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相続した家の解体費用相場はいくら?安く抑えるポイントや注意点も解説

2025.07.10

 

家を相続しても、老朽化や土地活用の目的などから、解体を検討することもあるでしょう。一般的な家の解体費用の相場は、100〜300万円です。小さな金額ではないからこそ、できるだけ費用は抑えたいはず。

賢く家の解体手続きが踏めるよう、本記事では解体費用の相場や内訳、費用を決める要素、安く抑えるポイントや注意点を解説します。

【相続した一軒家】解体費用の相場はいくら?

30〜40坪の一般的な一軒家の解体費用は、100〜300万円が相場です。ただし、以下のように坪数や構造によって変動があります。

20坪 30坪 50坪 100坪
木造 60〜100万円 90〜150万円 150〜250万円 300〜500万円
鉄骨造 120〜140万円 180〜210万円 200〜350万円 400〜600万円
鉄筋コンクリート造 120〜160万円 180〜240万円 300〜400万円 600〜800万円

上記はあくまで目安のため、正確な金額は解体業者に見積もりを依頼して確認しましょう。

家の解体費用の内訳

解体業者に支払う費用は、建物を壊す際にかかる費用だけではありません。ここでは、解体費用の内訳を5つに分けて解説します。

仮設工事費用

仮設工事費用とは、解体工事の準備にかかる費用のことです。具体的には、以下にかかる費用を指します。

  • ・足場や仮設トイレの設置
  • ・養生シートや防音シートの敷設
  • ・重機乗り入れのための敷鉄板の設置

これらは、作業員の安全確保や粉塵・騒音対策のため必要です。

建物の解体費用

メインとなる建物の解体費用は、内訳の30〜40%を占めます。主に作業員の人件費と重機使用料で成り立ち、家の広さや構造によって変わります。手作業が多い場合や工期が長引いたときは、費用負担が増えるでしょう。

付帯工事費用

付帯工事費用とは、家周辺の撤去作業にかかる費用のことです。例えば、以下のものが該当します。

  • ・ブロック塀やフェンス
  • ・庭木・縁石・生垣
  • ・納屋・物置
  • ・浄化槽や井戸などの埋蔵物

費用は、撤去範囲や状態によって変動します。建物本体以外の撤去費用は、現地調査で事前に業者に確認しておきましょう。

廃棄物の処分費用

廃棄物の処分費用は、解体時に出る廃材の分別・処分・運搬にかかる費用を指し、内訳の40%程度を占めます。

木材や屋根瓦、コンクリートやタイルなどは産業廃棄物として、適切に処分しなければなりません。特に、アスベストを含有した建材がある場合は、除去・処分費用が増加することも。事前に廃棄物の種類と量を把握し、見積もりを取っておくことが重要です。

その他の費用

実際に解体に要する費用のほか、解体後の地面を整地する費用もかかります。整地方法は、土地の活用法によって異なります。

また、その他に以下のような諸経費もかかるため、事前に知っておきましょう。

  • ・解体許可や廃棄物処理等の届出、書類作成費用
  • ・挨拶の粗品代や人件費などの近隣対応費用
  • ・工事用車両・重機の駐車スペースの借地料や駐車代

家の解体費用を決める要素4つ

家の解体費用は、主に構造・立地・廃材の量・付随工事の有無で決まります。ここでは、各要素の内容を解説します。

1.建物の構造

頑丈な建物ほど解体に時間や労力を要するため、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の順で解体費用が高くなります。

また、坪数が同じである場合、平屋の方が2階建てより費用が高くなる傾向にあります。平屋の方が、地面と建物をつなぐ基礎部分と屋根部分の面積が大きいからです。

地下室がある場合は、埋め立てが必要なため、さらに費用がかかります。

2.建物の立地

建物の立地も解体費用に影響を与えます。以下のような立地条件の場合、費用は上がりやすいでしょう。

  • ・隣の建物と距離が近い
  • ・土地が狭く重機が入れない
  • ・道幅が狭い
  • ・階段の先に土地がある
  • ・道路との高低差がある

重機が使えないことで手作業が増えたり、慎重な作業が必要で工期が長くなったりすると、解体費用は高くなります。

3.廃材の量

解体すると大量の廃材が発生し、分別の手間や人件費、処分費用がかかります。鉄筋コンクリート造の建物や、不用品・庭木などが多い家は、費用が高くなりやすいでしょう。

4.付随工事の有無

家の解体とは別に付随工事が必要な場合、解体費用は増額します。例えば、以下のようなケースです。

  • ・ブロック塀などの外構や門扉の撤去
  • ・浄化槽や池の撤去や埋め戻し
  • ・駐車場の解体・カーポートの撤去
  • ・太陽光発電システムの撤去

前述のとおり、人体に有害なアスベストが含まれている場合は、特別な処理が必要なため割高になります。

家の解体費用を安く抑えるポイント

家の解体費用は、工夫次第で抑えることも可能です。制度を利用したり、できるだけ自分で作業したりして、費用の節約につなげましょう。

補助金制度を利用する

自治体によっては、空き家の解体に対して補助金制度を設けている場合があります。例えば、東京都では以下のような費用補助を行っています。

【東京都空き家家財整理・解体促進事業】

補助対象 1.都内に所在する空き家の家財整理
2.都内に所在する空き家の解体
補助対象者 東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談し、
都内の空き家の家財整理又は解体を実施する空き家所有者
補助金交付額 1.都内に所在する空き家の家財整理に係る費用に
2分の1を乗じた金額(※50,000円を限度)
2.都内に所在する空き家の解体に係る費用に
2分の1を乗じた金額(※100,000円を限度)

参考:東京都空き家家財整理・解体促進事業

補助金制度については、各自治体のサイトを確認するほか、解体業者に相談するのも一つです。

ローンを活用する

家の解体費用を抑える選択肢として、ローンも活用できます。例えば、以下のようなローンが利用できる場合があります。

  • 住宅ローン:新築予定がある場合、解体費用を新築のローンに含められる
  • 空き家解体ローン:空き家解体専用のローンで、低金利で利用できる
  • フリーローン:用途自由のローンで、銀行での取り扱いが多い

金融機関によって条件や金利が異なるため、複数社を検討して決めるとよいでしょう。

できるだけ片付けておく

解体前に、できるだけ自分で片付けておくことも大切です。家具や家電、日用品などの残置物は、解体で発生する産業廃棄物とは異なる方法で処分しなければならないため、追加費用がかかる可能性があります。

リサイクルショップで行ったり、自治体のゴミ回収を利用したりして、事前に処分を進めておきましょう。

家を解体して更地にするメリット

土地の売却を検討している場合、家を解体して更地にすることで、買主が見つかりやすくなるメリットがあります。建物の価値がない古家付きの状態では、購入後に買主が解体する手間と費用がかかることから、契約につながりにくいことも。

更地の状態であれば、買主が土地の形や広さをイメージしやすく、自由に活用できるため、売却スピードが速まります。

家を解体する際の注意点

家を解体して更地にすると、固定資産税が大幅に増額するので注意しましょう。家がある土地は、住宅の面積に応じて固定資産税・都市計画税の軽減措置が受けられます。

しかし、解体して土地のみになると、軽減措置の対象から外れ、固定資産税は最大6倍になることも。家を解体する場合は、支払う税金も考慮して慎重に検討することをおすすめします。

家の解体費用相場と安く抑えるポイントを知り、賢く解体手続きを進めよう

家の解体費用は、建物の構造や坪数によって変動しますが、一般的に100〜300万円ほどかかります。

ただし、補助金やローンを活用したり、できるだけ自分で片付けておいたりすることで、安く抑えることも可能です。解体業者に見積もりを依頼して相談しながら、賢く手続きを進めましょう。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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