相続で司法書士が対応できること|信頼できる専門家を見つけるポイントも
2025.08.10

遺産相続の手続きには、戸籍の収集や財産調査、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更(相続登記)など、専門的で手間のかかる作業が数多くあります。これらを一括してスムーズに進めたい時に頼りになるのが司法書士です。
本記事では、司法書士が対応できる内容や費用相場、信頼できる専門家を選ぶポイントまで詳しく解説します。
目次
【相続】司法書士が対応できること

司法書士は相続に関する多様な手続きをサポートしてくれる専門家です。ここでは主な対応業務を紹介します。
相続人と財産の調査
相続手続きの第一歩は、誰が相続人かを確定し、遺産が何かを洗い出すことです。司法書士は、戸籍謄本を取り寄せて相続人を調査したり、不動産の評価証明や預金残高証明を取得したりと、手間のかかる作業を代行してくれます。
特に被相続人の戸籍が複数にまたがる場合や、不動産や金融資産が多岐にわたる場合は、司法書士に依頼するとスムーズに進行します。
法定相続情報一覧図の作成
登記申請や預貯金の名義変更を進める際、相続関係を証明するために戸籍謄本類の束を毎回提出するのは大変です。
司法書士に依頼すれば、法務局に提出する法定相続情報一覧図を作成してもらえます。複数の相続手続きを一括で進める場合には、一覧図の取得が役立ちます。
不動産の相続登記
相続財産に土地や建物が含まれている場合、名義変更(相続登記)が必要になります。相続登記の手続きは司法書士の代表的な業務で、書類作成から法務局への申請まで一貫して対応可能です。
2024年4月1日からは相続登記が義務化され、期限内に申請しないと10万円以下の過料が発生することも。正確かつ迅速な対応が求められる登記は、専門家に任せた方が安心です。
遺産分割協議書の作成
相続人が複数いる場合、誰が何を相続するかを明記した遺産分割協議書が必要になります。司法書士は、相続人同士で内容を決定したあとに、法的に有効な協議書の作成を行います。
特に相続財産に不動産がある場合は、この書類が登記申請に不可欠。ただし、トラブルの仲裁や代理交渉はできないため、争いがある場合は弁護士への相談が必要です。
預貯金の解約や株式の名義変更
司法書士は相続財産のうち、金融資産に関する手続きにも対応可能です。例えば、銀行口座の解約や払戻し、有価証券(株式・投資信託など)の名義変更なども代行してくれます。
金融機関ごとに必要書類や手続きが異なるため、相続人自身が進めるのは煩雑です。司法書士にまとめて依頼することで、時間や手間を大幅に省けます。
相続放棄や家庭裁判所関連の書類作成
相続放棄をしたい場合や、相続財産管理人の選任が必要な場合、家庭裁判所に提出する書類を作成してもらうことも可能です。
ただし、司法書士は裁判所への提出代行や代理行為はできないため、あくまでも書類作成の範囲内での対応となります。形式不備でやり直しになるリスクを防ぐためにも、プロによる作成は心強いサポートです。
住栄都市サービスは、相続不動産に特化した司法書士と提携しています。無料相談ができるので、まずはお気軽にご相談ください。
【相続】司法書士では対応できないケース

司法書士は相続に関する幅広い手続きに対応できますが、すべての相続問題を扱えるわけではありません。特に「争いごと」や「税務処理」を伴うケースでは、他の専門家への依頼が必要になるため、司法書士には頼まないよう注意が必要です。
司法書士では対応できないケース | 内容 |
---|---|
相続人同士が争っている | トラブルや意見対立がある場合は交渉が必要となり、司法書士では対応できない 弁護士の業務となる |
相続税の申告や税務相談 | 税金の申告や財産評価、特例適用などは税理士の専門分野 司法書士は対応不可 |
他士業の独占業務 | 自動車名義変更(行政書士)、社保手続き(社労士)、特許(弁理士)などは他士業の専業 |
裁判所での争いや遺留分請求 | 家庭裁判所での調停や請求は弁護士の業務 ただし、140万円以下なら特定司法書士が一部対応可能 |
【相続】司法書士に依頼した場合の費用相場

相続手続きを司法書士に依頼すると、実費と報酬の2つの費用が発生します。実費とは、戸籍謄本の取得費(1通あたり300〜750円)や郵送費、交通費など、誰が手続きを行ってもかかる費用のことです。
例えば不動産の相続登記を行う際には、固定資産税評価額の0.4%を登録免許税として法務局に納める必要があります。
一方で、司法書士への報酬は依頼内容や事務所によって異なり、料金体系もそれぞれ独自に設定されています。初回相談を無料としている事務所も多く、見積もりは事前に確認するのが安心です。
司法書士に依頼した場合の費用相場は以下のとおり。
手続き内容 | 費用相場(税別) |
---|---|
相談料(初回) | 無料〜5,000円程度 |
相続登記 | 5~15万円程度 |
遺産分割協議書の作成 | 1~5万円程度 |
遺言書作成 | 3~15万円程度 |
相続放棄の申述書作成 | 4万円程度〜 |
相続人調査(戸籍収集など) | 2~4万円程度 |
預貯金の解約・払戻し | 3~5万円程度(1金融機関あたり) |
手続き一括代行(セット) | 30万円程度〜 |
【相続】司法書士に依頼するメリット

相続手続きを司法書士に依頼する最大のメリットは、時間と手間を大幅に軽減できる点です。
相続では、戸籍の収集、不動産の登記申請、金融機関とのやりとりなど複雑な作業が多く、平日の日中しか対応できない窓口も少なくありません。
司法書士に任せれば、こうした作業をまとめて代行してもらえます。また、専門知識に基づいた正確な手続きにより、書類の不備や申請ミスを防げるのも安心です。第三者の司法書士が中立的な立場で対応することで、相続人間の負担の偏りやトラブルの防止にもつながります。
【相続】信頼できる司法書士を見つけるために

相続手続きを安心して任せるには、信頼できる司法書士を選ぶことが重要です。ここでは探し方と選ぶ際のポイントを解説します。
司法書士の探し方
信頼できる司法書士を見つけるには、紹介とインターネット検索を併用するのが効果的です。知人や、税理士・弁護士などの他士業から紹介を受ける場合は、過去の実績や人柄がわかるため安心感があります。
一方で、インターネット検索を活用する場合は、「相続 司法書士 地域名」などのキーワードで調べると、自宅や職場から通いやすい事務所を効率よく探せます。相談実績や得意分野なども、事前にホームページで確認しておくと良いでしょう。
司法書士を選ぶポイント
司法書士を選ぶときは、「相続の実績があるか」「他士業との連携があるか」「相性が良いか」の3点が重要です。特に相続に強い司法書士は、登記手続きだけではなく、全体の流れを踏まえたアドバイスもしてくれるため安心。
初回相談では、説明が丁寧か、自分の話にしっかり耳を傾けてくれるかといった点も見極めるポイントになります。信頼関係が築けるかどうかを重視して選びましょう。
住栄都市サービスは、相続不動産に特化した司法書士と提携しています。無料相談ができるので、まずはお気軽にご相談ください。
【相続】司法書士に依頼する際の流れ

司法書士への依頼は、問い合わせからスタートし、相談・見積もりを経て正式契約という流れが一般的です。
ステップ | 内容 |
---|---|
1.問い合わせ | 電話・メール・問い合わせフォームなどから連絡する |
2.面談・相談 | 対面またはオンラインで詳細を相談する |
3.見積もり確認 | 手続き内容と報酬・実費の見積もりを提示される |
4.正式依頼 | 内容に納得できたら契約を結ぶ |
5.手続き開始 | 書類収集・作成、登記や申請などの実務が遂行される |
6.書類受け取り・支払い | 完了報告後に書類を受け取り、費用を支払う |
迷ったらまずは相談を|司法書士の活用で相続の不安を軽減

相続手続きは専門性が高く、どこから手をつければ良いか迷う人も多いもの。自分で進めるか、司法書士に頼むかどっちがいいか悩んだら、まずは相談してみるのがおすすめです。
必要な手続きが整理でき、不安や負担を減らせます。初回相談が無料の事務所も多いため、気軽に問い合わせてみましょう。司法書士の力を借りて、安心して相続を進める第一歩を踏み出しましょう。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
