • ・戸籍謄本などの取得費:1通450~750円
  • ・専門家への依頼費用:約3~10万円(司法書士・弁護士など)

自分で行えば1万円以内に収まりますが、戸籍の取得範囲が広く複雑な場合は専門家のサポートが安心です。

 

兄弟の不動産を相続放棄するときの主な注意点

相続放棄は一度受理されると、原則として取り消せない重要な手続きです。

後悔しないために、注意点を押さえておきましょう。

 

いつの間にか兄弟の相続人になっている場合がある

第一順位や第二順位の相続人が全員相続放棄をすると、兄弟に相続権が移ります

親族から連絡がなければ、故人が亡くなったことすら把握できないケースもあるでしょう。

突然、債権者から請求書が届いて初めて相続人になったことを知る場合もあります。

疎遠だった兄弟の相続に気づいたときには、既に3か月の期限が迫っているという事態も起こり得るのです。

 

兄弟にどのような遺産があるか把握できていない

兄弟が疎遠な関係だった場合、どのような財産や負債があるのか正確に把握することが困難です。

不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産も見えにくくなります。

相続放棄をすべきか判断するには、遺産全体の状況を調査する必要がありますが、限られた期限内で完全に把握するのは容易ではありません。

 

兄弟の不動産を相続放棄しても管理や税金の負担が残ることがある

相続放棄をしても、次の相続人や清算人が管理を始めるまで、以下のような管理責任が残る場合があります。

  • ・空き家の倒壊・火災などによる損害賠償
  • ・不法投棄・不審火などの管理不備
  • ・固定資産税の一時的な請求

このように、不動産を放棄した後も、管理や税金のトラブルに悩まされる方も少なくありません。

住栄都市サービスでは、不動産相続に詳しい弁護士への無料相談が可能です。

放棄前後の対応に不安がある方は、お早めにご相談ください。

 

兄弟の不動産を相続放棄するときによくあるQ&A

相続放棄を検討する際には、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。

ここでは、兄弟の不動産相続放棄に関してよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

判断の参考にしてください。

 

Q1.相続放棄をしたら、その不動産と完全に無関係になりますか?

いいえ。相続放棄が受理されても、相続財産清算人が選任されるまでは、一定の管理責任が残る可能性があります。

放棄後の管理トラブルを防ぐためには、家庭裁判所に「相続財産清算人の選任」を申立てましょう。

 

Q2.不動産を含む兄弟の遺産の相続放棄はいつまでに行う必要がありますか?

相続放棄は、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

兄弟の場合、先順位の相続人が放棄したことで相続権が回ってきたケースでは、その事実を知った日が起算点です。

期限内に遺産の調査が終わらない場合は、家庭裁判所に期間延長の申立てができます。

期限を過ぎると原則として相続を承認したとみなされるため、早めの対応が重要です。

 

Q3.相続放棄前に不動産を売却したり、名義を変更したりしても大丈夫ですか?

絶対にしてはいけません。

相続財産を売却したり名義変更したりする行為は「単純承認」とみなされ、その後は相続放棄ができなくなります

たとえ借金があることを後から知ったとしても、一度単純承認が成立すると取り消せません。

また、故人の預金を引き出して使用する行為や、不動産の賃貸契約を結ぶことも同様です。

形見分け程度の少額な物品は問題ありませんが、経済的価値のある財産には一切手をつけないことが原則となります。

 

Q4.兄弟の不動産を放棄すると、自分の子どもや甥・姪に迷惑がかかりますか?

いいえ、兄弟が相続放棄をした場合、その子ども(甥・姪)には代襲相続が発生しないため、相続権は移りません。

したがって、次世代に負担を残す心配なく相続放棄を選択できます。

 

Q5.相続放棄は兄弟全員まとめてできますか?

相続放棄は個別の手続きです。

兄弟全員で一括して申述することはできませんが、同じ家庭裁判所に同時期に申し立てるとスムーズです。

 

まとめ

兄弟の不動産を相続放棄する際は、法定相続順位や手続きの流れを正しく理解することが重要です。

相続放棄には3か月という期限があり、期限を過ぎると承認したとみなされてしまいます。

借金や管理負担を回避できる一方で、すべての財産を放棄しなければならず、撤回もできません。

住栄都市サービスでは、不動産相続に強い弁護士・司法書士と連携し、相続放棄の手続きや放棄後のトラブル対応をサポートしています。

借金や管理負担を避けたい方は、まずは無料相談をご利用ください。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

TOP