相続不動産

JOURNAL

相続ジャーナル

お客様のお役に立つ情報を随時配信しています

土地の名義変更をわかりやすく解説!相続・贈与・離婚・売買で必要な書類も

2025.08.02

 

土地の名義変更は、相続・贈与・離婚・売買で所有者が変わる際に必要な手続きです。手続きの内容や必要書類はケースによって異なり、正確な情報と準備が求められます。

この記事では、各ケースに応じた名義変更の流れや必要書類、しないとどうなるのかをわかりやすく解説します。手続きをスムーズに進めるためのポイントを押さえ、落ち着いて名義変更を行いましょう。

土地の名義変更とは

土地の名義変更とは、不動産の所有者が変わった時に行う登記手続きです。所有権を法的に明確にし、トラブルを防ぐために必要な手続きであり、さまざまな場面で関わってきます。まずは土地の名義変更の詳細や必要な理由を見ていきましょう。

所有者の名義を変更する手続きのこと

土地の名義変更とは、法務局が管理する登記簿上の所有者情報を、実際の所有者に合わせて更新する手続きです。正式には「所有権移転登記」と呼ばれます。

この登記を行うことで、所有権が法的に証明され、第三者に対しても自分の権利を主張できるようになります。所有者が変わる場面では欠かせない重要な手続きです。

土地の名義変更が必要な理由

名義変更を行う目的は、所有権を法的に明確にし、他人に対して正しく主張できるようにすることです。登記簿上の名義が古いままでは、売却や担保に出すことができず、相続の際も手続きが複雑になります。

さらに、2024年4月からは亡くなった人の土地の名義変更をせず、いつまでもそのままにしておくと、相続登記の義務違反と見なされることに。3年以内に手続きをしない場合は最大10万円の過料が科される可能性もあります。将来のトラブルや法的リスクを避けるためにも、早めの対応が必要です。

土地の名義変更が必要な4つのケース

土地の名義変更は、さまざまな場面で必要となります。ここでは、特に発生頻度の高い4つの代表的なケースについて詳しく見ていきましょう。

1.相続による名義変更

相続によって土地を取得した場合には、所有権を正式に移すために相続登記を行う必要があります。前述のとおり、相続登記は2024年4月から義務化されていて、正当な理由がないまま3年以内に登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続人が複数いるケースでは、遺産分割協議が必要となるため、手続きを円滑に進めるには早めの対応が欠かせません。

2.生前贈与による名義変更

親から子などに土地を贈与する際も、名義変更の手続きが必要になります。贈与は無償で行われるため、贈与税の課税対象になる可能性があります。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、それを超える贈与については申告と納税が必要。

また、贈与契約書の作成や登記手続きも伴うため、事前に専門家へ相談しておくと安心です。

3.離婚による名義変更

離婚に伴って、例えば夫婦で共有していた土地を一方の単独名義に変更する場合にも名義変更が必要です。財産分与による名義変更は基本的に贈与税の課税対象外とされていますが、手続き方法や内容によっては課税対象になる場合もあります。

また、土地に住宅ローンが残っている場合は、金融機関の承諾が必要になるケースもあるため注意が必要です。所有者を夫から妻へ変更する際も同様に名義変更が必要。

4.不動産売買による名義変更

土地の売買によって所有者が変わる場合にも、所有権移転登記として名義変更を行う必要があります。

この手続きは売主と買主が共同で行うのが原則ですが、実務上は買主が主導して進めることが多く、手続きは売買契約の決済日(代金支払日)に合わせて行うのが一般的です。

多くのケースでは不動産会社が間に入り、司法書士の紹介や手続きのサポートを行ってくれるため、スムーズに進むことが期待できます。

土地の名義変更をする際の流れ

土地の名義変更は、相続・贈与・離婚・売買などケースによって必要な書類や関係者は異なりますが、手続きの基本的な流れは共通しています。一般的な名義変更手続きは次のとおり。

【1.必要書類の準備・作成】
名義変更の原因に応じた必要書類を収集・作成する。相続や贈与、売買など、状況によって求められる書類が異なるため、事前に確認が必要。

【2.登記申請書の作成】
法務局のWebサイトから申請書の様式を取得し、必要事項を記入する。

【3.法務局への申請】
完成した登記申請書と必要書類を、土地の所在地を管轄する法務局に提出する。提出方法は、窓口持参、郵送、オンライン申請のいずれかを選択できる。

【4.登記識別情報の受領】
申請が受理され、登記が完了すると、法務局から「登記識別情報通知」が発行される。これは、今後の登記手続きで必要となる重要な書類なので、大事に保管する。

法務局「不動産登記の申請書様式について」

土地の名義変更に必要な書類

土地の名義変更に必要な主な書類は次のとおり。

ケース 主な必要書類
相続 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
相続人の現在の戸籍謄本
相続人全員の住民票
固定資産評価証明書
遺産分割協議書(または遺言書)
登記申請書
生前贈与 贈与契約書
贈与者の印鑑証明書
受贈者の住民票
固定資産評価証明書
登記申請書
登記識別情報(登記済証)
離婚 財産分与協議書
財産分与者の印鑑証明書
財産分与を受けた者の住民票
固定資産評価証明書
登記申請書
登記識別情報
戸籍謄本
不動産売買 売買契約書
登記識別情報
買主の住民票
売主の印鑑証明書
固定資産評価証明書
登記申請書
委任状

土地の名義変更にかかる費用と期間

土地の名義変更では、ケースに応じてさまざまな費用がかかります。中でも大きいのが登録免許税で、固定資産評価額に一定の税率をかけて算出されます。税率は相続で0.4%、売買・贈与・離婚は2.0%が基本です。

その他、戸籍や住民票などの取得費用として2,000円〜5,000円程度、司法書士に依頼する場合は5万〜15万円前後の報酬が必要になります。

手続きにかかる期間は、書類がそろっていれば2週間〜1ヵ月が目安です。ただし、相続人が多いなど相続関係が複雑な場合は、さらに時間がかかることもあります。

自分でできる?土地の名義変更を専門家に依頼すべきケース

土地の名義変更は、自分で手続きを行うことも可能です。法務局のホームページから申請書のひな形をダウンロードし、必要書類をそろえて提出すれば、登記は受け付けてもらえます。

ただし、相続人が複数いる場合などで書類に不備があると、申請が受理されないこともあります。慣れていない人にとっては、手続きの手間やミスのリスクが大きくなるため注意が必要です。

特に相続関係が複雑だったり、法定の期限が迫っていたりするケースでは、司法書士に依頼するのが安心。また、登記手続きだけではなく税金の申告や節税が関わる場合には、税理士との連携も検討しましょう。

土地の名義変更で注意すべきポイント

土地の名義変更は、必要書類をそろえて登記すれば完了するというイメージを持たれがちですが、実際には注意すべき点がいくつかあります。ここでは、名義変更前に押さえておきたい重要なポイントを紹介します。

登記簿上の権利関係の確認をする

名義変更の前には、登記簿を確認して、土地に抵当権や地役権などの権利の設定がされていないかをチェックすることが大切です。

例えば、抵当権がついたままでは、売買しようとしても買主が見つからなかったり、金融機関からの融資が受けられなかったりといったリスクが発生する可能性があります。抵当権が設定されている場合は、抹消登記が必要になるため、事前の確認と対応が不可欠です。

共有名義の不動産は全員の合意が必要になる

土地が共有名義になっている場合、名義変更を行うには共有者全員の同意が必要です。一部の共有者だけで手続きを進めることはできず、勝手に登記を変更することは法的にも無効とされます。

また、共有者同士の意見が合わなかったり、連絡がつかなかったりすることで、手続きが遅れるケースも少なくありません。そのため、名義変更を行う際は、あらかじめ全員と連絡を取り、合意を得ておくことが大切です。

自分では土地の名義変更が難しい場合は専門家へ依頼がおすすめ

土地の名義変更は自分で行うことも可能ですが、手続きは煩雑で、書類の不備や記入ミスがあると受理されないこともあります。

相続人が複数いるケースや、登記・税務が絡む複雑な状況では、司法書士や税理士などの専門家に相談するのが安心です。手続きを確実に進めるためにも、早めの依頼を検討しましょう。

不動産の相続でお困りの方は、住栄都市サービスまでお気軽にご相談ください。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

TOP