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相続の時効はいつまで?不動産相続で必ず押さえるべき期限一覧と注意点

2025.12.26

相続には手続きによって複数の時効・期限が存在します。

特に不動産相続では、これらの期限が重なりやすく、「気づいたら時効が迫っており手続きが間に合わない」という相談が多く寄せられます。

本記事では、相続の時効と期限の違い、各手続きの期限一覧、期限切れのリスクと対処法、不動産相続ならではの注意点を、実務の流れに沿ってわかりやすく解説します。

相続における時効と期限の違いとは

まず、「時効」と「期限」の違いを明確にしておきましょう。

どちらも「いつまでに行動すべきか」という点に関係しますが、法律上の性質はまったく異なります。

時効とは権利が消滅・取得する法律上の仕組み

時効とは、一定期間が経過したことで法律上の権利が消滅したり、新たに権利を取得したりする制度です。

相続で問題となるのは主に「消滅時効」で、典型例が遺留分侵害額請求権です。

遺留分侵害額請求は、相続の開始および侵害事実を知った日から1年で時効となり、請求権が完全に消滅します。

つまり、期限を過ぎると「請求そのものができなくなる」という重大な影響が生じます。

期限とは手続きの締切日

一方の期限とは、手続きを完了しなければならない最終日を指します。

たとえば、相続税は相続開始の翌日から10か月以内に申告・納付しなければなりません。

この10か月が「期限」です。

期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生したり、節税特例が使えなくなったりすることがありますが、権利そのものが失われるわけではありません。

時効や期限を放置した場合のリスク

時効や期限を過ぎた場合には、次のような不利益が生じます。

  • 遺留分侵害額請求権が消滅する
  • 相続放棄できず、被相続人の借金も含めてすべて相続する
  • 相続税が延滞税・加算税で大幅に増える
  • 不動産の登記を放置し過料の対象となる

特に不動産相続はさまざまな手続きが連動するため、リスクが複合的に発生しやすく、期限管理が不可欠といえます。

不動産相続で押さえるべき主要な時効・期限一覧

不動産相続では、「相続放棄・限定承認」「相続税申告」「相続登記」「遺留分侵害額請求」の4つの期限・時効を押さえておきましょう。

相続における主要な期限・時効の一覧表

下表に主な項目を一覧でまとめています。

手続き 期限・時効 遅れた場合の影響
相続放棄・限定承認 相続開始を知った日から3か月以内(期限) 借金など負債も相続(ただし期限内に熟慮期間伸長の申立てが可能)
相続税申告 相続開始の翌日から10か月以内(期限) 延滞税・無申告加算税・特例適用不可
相続登記 相続開始を知った日から3年以内(期限) 10万円以下の過料の対象・売却不可
遺留分侵害額請求 侵害を知った日から1年以内・相続開始から10年(時効) 請求権消滅

不動産相続で最優先すべき手続きの順番

不動産がある相続では、「何から手をつければいいのか」が最も混乱しやすいポイントです。

期限・リスク・手続きの難易度を踏まえると、次の順番で進めるとよいでしょう。

①相続放棄の熟慮期間(3か月)を最優先で確認する

相続放棄・限定承認の期限である「3か月」は、相続の中で最も短く、過ぎると取り返しがつきません。

不動産に見えない負債(抵当権・管理費・固定資産税滞納など)が潜んでいるケースもあるため、3か月以内に放棄の判断材料を揃えることが最優先となります。

②不動産の調査(評価・権利関係)を初期段階で実施する

相続放棄の判断にも、相続税の計算にも、不動産の内容確認が必須です。

具体的には以下の情報を早めに把握します。

  • 固定資産税評価額
  • 現地状況(境界・接道・劣化)
  • 抵当権や差押えの有無
  • 空き家・未登記建物の状況

これらの調査を後回しにすると、放棄の判断が間に合わなかったり、相続税の申告が遅れる原因になります。

③登記・税務スケジュールを3か月以内に整理する

不動産相続は、3か月(放棄)・10か月(相続税)・3年(相続登記)と複数の期限が連動しています。

そのため、以下を早期に整理すると期限切れや二度手間を防げます。

  • 誰が相続するか
  • 不動産を売却するか
  • 相続税が発生するか

特に売却を検討する場合、登記が済んでいなければ取引が進められないため、スケジュール管理は必須です。

時効・期限ごとの注意点と不動産相続で起きやすいトラブル

次に、主要な時効・期限について、不動産相続の実務で特に注意すべきポイントを整理します。

相続放棄の3か月ルールと不動産に潜むリスク

相続が発生したことを知った日から3か月以内に、相続人は次の3つのいずれかを選択します。

  • 相続放棄
  • 限定承認(相続した財産の範囲内でのみ、負債の返済義務を負う)
  • 単純承認(財産も借金も、すべて無条件で相続)

この3か月を「熟慮期間」と呼びます。

3か月以内に家庭裁判所へ申述を行わない場合は、相続を承認したものとみなされ、借金を含む財産一式を引き継ぐことになります。

そこで、不動産を相続する場合は注意が必要です。

不動産には抵当権が設定されていたり、固定資産税が滞納されていたりするなど、後から判明するマイナス要素が潜んでいるケースがあるためです。

財産状況を十分に調査せずに放置すると、意図せず借金まで引き継ぐ可能性があります。

相続税10か月期限と不動産評価が税額に直結する理由

相続税の申告と納付は、相続開始の翌日から10か月以内です。

期限を過ぎると延滞税・加算税の負担が発生するうえ、小規模宅地等の特例や配偶者控除といった節税措置が原則として使えなくなります。

特に不動産を含む相続では、評価額が税額に直結し、土地の形状や利用状況によって負担が大きく変わる場合があります。

相続登記3年の義務化と放置したときのリスク

相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければ過料の対象となる可能性があります。

相続登記を放置すると、以下のような深刻なトラブルが起きやすくなります。

  • 不動産を売却できなくなる
  • 相続人が世代を跨いで増え続け、協議が困難になる
  • 債権者が相続人の法定相続分に基づいて差押えを行う
  • 名義が放置されたまま老朽化し、管理責任を問われる

売却を希望する場合は、登記が完了していなければ取引が成立せず、結果的に売却までの期間が大幅に延びることになるため注意しましょう。

遺留分侵害額請求の時効1年と不動産が争点になる理由

遺留分侵害額請求権は、相続開始および侵害事実を知った日から1年、または相続開始から10年で時効消滅します。

不動産が相続の中心となる場合、評価額の見解が分かれやすく、遺留分をめぐる争いが長期化しかねません。

さらに適正な不動産評価ができていないと、請求額が大きく変わるおそれがあります。

相続手続きの時効や期限を過ぎてしまった場合の対処法

期限を過ぎてしまっても、場合によっては救済措置が認められることがあります。

焦らず、実務上の対応方法を確認しましょう。

期限後の相続放棄が認められるか確認する

熟慮期間の3か月を過ぎた場合でも、相続財産の存在を知らなかった事情や、被相続人との疎遠状態などが認められれば、例外的に期限後の相続放棄が認められる可能性があります。

ただし、証明が必要で難易度が高い手続きです。

相続税の期限後申告で負担を抑える

相続税の申告期限を過ぎても、速やかに期限後申告を行えば延滞税・無申告加算税の負担を最小限に抑えられる場合があります。

税務署からの指摘前に自主的に申告することも重要です。

相続登記を申告して過料を回避する

相続登記が未了の場合でも、相続人申告登記(自分が相続人であることを法務局に申し出る制度)を行うことで過料を回避できます。

その後、遺産分割協議がまとまり次第、正式な相続登記を行う流れです。

遺留分侵害額請求権の時効を止めて権利を守る

時効が迫っている場合は、まず内容証明郵便で請求意思を通知し、時効の完成を止めることが重要です。交渉がまとまらないときは調停・訴訟へ進むことになります。

住栄都市サービスでは、弁護士と連携して遺留分問題にも対応し、適正な不動産評価を行いながら交渉を進めるサポートが可能です。

不動産相続で時効トラブルを防ぐためのポイント

相続手続きのなかでも、不動産が絡むと難易度が一段と上がります。

トラブルを避けるためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

不動産の調査・評価を早期に行う

不動産は相続税額の計算から遺留分の判断、売却の可否に至るまで、あらゆる手続きの出発点となる重要な資産です。

土地の評価や境界、接道状況、さらには未登記建物の有無など、相続発生直後に調査しておくべき事項は多岐にわたります。

これらを後回しにすると、財産内容が不明なまま熟慮期間が過ぎてしまったり、評価額を誤って相続税が過大になるなど、さまざまな場面で不利益が生じやすくなります。

「まず不動産から調べる」という姿勢が、期限や時効トラブルを防ぐうえで最も効果的でしょう。

空き家・未登記・共有名義を放置しない

空き家や未登記、共有名義の不動産を放置すると、相続登記の期限に気づけず、手続きが進まない状態に陥るおそれがあります。

名義が整理されていないままでは売却も難しく、老朽化が進んだり、固定資産税だけが発生し続けたりするケースも珍しくありません。

不動産の状態を早期に確認し、必要な手続きを順番に進めていくことが、時効トラブルを確実に防ぐためのポイントです。

期限管理を専門家に任せて手続きを漏れなく進める

相続には、さまざまな手続きと期限・時効が絡み合い、一般の方がすべてを把握しきるのは容易ではありません。

不動産相続では特に、評価・登記・税務が密接に関連しているため、どの手続きを優先すべきか判断がつかず、結果として期限を過ぎてしまうケースが多く見られます。

専門家と連携することで、必要な手続きが時期ごとに整理され、スケジュール管理がスムーズになります。

まとめ

相続では、不動産の状態や名義の整理が手続きの流れに影響しやすく、準備が遅れると相続放棄の判断や税務の対応が間に合わない場合があります。

安心して相続を進めるためには、早めに状況を整理し、経験のある専門家に相談しながら進める方法が有効です

住栄都市サービスでは、不動産評価に精通した税理士・司法書士・弁護士と連携し、相続発生直後の調査から相続登記、売却まで一貫してサポートしています。

不動産相続でお困りの際は、ぜひ早めにご相談ください。

期限を意識しながら進めることで、不利益を避け、安心して相続手続きを完了できます。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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