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相続に税理士は必要か?ケース別の判断基準やメリット・デメリットを解説

2025.05.26

相続が発生すると、財産の整理や相続税の申告が必要ですが、必ずしも税理士に依頼する必要はありません。基礎控除内の相続なら申告不要で、不動産や株式が含まれると評価が難しいため税理士のサポートが推奨されます。

本記事では、税理士が必要なケースや不要なケース、依頼するメリット・デメリットなどを解説します。

相続する財産が基礎控除額を下回る場合は税理士は必要がない

相続税の申告で税理士が必要かどうかは、相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで決まります。基礎控除額を下回る場合は相続税の申告義務がないため、税理士に依頼する必要はありません。

ただし、相続財産の評価を正しく行わないと、後から申告漏れが判明することがあります。特に、不動産や非上場株式を含む場合は、評価が難しくなるため注意が必要です。判断に迷う場合は、事前に税理士へ相談するのが無難です。

相続で税理士に依頼するメリット|スムーズな手続き・節税ができる

相続の手続きを税理士に依頼すると相続税の申告手続きをスムーズに進められます。

相続税の申告には、財産の評価や書類作成など手間のかかる作業が多く含まれますが、税理士に依頼すれば、正確な計算や適切な書類準備をサポートしてもらえ、申告期限内にスムーズに手続きを完了できます。

節税対策ができるのもメリットの1つです。税理士は、配偶者控除や小規模宅地等の特例などを適用し、相続税を最小限に抑える方法を提案してくれます。適切な節税対策を行うことで、余計な税負担を回避することが可能です。

また、必要に応じて他の専門家を紹介してくれます。相続には、司法書士や弁護士など他の専門家が必要になるケースも。税理士に依頼すれば、信頼できる専門家を紹介してもらえ、ワンストップで手続きを進められます。

相続で税理士に依頼するデメリット|費用・やり取りが必要

税理士に依頼する際のデメリットとして、まず挙げられるのが費用の負担です。相続税申告の報酬目安は、財産総額の0.5~1%が相場とされていて、遺産額が高いほど税理士の費用も高額になります。

また、税理士との日程調整や書類のやり取りが必要になるため、自身のペースで手続きを進めたい人にとっては、不便に感じることもあるでしょう。こうしたコストや手間を考慮し、自力で申告できるかどうかを慎重に検討することが重要です。

相続で税理士が必要なケース

相続税の申告は、すべてのケースで税理士が必要なわけではありません。しかし、相続財産の規模や内容、手続きの複雑さによっては、税理士に依頼することでスムーズに申告でき、ミスを防ぐことができます。ここでは、税理士が必要となる主なケースを紹介します。

初めての相続で申告手続きに不安がある場合

相続税の申告には専門知識が必要であり、慣れていないと計算ミスや書類の不備が生じやすいものです。特に、財産の評価方法や適用できる控除・特例を正しく判断することは容易ではありません。

初めての相続で不安がある場合は、税理士に依頼することで申告手続きをスムーズに進められ、トラブルのリスクを軽減できるでしょう。

相続する財産が基礎控除額を上回る場合

相続財産が基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要になります。不動産や株式などの評価額を正しく算出し、適用できる特例を考慮する必要がありますが、専門知識がないと誤りやすい点に注意が必要です。

特に、遺産総額が大きい場合や土地が含まれる場合は、計算方法によって税額が大きく変わることがあります。税理士に依頼することで適切な計算ができ、リスクを軽減できます。

相続する財産の総額がわからない場合

相続財産に不動産や非上場株式などが含まれる場合、その評価額を正しく把握するのは容易ではありません。財産の総額を正確に把握しないまま申告を進めると、申告漏れや過大な税額計算の原因となることもあります。

税理士に依頼すれば、財産の評価や申告の必要性を適切に判断でき、申告漏れを防ぐことが可能です。適正な相続税申告のためにも、専門家のサポートを活用するとよいでしょう。

相続で税理士に依頼しなくて良いケース

相続税の申告が必要な場合でも、すべてのケースで税理士の依頼が必須というわけではありません。ここでは、税理士に依頼しなくても良いケースを解説します。

自分で相続税の申告や申告書の作成ができる場合

相続税の計算方法や申告手順を理解していて、必要な書類を適切に準備できる場合は、自分で申告することも可能です。特に、財産の種類が現金や預貯金のみで、計算がシンプルな場合は、税理士に頼まない場合でもできることがあります。

相続する財産が基礎控除内に収まる場合

相続財産の総額が基礎控除以下であれば、そもそも相続税の申告が不要なので、税理士に依頼する必要はありません。ただし、不動産の評価によっては基礎控除を超えることもあるため、不安があれば税理士に相談して確認するのが安全です。

相続人同士で争う心配がない場合

相続人同士で話し合いが円滑に進み、遺産分割の内容に合意している場合は、税理士のサポートが不要な場合もあります。財産がシンプルで、相続税の申告が不要であれば、相続人同士で手続きを進めることも十分可能です。

ただし、将来的なトラブルを避けるため、必要に応じて専門家の助言を受けるのを検討しても良いでしょう。

相続手続きを自分でするリスクについて

相続手続きを自分でやってみたが、申告ミスや財産評価の誤りが発生したというケースもあります。特に、不動産や非上場株式などの評価は複雑です。また、適用できる特例を見落とすと、本来より高額な税金を支払うことになる可能性もあります。

また、申告期限(相続開始から10ヵ月)を過ぎると延滞税や加算税が発生するため、スケジュール管理も重要。申告後に税務調査が入ることもあるため、不安がある場合は専門家に相談するのが賢明です。

税理士は相続手続きのどこまで対応してくれる?

税理士は、相続税の申告を中心に幅広いサポートを提供してくれます。具体的には、相続財産の評価、税額計算、申告書の作成・提出を代行し、相続税の負担を軽減するための特例適用のアドバイスも行います。

また、税務調査が入った場合の対応や、納税方法の相談にも対応可能。必要に応じて司法書士や弁護士など他の専門家と連携し、不動産の相続登記や遺産分割協議のアドバイスを受けられることもあります。

税理士の対応範囲は事務所によって異なるため、事前に相談し、サポート内容を確認してください。

相続で頼れる税理士の探し方

相続で頼れる税理士を探すには、事前にリサーチが必要です。税理士にも得意分野があり、相続税の手続き経験が豊富で、実績のある税理士を選ぶのがおすすめ。特に、不動産や非上場株式などの評価を適切に行える税理士を見つけることで、正確な申告が可能になります。

【相続で依頼する税理士の探し方】

  • ・知人の紹介や口コミを参考にする
  • ・検索エンジンで「相続+地域名+税理士」と調べる
  • ・相続専門のポータルサイトを活用する
  • ・複数の税理士と面談し、費用や対応の丁寧さを比較する

など

相続で頼れる税理士を選ぶポイント

相続税申告をスムーズに進めるには、相続に強い税理士を選ぶことが重要です。選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

【相続に強い税理士を選ぶポイント】

  • ・実績が豊富か:相続税申告の経験が多い税理士を選ぶことで、特例の適用漏れや財産評価ミスを防げる
  • ・報酬が明確か:事前に見積もりを取り、相場や追加費用の有無を確認する。複数の税理士事務所を比較するのも有効
  • ・相性が良いか:相続手続きは長期間にわたるため、相談しやすく、説明が丁寧な税理士を選ぶことが大切

初回相談を活用し、信頼できる税理士を見極めましょう。

相続の状況に応じて税理士への依頼を検討しよう

相続税の申告は、財産の規模や内容によって税理士が必要なケースと不要なケースがあります。基礎控除内であれば自分で対応できますが、不動産の評価や節税対策が必要な場合は、税理士のサポートが有効です。

税理士に依頼することで、手続きがスムーズになり、税務調査のリスクも軽減できます。自分の状況に合った選択をし、必要に応じて専門家を頼りましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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